ユキマツの「長期投資のタイミング」

「景気(企業利益動向)」「中銀の金融政策(金利動向)」「投資家のリスク許容度」などから長期投資のタイミングを探る投資ブログ

そもそも投資とは何か⑫ 投資は心理戦でもあり、余裕のない投資は負けやすい?

ブログのアクセスがほぼゼロだったころの記事を再掲するシリーズです。

投資は心理戦の一面もあり、「心理的余裕」は投資を続けていくのに大切な要素では?

という話です。

今すぐ役に立つテーマでもありませんが、暇つぶしには向くかもしれませんのでよければどうぞ。

心理的余裕のない投資と余裕のある投資

投資は人が行うものです。

そのうちAIが行うかもしれませんし、コンピュータにアルゴリズムを実行させる高頻度取引も盛んなようですが、おそらくまだ、人が枠組みを作って投資を行っていると思われます。

 

特に個人投資家の投資は、まさに人の行う投資です。

 

人は機械ではなく動物であり、体調、気候、気分、ホルモンバランス、疲労、意欲・・・様々な環境、個別要因で、思考力も判断力も、常に変化しています。

そして、投資行動に大きな影響を与える要因に「感情」「心理」があります。

 

ときどき、感情に任せて行動して、人は失敗します。

 

機嫌が悪いだけで、八つ当たりすることもあります。

それまでの努力をぶち壊すような、やけくその行動をとることがあります。

後でふり返って、どうしてあんなことをしてしまったんだろう、と後悔することもあります。

 

投資行動においても、感情、心理の要因は大きいと思います。

そして、一般論として、心理的に余裕のない投資は、あまりいい結果を生まない可能性が高そうです。

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20年で1億円を目指すAさん

例えば、Aさんは貯金の100万円を20年の投資で1億円にする計画を立てました。

 

計算上、年間30%くらいの利回りで複利で20年運用すれば、1億円にならないわけでもないので、年利30%を目指して投資を始めました。

投資が成功すると固く信じているため、普段は貯金もせず、20年後に遊んで暮らすイメージが今の希望の拠り所です。

 

そんなわけで、Aさんは日々、市場とべったりです。

最大限レバレッジを効かせて、最大限の資金効率で勝負しています。

相場の動きに一喜一憂、さっき歓喜していたかと思えば、今は意気消沈していたり、その繰り返しです。

※レバレッジを効かせる・・・「レバレッジ=てこ」のように小さな力で大きなものを動かすこと。投資においては、自己資金以上の大きな投資を行ったり、借金をして自己資金以上のお金を動かすこと

 

超保守的なBさん

一方Bさんは、もっと保守的で悲観的です。

 

日本国債10年物の利回りが0.1%程度のご時世なので、年利1~2%程度の運用が長期的に実現できればありがたいと考えています。

そして、最悪投資で失敗することも考慮して、普段から仕事にいそしみ、貯蓄を心がけ、手元を離れてしまった投資資金は「ないもの」と見なして暮らしています。

投資とは「もしうまくいったら儲けもの」程度の距離感を保っています。

 

そんなわけで、レバレッジを効かせる投資は行わず、取引回数も少なく、月に1回、資産評価額を確認する程度で、普段はあまり投資のことは考えません。

 

さて、AさんとBさんの投資、どちらが「正しい」のでしょうか。

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どちらが「正しい」かはわからないが、どちらが「余裕がある」かは明瞭

AさんとBさんの投資、どちらが「正しい」かはわかりません。

 

Aさんが成功する可能性もゼロではありません。

仮にAさんとBさんが友達で、20年後、Aさんの投資がうまくいって、一方BさんはAさんに比べてしょぼしょぼの投資リターンに終わり、劣等感にさいなまれるかもしれません。

 

ただ、どちらが

「心理的に余裕のある投資か」

といえば、明らかにBさんです。

一般的に、そこそこ無難な結果を出せる可能性が高い投資も、Bさんでしょう。

 

Aさんは、一回の失敗で、全ての投資資金を失う可能性があります。

運よく100万円を1000万円まで増やせたとしても、大きなレバレッジを効かせていれば一回の相場変動で、1000万円を吹き飛ばす可能性もあります。

さらにAさんがものすごい強運の持ち主で無事資産1億円を実現してしまった場合でも、Aさんは投資をやめられず、さらに欲をかいてレバレッジを拡大して投資を続け、失敗して全てを失うかもしれません。

 

また一時的に激しい多幸感を味わう一方、常に潜在的な不安を抱えているため、Aさんは精神的に不安定になりがちだと推測されます。

不安定な精神が、Aさんの人間関係や人格、健康、仕事のリズムを壊すかもしれません。

 

なにせ、年間30%の利回りが前提なので、マイナスリターンの年など一切許容できません。

常にうまくいっていないと、Aさんは不満ですし、納得いきません。

心に余裕はとても持ちにくい。

 

一方、Bさんは最悪マイナスリターンの年があっても仕方ないと思っています。

手元を離れてしまった投資資金は「ないもの」と割り切っているので、少々マイナスの年があっても、投資資金がそれなりに残っていれば、安心します。

たまに利回り5%の年があったりすると、すごく嬉しいわけです。

年利2%で御の字と思っているので。

 

心理的余裕の重要性

極端な対比ですが、わたしは

投資は長期的な心理戦であり、心理的余裕の少ない投資は、時間の経過とともに、失敗の確率が上がりやすい

のではないかと推測しています。

 

どうなるかわからない相場や未来に対して、投資家の勝手な都合で

「こうなってもらわなくちゃ困る!」

という余裕のないノリで挑んでも、現実はそれに応えてくれるとは限りません。

投資家がいくら欲望でギラギラしていても、市場には、それに応える義務がないのです。

 

過去100年、50年、20年の長期データを持ち出して、

この株式インデックスの年間の長期平均リターンは○○%だから、今後20年で、自分も△△%のリターンを獲得できるはず!

と信じたり期待するのは自由ですし、わたしもよくやりますが、実際どうなるかは、誰にもわからない。

 

うまくいくかもしれないし、いかないかもしれない。

市場に、過去のパフォーマンスを再現しなければならない義務など、どこにもないのです。

また、一般に、安定収入のあるサラリーマン投資家の方が、安定収入がない投資家より心理的余裕を持ちやすいと思われます。

給与の中から毎月コツコツインデックスを積み立てる投資って、地味ですが、長い目で見ると、とても負けにくい投資スタイルではないかと思われます。

まとめ

一般的に、

◎投資は長期的な心理戦であり、心理的余裕のない投資は、時間の経過とともに、失敗の確率が上がりやすいのではないか

◎自分に合った手法で、心に余裕をもって、淡々と続けられる投資手法が、比較的うまくいきやすいのではないか

とわたしは思います。

 

もちろん、人間、誰しも「勝負時」というものがあって、

情熱的に賭ける瞬間

も、人生には大事だと思いますし、

短期決戦

という戦略、あるいは

チャンスの時だけ大きなリスクをとる

という戦略もありだと思われ、一概にはいえませんし、ひとつの一般論、わたしの好みの問題かもしれませんが、長く付き合っていけるものって、自分にとって意外と退屈だったり低刺激だったりする一面もあるのかもしれません。

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