ユキマツの「長期投資のタイミング」

比較検討により、長期投資における「比較的よさそうなタイミング」と「比較的有望な投資対象」を探るサイト

「長期投資に適しそうな国の選定作業」⑥~中国・経済成長編~

長期投資に適する国は事前に分かるものなのか?

そんなことは考えない方が身のためか?

「長期投資に適しそうな国の選定作業」シリーズの6回目は世界第2位の経済大国となった中国です。

中国のメモ

全世界の株式を対象とした株価指数「MSCI ACWI」(浮動株調整後)では、中国は約3.7%程度の配分になるようです。

この指数の国別シェアでは米国、日本、イギリスに続いて第4位にランクインしています。

※データ出所:iシェアーズ MSCI ACWI ETF 2017.7.21時点

長期投資に適するのは、長期的な経済成長率が高い国ではないか?

一般にある国の「名目経済成長率」とその国の「時価総額(市場規模)の増加率」には長期的には正の相関があるとされます。

そして、「時価総額の増加率」と「株式インデックスの上昇率」にも正の相関があります。 

したがって、

長期的に経済成長する国の株式インデックスは長期的に上昇しやすい

つまり、

長期投資に適するのは、長期的な経済成長率が高い国ではないか?

という仮説が成り立ちます。

スポンサーリンク

★ブログランキング参加中 にほんブログ村 株ブログ 米国株へ

長期的な経済成長が期待できる国を予測することは可能なのか?

上記の仮説が正しくて、投資する前に長期的な経済成長を成し遂げる国を予測することができれば、その国の株式インデックスを長期保有することで、長期投資の収益率を大きくできそうな気がします。

 

では、長期的な経済成長が期待できる国を予測することは可能なのか?

おそらく確実に予測することは不可能だと思われます。

今、高い成長率を維持していても、今後何らかの理由でガクッと落ちるかもしれない、その後も長期的に低迷するかもしれない、逆に今、成長率が低くても、何らかの理由で成長率が上昇しないとはいえません。

内戦や政治の混乱、大地震、自然災害、感染症の大流行など、全く予期せぬアクシデントが起きれば、経済成長どころの話ではなくなります。

株価予測と同様、未来のことは断言できないと思われます。

ただ、以下のような手順を踏むことによって予測の精度を少し向上させることができる、かもしれません。

※あくまで「予測が当たる確率が上がるかもしれない」程度の話です

f:id:yukimatu-tousi:20170724232039j:plain

①できれば人口が増える国や地域の株式インデックスを選択する

実質経済成長率に関しては、

実質経済成長率

=人口増加率+一人当たり経済成長率

という式が成り立ち、二つの要素に分けて考えることができるようです。

つまり、一年間で人口が1%増えれば、一人当たり経済成長率が0%でも、実質経済成長率は1%になります。

逆に、人口が1%減れば、一人当たり経済成長率が1%でも、実質0成長になってしまいます。

この式を見れば、長期的な人口の増減が一国の経済規模に大きな影響を与えることは明白です。

 

そして、「人口予測」は数ある経済指標の中で、比較的、的中率が高い指標とされます。

※「予測」という言葉を使っていい経済予測は、人口くらいだ(他の指標はなかなか予測が難しい)と主張する人もいます

「現在の人口、将来の出生率、将来の生存率、将来の国際人口移動率」などのデータがあれば、ある程度精度の高い予測ができるようです。

したがって、比較的予測が当たりやすい人口増加率を頼りに「長期的な経済成長が期待できる国を予測する」こと、つまり

できれば人口が増える国や地域の株式インデックスを選択する

 のは理屈では正しいことになります。

※単に人口増加率が高ければいいわけでもなく、一人当たり経済成長率とのバランスが大切だと思われます

②一人当たり経済成長率は、近年の長期データを用いて推測するのもアリか?

次に、一人当たり経済成長率について考えてみます。

こちらは、人口増加率より予測が難しく振れ幅も大きな要素です。

何か手はあるのか?

 

経験的な私見に過ぎませんが、

実質経済成長率

=人口増加率+一人当たり経済成長率

なので、

一人当たり経済成長率

=実質経済成長率ー人口増加率

になります。

したがって、例えば、

過去10年の一人当たり経済成長率の平均

=「過去10年の実質経済成長率の平均」ー「過去10年の人口増加率の平均」

になります。

10年を20年にしても同様です。

このように、単年度ではなく、一人当たり経済成長率の「長期平均」を参考にすることで、ある程度将来予測はできるかもしれません。

仮に、2005~2015年の一人当たり経済成長率の平均=1.0%であれば、2015~2025年の平均値も「1.0%」から極端に大きくぶれないのではないか、という推測です。

一年ごとの変動は大きいですが、長期でならすと意外とぶれは小さいようなのです。

中国の実質経済成長率、人口増加率、一人当たり経済成長率

ここから中国の実質経済成長率、人口増加率、一人当たり経済成長率について紹介します。

長期的な俯瞰

まず長めの期間で俯瞰してみます。

f:id:yukimatu-tousi:20170724234259p:plain

※出所:世界経済のネタ帳のデータより管理者作成

上記の表は、中国の実質経済成長率、人口増加率、一人当たり経済成長率を

「1980~2015年」の35年間

「1990~2015年」の25年間

の年率平均で示したものです。

年率10%程度の経済成長を35年続けた???

データの信頼性をとやかく言われる中国ですが、普通でない経済成長を長期間続けたのは間違いのないところでしょう。

年代ごとの年率平均と所感

次に、1980~2015年の35年間を10、10、10、5年間で区切って年率平均を算出し、さらに「長期投資」を想定し、2015~2035年の人口増加率の推計を加えると、下記表になります。

f:id:yukimatu-tousi:20170724234317p:plain

※出所:世界経済のネタ帳国連人口推計2015年版(中位推計)のデータより管理者作成

相変わらずびっくりするような成長率です。

これまでに記事にした先進国は人口増加率をかなり気にするのですが、中国の場合、一人当たり経済成長率がとても大きいので、あまり人口のことが気にならないくらいです。

 

実際、高い経済成長率を背景に、2003~2016年の13年間(年末値の比較)で、ドル建ての中国の株式時価総額は約14.3倍に膨らんでいます。

14.3倍?

同時期、例えば以下3つの先進国の時価総額の増加率は

・オーストラリア:約2.2倍

・米国:1.9倍

・日本:1.7倍

なので、先進国とは比較にならない経済成長が、比較にならない時価総額の膨張をもたらした実例の一つといえるかもしれません。

 

ただ、中国の人口増加率は明瞭な低下傾向にあり、2015-2035の増加率はわずか「0.1」と推計されています。

2015年の13.97億人⇒2035年は14.34億人、20年で3700万人程度の増加にとどまり、さらに遠くを見つめれば、2035年をピークに中国は人口減に転じ、2060年には13億人を下回るとの推計がされています。

近年6~7%に鈍化した経済成長率をみていると、経済成長率に関しても、おそらく1990年代、2000年代の約10%がピークで、今後低下してくような雰囲気が濃厚です(これは単なるわたしの推測ですが)。

 

そうはいっても、先進国に比べれば高い成長率なのだから、長期投資をしてもいいという意見ももっともですが、どうもわたしは主に「人口予測」と後日記事にする予定の「生産年齢人口の推移・予測」から、中国への長期投資に積極的になれません。

また、

・ひとたび政治が混乱すれば政争の激化で何が起こるかわからない

・長期の高度経済成長から安定成長へのシフトは難しい、混乱が起きやすい

・豊かになる前に高齢化が進んでいる

・データの信頼性にやや不安あり

・投資した資金の回収にやや不安あり

等、種々のリスク要因から、今回はとても歯切れの悪い不純な判断になってしまうのですが、個人的には

中国へのは長期投資には気が乗らない

というあいまいな判断にとどめさせていただきます。

近年の経済成長、時価総額の膨張の実績だけみれば、とても魅力的なのですが・・・

※単なる個人の感想です。中国が嫌いなわけではありません。投資は自己判断、自己責任でお願い致します

あとがき

今回は中国を記事にしました。

今は「新興国」扱いですが、少し過去を振り返れば中国とインドが世界経済の中心であった時代も長く、かつては米国も日本もドイツも「新興国」 だったわけで、「新興国」という言葉も便利なようでよくわからない言葉です。

例えば、【EEM】iシェアーズ MSCI エマージング・マーケット ETFは、一人当たり名目GDPが27000ドルを超えている韓国、22000ドルを超えている台湾へ多くの配分比率を充てているETFですが、わたしは個人的にはあまり好みではありません。

日本もそうですが、中国、韓国、台湾、タイなどは将来的な人口増加率、人口動態の面でかなり厳しい見通しで、急速な高齢化が進行中の国々であり、

これらの国を中心とした投資が「新興国投資」なのか?

という素朴な疑問があります。単なる個人的な「語感」の問題であり、とやかくいうことでもないのですが・・・

関連記事、3つです。よければどうぞ

www.yukimatu-value.com

www.yukimatu-value.com

www.yukimatu-value.com

 

関連コンテンツ

【ナツユキマツの出版物】

主にブログ内容をまとめた、だけの本です
よければ暇つぶしにどうぞ
※一部加筆
20171207124844


【更新の励みになります。よければ応援クリックを!】

follow us in feedly