ユキマツの「長期投資のタイミング」

「景気(企業利益動向)」「中銀の金融政策(金利動向)」「投資家のリスク許容度」などから長期投資のタイミングを探る投資ブログ

「長期投資に適しそうな国の選定作業」⑦ ~インド・経済成長編~

長期投資に適する国は事前に分かるものなのか?

そんなことは考えない方が身のためか?

「長期投資に適しそうな国の選定作業」シリーズの7回目は名目GDP世界第7位の国(2016年)、インドです。

長期投資に適するのは、長期的な経済成長率が高い国ではないか?

一般にある国の「名目経済成長率」とその国の「時価総額(市場規模)の増加率」には長期的には正の相関があるとされます。

そして、「時価総額の増加率」と「株式インデックスの上昇率」にも正の相関があります。 

したがって、

長期的に経済成長する国の株式インデックスは長期的に上昇しやすい

つまり、

長期投資に適するのは、長期的な経済成長率が高い国ではないか?

という仮説が成り立ちます。


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長期的な経済成長が期待できる国を予測することは可能なのか?

上記の仮説が正しくて、投資する前に長期的な経済成長を成し遂げる国を予測することができれば、その国の株式インデックスを長期保有することで、長期投資の収益率を大きくできそうな気がします。

 

では、長期的な経済成長が期待できる国を予測することは可能なのか?

おそらく確実に予測することは不可能だと思われます。

今、高い成長率を維持していても、今後何らかの理由でガクッと落ちるかもしれない、その後も長期的に低迷するかもしれない、逆に今、成長率が低くても、何らかの理由で成長率が上昇しないとはいえません。

内戦や政治の混乱、大地震、自然災害、感染症の大流行など、全く予期せぬアクシデントが起きれば、経済成長どころの話ではなくなります。

株価予測と同様、未来のことは断言できないと思われます。

ただ、以下のような手順を踏むことによって予測の精度を少し向上させることができる、かもしれません。

※あくまで「予測が当たる確率が上がるかもしれない」程度の話です

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①できれば人口が増える国や地域の株式インデックスを選択する

実質経済成長率に関しては、

実質経済成長率

=人口増加率+一人当たり経済成長率

という式が成り立ち、二つの要素に分けて考えることができるようです。

つまり、一年間で人口が1%増えれば、一人当たり経済成長率が0%でも、実質経済成長率は1%になります。

逆に、人口が1%減れば、一人当たり経済成長率が1%でも、実質0成長になってしまいます。

この式を見れば、長期的な人口の増減が一国の経済規模に大きな影響を与えることは明白です。

 

そして、「人口予測」は数ある経済指標の中で、比較的、的中率が高い指標とされます。

※「予測」という言葉を使っていい経済予測は、人口くらいだ(他の指標はなかなか予測が難しい)と主張する人もいます

「現在の人口、将来の出生率、将来の生存率、将来の国際人口移動率」などのデータがあれば、ある程度精度の高い予測ができるようです。

したがって、比較的予測が当たりやすい人口増加率を頼りに「長期的な経済成長が期待できる国を予測する」こと、つまり

できれば人口が増える国や地域の株式インデックスを選択する

 のは理屈では正しいことになります。

※単に人口増加率が高ければいいわけでもなく、一人当たり経済成長率とのバランスが大切だと思われます

②一人当たり経済成長率は、近年の長期データを用いて推測するのもアリか?

次に、一人当たり経済成長率について考えてみます。

こちらは、人口増加率より予測が難しく振れ幅も大きな要素です。

何か手はあるのか?

 

経験的な私見に過ぎませんが、

実質経済成長率

=人口増加率+一人当たり経済成長率

なので、

一人当たり経済成長率

=実質経済成長率ー人口増加率

になります。

したがって、例えば、

過去10年の一人当たり経済成長率の平均

=「過去10年の実質経済成長率の平均」ー「過去10年の人口増加率の平均」

になります。

10年を20年にしても同様です。

このように、単年度ではなく、一人当たり経済成長率の「長期平均」を参考にすることで、ある程度将来予測はできるかもしれません。

仮に、2005~2015年の一人当たり経済成長率の平均=1.0%であれば、2015~2025年の平均値も「1.0%」から極端に大きくぶれないのではないか、という推測です。

一年ごとの変動は大きいですが、長期でならすと意外とぶれは小さいようなのです。

インドの実質経済成長率、人口増加率、一人当たり経済成長率

ここからインドの実質経済成長率、人口増加率、一人当たり経済成長率について紹介します。

長期的な俯瞰

まず長めの期間で俯瞰してみます。

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※出所:世界経済のネタ帳のデータより管理者作成

上記の表は、インドの実質経済成長率、人口増加率、一人当たり経済成長率を

「1980~2015年」の35年間

「1990~2015年」の25年間

の年率平均で示したものです。

 

中国に比べれば地味ですが、35年間、年率平均で6%以上の経済成長を遂げています。

人口増加率も高めです。

年代ごとの年率平均と所感

次に、1980~2015年の35年間を10、10、10、5年間で区切って年率平均を算出し、さらに「長期投資」を想定し、2015~2035年の人口増加率の推計を加えると、下記表になります。

f:id:yukimatu-tousi:20170817155614p:plain

※出所:世界経済のネタ帳国連人口推計2015年版(中位推計)のデータより管理者作成

インドにおいても人口増加率は徐々に低下傾向にありますが、「一人当たり経済成長率」は2000年代に入って上昇してきているといえそうです(3%台⇒5%以上)

 

2015-2035年の人口増加率は平均で「1%」程度と予測されており、仮にこの期間の一人当たり経済成長率が「4~6%」程度で推移した場合、「5~7%」の実質経済成長率を長期的に期待することも、できなくはなさそうです。

※これは単なる当て推量です

 

ちなみに、データの入手できた2003年末~2016年末の13年間で、米国、中国、日本、インド、ブラジルの時価総額は以下のように変化しています。

米国:1.9倍

中国:14.3倍

日本:1.7倍

インド:5.6倍

ブラジル:3.2倍

 ※概算。データはGLOBAL NOTEより

 

同期間の名目GDPの変化を加えると以下のようになります。

    時価総額 名目GDP 

米国   1.9倍  1.6倍

中国   14.3倍   6.7倍

日本   1.7倍  1.1倍

インド  5.6倍  3.6倍

ブラジル 3.2倍  3.2倍

 ※概算。データはGLOBAL NOTEより

 

また、インドの一人当たり名目GDPは2016年で1723ドルと推計されており(IMF)、未だ2000ドルにも達していません。中国やブラジルは8000ドルを超えています。

また、別の機会に記事にしたいと思いますが、この

・一人当たり名目GDPの低さ

・今後の伸びしろの大きさを期待してもよさそうな点

が、わたしがインドに魅力を感じるポイントの一つでもあります。

 

少し雑然としてしまいましたが、人口動態、経済成長率、一人当たり名目GDPの低さなどから、

インドは長期投資に適しそうな国

とわたしは推測します。

※わたしの推測が当たる保証もありません。投資は自己判断、自己責任でお願い致します

あとがき

今後20年くらいで、世界における存在感が今より大きくなっていそうな国はどこか?

あなたはどう思いますか?

 

中国?アメリカ?意外にロシア?実はインドネシア?

 

未来のことはわかりませんが、あえて一国に賭ければ、わたしはインドのプレゼンスが今より相対的に大きくなっている確率が高いのではないかと思います。

 

10%を超えていた中国の激しい経済成長に比べれば、ゆっくり、混沌と、それでも気づけば巨大な市場が長期的には作り上げられていくような・・・(2050年にはインドの人口は17億人を超えるとの推計。長期的に、毎年1300万人以上の人口増加。毎年東京都並みの人口が増えていく国)

比較的英語に強い国民性も、今後も続く情報化時代、強みのような気がします。

単なる直感ですが。

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