米国景気動向を三つの指標【ISM製造業景気指数】【実質GDP】【OECD景気先行指数(CLI)】で確認してみます。
まず【ISM製造業景気指数】から。
ISM製造業景気指数とは
ISM製造業景気指数とは|金融経済用語集
ISM製造業景気指数は、アメリカ合衆国の米国供給管理協会(ISM:Institute for Supply Management)が発表する、製造業の購買担当役員へのアンケート結果を元にした「企業の景況感」を示す経済指標をいいます。
※引用元:ISM製造業景気指数とは|金融経済用語集
一般的な説明は上記のようになり、簡単に付け加えると以下のようになります。
①この指数が50を上回ると景気拡大、50を下回ると景気後退を示唆するといわれています。50が節目です
②指数が大きくなると景気改善、小さくなると景気悪化を示唆します
③毎月第1営業日に前月の結果が発表され、即時性が高い米国の景況感を示唆する指標です
④個人的な経験則として、株式が割安な時期は、ISM製造業景気指数が50を下回っている可能性が高い、と考えています
ISM製造業景気指数について、詳しくはこちらの記事を参照ください↓
※出所:アメリカ ISM製造業購買担当者指数のグラフより管理者作成
上記グラフはここ5年のISM製造業景気指数の推移です。
節目の50にラインを引いています。
2017.9月のISM製造業景気指数
2017.10月の指数は58.7でした。
前月の「60.8」から下がりましたが、依然として高い値。
米国経済の好調さを示唆していると思われます。
次に実質GDPに移ります。
米国の実質GDPの推移と現在値
※出所:BEA National Economic Accountsのデータより管理者作成
上記のグラフは1995年第1四半期~2017年第3四半期の実質GDP成長率(年率)を四半期ごとに追ってグラフにしたものです。
この期間、約22年のデータの中央値は2.44%です(オレンジのライン)。
2000年第1四半期~2017年第3四半期の中央値は2.17%です。
最新データである「2016年第3四半期~2017年第3四半期」の年間成長率は
2.26%
です。
前期「2016年第2四半期~2017年第2四半期」の「2.21%」より上昇しています。
1995年以降の中央値「2.44」よりは低い値。
2000年以降の中央値「2.17」よりは高い値。
短期的には2016年の第2四半期「1.23%」で底打ちした後の上昇トレンドにあり
米国実体経済は回復基調にある
と思われます。
ただ、少し回復の勢いにかげりを感じます。
※過去3年の推移。出所:BEA National Economic Accountsのデータより管理者作成
米国のOECD景気先行指数(CLI)
最後に、米国の景気動向をOECD景気先行指数(以下:CLI)で探ってみます。
CLIの簡単な説明です。
○OECDが算出している景気動向を判断する指標
○100が基準値
○100より低い⇒景気は悪い(99以下はとても悪い)
○100より高い⇒景気はよい(101以上はとてもいい)
○CLIが下降している⇒景気の減速
○CLIが上昇している⇒景気の加速
詳しくは下記記事を参照ください。
※出所:OECD Data ※期間:1995年1月~2017年7月
米国CLIの長期推移です。
この指標では、米国の景気がとてもよかったのは、2000、2007年頃。まずまずよかったのは1998、2014年頃。
景気がとても悪かったのは。1995~1996、2002~2003、2008~2009年頃。
あまりよくなかったのは2016年頃、でした。
S&P500の推移も見てみると、景気の悪い時期に株を買う戦略はかなりいい線をついていると思います。
といっても、そのチャンスは20数年でたった3回くらいしかありませんが。
※出所:^GSPC Interactive Stock Chart | S&P 500 Stock - Yahoo Finance
ここ3年のCLIです。
※出所:OECD Data
2016年の春から夏をボトムに景気は回復傾向。
ただ、2017年の春以降、この指標では停滞気味。
景気水準としても、100に届かず、良くも悪くもない、普通の水準。
トレンドも景気水準もぱっとしません。
まとめ
【ISM製造業景気指数】【実質GDP】【OECD景気先行指数(CLI)】の3つの観点から、米国の実体経済を観察してみました。
景気のトレンドとして、CLIでは停滞感、実質GDPでは回復ペースのかげりを感じます。
景気の水準としても両者は「普通」くらいです。
その一方、ISM製造業景気指数は絶好調。
どちらが実態をより反映しているのかわかりませんが、引き続き注視していきます。
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