ユキマツの「長期投資のタイミング」

「景気(企業利益動向)」「中銀の金融政策(金利動向)」「投資家のリスク許容度」などから長期投資のタイミングを探る投資ブログ

ナスダックも少し・・・ ~米国市場の概況 2018.3.25~

f:id:yukimatu-tousi:20180324223257p:plain

波乱の米国市場を

「米国株式の割安割高を判断する目安」

になると思われる指標などで概観してみます。

ごく簡単な米国市場の概観

<先週のS&P500>

f:id:yukimatu-tousi:20180324223423p:plain

※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com

3.23は「2588」。1週間で約-6.0%。

週間ではかなりヘビーな下落幅になっています。

史上最高値は2018.1月の「2873」で、今は最高値から「ー9.9%」の水準。

<先週の米国10年国債利回り>

f:id:yukimatu-tousi:20180324223359p:plain

※出所:米国 10年 | 米国 10年 債券利回り

3.23は「2.81%」。先週も主に「2.80%」でウロウロ。

昨年末は「2.41%」。

定点観測

以下の4つで定点観測してみます。

恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>

ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>

S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>

米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>

恐怖指数

恐怖指数(VIX指数)とは

①S&P500を対象とするオプション取引のボラティリティを元に算出される指数

②数値が高いほど投資家が相場の先行きに不透明感を持っているとされる

③1990年2月~2018年1月の長期平均「19.4」

④わたしは主に株式が割安な時期を示唆する指標と考えています(「30」以上で割安かも?)

⑤「10」程度で安定している時期は、投資家は安心・楽観・高揚していると考えられる

推移グラフと現在の状況判断

<1990年からの長期チャート>

f:id:yukimatu-tousi:20180324223831p:plain

※出所:S&P 500 VIXインデックスのグラフより管理者作成 ※期間:1990年~

f:id:yukimatu-tousi:20180324223924p:plain

※出所:S&P 500 VIXインデックス

ここ3ヶ月のチャート。

2018.3.23は「24.87」でした。3.16は「16」程度だったので、週間で大幅な上昇。

今年2月初旬につけた「50」程度にははるかに及ばない水準。

長期平均(「19.4」)を明確に上回り、米国の市場心理は

「やや不安?」

と推測。

目安の「30」以下であり、割安な状況ではなさそうです。

<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>

www.yukimatu-value.com

 
スポンサーリンク


 
★ブログランキング参加中! にほんブログ村 株ブログ 米国株へ 

ジャンク債スプレッド

ジャンク債スプレッドとは

①ジャンク債スプレッド

米国のハイ・イールド債の利回り-米国債(10年物)の利回り

②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向

③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向

④★平均値(幾何平均):3.1

 ★中央値:3.0

<期間:1996.12月~2018.2月の月末>

推移グラフと現在の状況判断

f:id:yukimatu-tousi:20171021220758p:plain

※出所:◎St. Louis Fed米国 10年 債券利回りのデータより管理者作成 ※期間:1996.12月末~2017.12月末

2018.3.22時点のジャンク債スプレッドは「2.2」で、3.15の「2.1」よりやや拡大。

ジャンク債の投げ売りなどは起きておらず、債券のスプレッドは総じて小さく、投資家のリスク許容度はかなり高い水準と推測されます。

水準としては割高圏の目安「2.0」付近、長期平均の「3.1」よりはかなり低い値です。

単なる近年の経験則ですが、この指標からは株式は

「やや割高傾向?」

と推測。

※2018.3.22時点のジャンク債利回り「5.04%」、米国債(10年物)の利回り「2.82%」

<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>

www.yukimatu-value.com

S&P500のPBR

S&P500のPBRとは

①PBRは株式の割安割高を判断する基本的な指標の一つです。1株当たりの純資産に対し、株価が何倍まで買われているかを表したのがPBR(株価純資産倍率)です

②PBRが小さいほど割安、大きいほど割高と判断します

③S&P500のPBRは米国市場の割安割高を判断する一つの目安であり、わたしは主に割安な時期を知る目安として参考にしています

推移グラフと現在の状況判断

f:id:yukimatu-tousi:20180324224555p:plain

※出所:S&P 500 Price to Book Value

1999年末~直近のS&P500のPBRの推移です。

2018.3.23時点の推計値は「3.21」、3.16の「3.36」より大幅に下落。

ITバブルの頃にははるかに及びませんが、サブプライムバブルの頃(2.91)よりは大きな値です。 

長期平均の「2.77」は上回っており、現在は少なくとも

割安な水準ではなさそう

です。

f:id:yukimatu-tousi:20180317201810p:plain

※出所:S&P 500 Price to Book Value

<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>

www.yukimatu-value.com

米国バフェット指標

米国バフェット指標とは

①米国バフェット指標=米国の時価総額÷米国の名目GDP

②米国株式の割安割高を判断する目安

③1995~2017年の各年末のデータから、

★平均値:1.25

★中央値:1.32

④近年の経験則の域を出ませんが

★1.05以下は株式は割安圏?

★1.40以上は株式は割高圏? と推測

推移グラフと現在の状況判断

f:id:yukimatu-tousi:20180117123619p:plain※出所:グローバルノートWFEのデータより管理者作成 ※期間:1995年末~2017年末 

2018.2月末のデータが確認できました。

米国の時価総額は2018.2月末で約「33.9兆ドル」(浮動株調整行わず)。

全世界の39%程度です。

2018.2月末の米国バフェット指標は「1.68」であり、過去最高です。

※2018.2月、S&P500は4%近く下落したのですが、ニューヨーク市場の時価総額はなぜか増加。たまにWFEのデータは間違っており、修正されることもあり、それに伴ってこのバフェット指標の数値も修正するかもしれません

 

現在時点でのS&P500は「2018.2月末の数値(2714)」を4.6%ほど下回っていますが、バフェット指標は依然、割高圏の目安「1.4」を上回っていると推測され、現在の米国株式は割高圏?と推測。

f:id:yukimatu-tousi:20180324225511p:plain

※データ出所:WFE世界経済のネタ帳のデータより管理者作成

※2018年米国名目GDP:20.20兆ドル(IMF推計)。2017年は19.36兆ドル

米国バフェット指標について詳しくはコチラ↓

www.yukimatu-value.com

現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ

あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。

恐怖指数⇒割安ではなさそう

ジャンク債スプレッド⇒やや割高傾向?

S&P500のPBR⇒割安ではなさそう

 ★米国バフェット指標 ⇒割高圏?

総合的に判断すると、わたしは米国株式は「割高圏?」と推測します。

現時点での米国株の長期投資のタイミングとしては

①リスク資産の資産配分が大きくなりすぎていれば、所定の配分に戻す

②資産配分において、株式の配分比率を減らす

③資産配分において、現金の配分比率を増やす

④長期投資を一時やめる(投資をやめる機会を探している場合)

のに適す時期だと考えています。単なる経験則ですが。

※概ね10年以上を想定した長期投資に関する一つの判断です。短期、中期的な投資には役立たない可能性が高いです

※基本的にできるだけ「割高な時期に株を売り、割安な時期に株を買う」という判断に基づいています

※単なる個人の感想です。未来は誰にも予知できません。投資は自己判断、自己責任で  

ITバブル、サブプライムバブル、現在のデータ比較

※表のデータ出所 ・世界のバフェット指標:GLOBAL NOTEWorld Federation of Exchanges・OECD景気先行指数:OECD Data ・シラーPER:Shiller PE Ratio ・失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg

f:id:yukimatu-tousi:20180324232141p:plain

ほんのわずかですが、ジャンク債スプレッド(ジャンク債利回り-長期金利)が拡大してきた印象。

あとがき

今週はFAANGの一角、フェイスブックが崩れました。

2018.2月のピークが「195」。現在「159」。ピークから「-18%」の水準。

ここ5年で株価は5倍以上になっており、今は蚊に刺された程度。

<ここ5年>

f:id:yukimatu-tousi:20180324230856p:plain

※出所:https://jp.investing.com/equities/facebook-inc

ナスダックも現在は2009.3月の安値から5.5倍以上の水準であり、もし今後、景気トレンドの悪化が鮮明になるようなら、要注意の時期かもしれません。

<ナスダック・ここ10年>

f:id:yukimatu-tousi:20180324231435p:plain

※出所:SBI証券

 

今年1月までは無敵状態。

2月初めに一波乱。

約1月半後の3月後半、2発目の波乱。

また今回も2月の下落後のようにゆっくり戻すのか、2018.1月頃が当分のピークとなるのか。

それなりに株価は動いていますが、とりあえず現状ではクレジットスプレッドを筆頭に、投資家の悲観、不安の度合いはそれほど強まっていないという印象。

関連記事

www.yukimatu-value.com

関連コンテンツ




【更新の励みになります。よければ応援クリックを!】

follow us in feedly