「米国株式の割安割高を判断する目安」
になると思われる指標などで概観してみます。
ごく簡単な米国市場の概観
<先週のS&P500>
※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
3.29は「2641」。1週間で+2.0%。月間で3月は「-2.7%」と2月に続いて続落。
史上最高値は2018.1月の「2873」で、今は最高値から「-8.1%」の水準。
<先週の米国10年国債利回り>
3.29は「2.74%」。先週後半は2.7%台で推移。
一時的な利回り低下?長期的な変化の兆し?
昨年末は「2.41%」。
定点観測
以下の4つで定点観測してみます。
★恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>
★ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>
★S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>
★米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>
恐怖指数
恐怖指数(VIX指数)とは
①S&P500を対象とするオプション取引のボラティリティを元に算出される指数
②数値が高いほど投資家が相場の先行きに不透明感を持っているとされる
③1990年2月~2018年1月の長期平均「19.4」
④わたしは主に株式が割安な時期を示唆する指標と考えています(「30」以上で割安かも?)
⑤「10」程度で安定している時期は、投資家は安心・楽観・高揚していると考えられる
推移グラフと現在の状況判断
<1990年からの長期チャート>
※出所:S&P 500 VIXインデックスのグラフより管理者作成 ※期間:1990年~
ここ3ヶ月のチャート。
2018.3.29は「19.97」でした。3.23は「25」程度だったので、週間で大きめの下落。
ほぼ長期平均(「19.4」)程度であり、米国の市場心理は
「ふつう?」
と推測。
目安の「30」以下であり、割安な状況ではなさそうです。
<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>
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ジャンク債スプレッド
ジャンク債スプレッドとは
①ジャンク債スプレッド
=米国のハイ・イールド債の利回り-米国債(10年物)の利回り
②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向
③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向
④★平均値(幾何平均):3.1
★中央値:3.0
<期間:1996.12月~2018.2月の月末>
推移グラフと現在の状況判断
※出所:◎St. Louis Fed◎米国 10年 債券利回りのデータより管理者作成 ※期間:1996.12月末~2017.12月末
2018.3.29時点のジャンク債スプレッドは「2.3」で、3.22の「2.2」よりやや拡大。
米国社債スプレッドと同様、徐々に拡大傾向か。
水準としては割高圏の目安「2.0」付近、長期平均の「3.1」よりはかなり低い値です。
単なる近年の経験則ですが、この指標からは株式は
「やや割高傾向?」
と推測。
※2018.3.29時点のジャンク債利回り「5.05%」、米国債(10年物)の利回り「2.74%」
<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
S&P500のPBR
S&P500のPBRとは
①PBRは株式の割安割高を判断する基本的な指標の一つです。1株当たりの純資産に対し、株価が何倍まで買われているかを表したのがPBR(株価純資産倍率)です
②PBRが小さいほど割安、大きいほど割高と判断します
③S&P500のPBRは米国市場の割安割高を判断する一つの目安であり、わたしは主に割安な時期を知る目安として参考にしています
推移グラフと現在の状況判断
※出所:S&P 500 Price to Book Value
1999年末~直近のS&P500のPBRの推移です。
2018.3.29時点の推計値は「3.23」、3.23の「3.21」よりやや上昇。
ITバブルの頃にははるかに及びませんが、サブプライムバブルの頃(2.91)よりは大きな値です。
長期平均の「2.77」は上回っており、現在は少なくとも
割安な水準ではなさそう
です。
※出所:S&P 500 Price to Book Value
<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>
米国バフェット指標
米国バフェット指標とは
①米国バフェット指標=米国の時価総額÷米国の名目GDP
②米国株式の割安割高を判断する目安
③1995~2017年の各年末のデータから、
★平均値:1.25
★中央値:1.32
④近年の経験則の域を出ませんが
★1.05以下は株式は割安圏?
★1.40以上は株式は割高圏? と推測
推移グラフと現在の状況判断
米国の時価総額は2018.2月末で約「33.9兆ドル」(浮動株調整行わず)。
全世界の39%程度です。
2018.2月末の米国バフェット指標は「1.68」であり、過去最高です。
※2018.2月、S&P500は4%近く下落したのですが、ニューヨーク市場の時価総額はなぜか増加。たまにWFEのデータは間違っており、修正されることもあり、それに伴ってこのバフェット指標の数値も修正するかもしれません
現在時点でのS&P500は「2018.2月末の数値(2714)」を2.7%ほど下回っていますが、バフェット指標は依然、割高圏の目安「1.4」を上回っていると推測され、現在の米国株式は割高圏?と推測。
※2018年米国名目GDP:20.20兆ドル(IMF推計)。2017年は19.36兆ドル
米国バフェット指標について詳しくはコチラ↓
現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ
あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。
★恐怖指数⇒割安ではなさそう
★ジャンク債スプレッド⇒やや割高傾向?
★S&P500のPBR⇒割安ではなさそう
★米国バフェット指標 ⇒割高圏?
総合的に判断すると、わたしは米国株式は「割高圏?」と推測します。
現時点での米国株の長期投資のタイミングとしては
①リスク資産の資産配分が大きくなりすぎていれば、所定の配分に戻す
②資産配分において、株式の配分比率を減らす
③資産配分において、現金の配分比率を増やす
④長期投資を一時やめる(投資をやめる機会を探している場合)
のに適す時期だと考えています。単なる経験則ですが。
※概ね10年以上を想定した長期投資に関する一つの判断です。短期、中期的な投資には役立たない可能性が高いです
※基本的にできるだけ「割高な時期に株を売り、割安な時期に株を買う」という判断に基づいています
※単なる個人の感想です。未来は誰にも予知できません。投資は自己判断、自己責任で
ITバブル、サブプライムバブル、現在のデータ比較
※表のデータ出所 ・世界のバフェット指標:GLOBAL NOTE、World Federation of Exchanges・OECD景気先行指数:OECD Data ・シラーPER:Shiller PE Ratio ・失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg
・ジャンク債スプレッド(ジャンク債利回り-長期金利):やや拡大
・米国実質経済成長率(2016y4q⇒2017y4q):2.5⇒2.6%に上方修正
・長短金利差(10y-2y利回り):0.47%(2.74-2.27%)
長短金利差が0.5%を下回ってきましたが、一時的な現象かどうか。
あとがき
<ナスダックのここ1ヶ月>
2018.3月に「7,637」でピークをつけたナスダックは急落。
3月後半はさえず、今は最高値から「-7.5%」程度の水準。
ナスダック上場の電気自動車メーカーTesla Inc (TSLA)を心配する記事も出始め、昨年は一顧だにされなかったネガティブ情報への感度が高まってきている印象。
9年で5倍以上になったナスダック市場の変調、投資スタンスにもよりますが、どうしても気にはなるところ。
長短金利差の急速な縮小も気になります。
※出所:10-Year Treasury Constant Maturity Minus 2-Year Treasury Constant Maturity | FRED | St. Louis Fedより管理者作成
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