ユキマツの「長期投資のタイミング」

「景気(企業利益動向)」「中銀の金融政策(金利動向)」「投資家のリスク許容度」などから長期投資のタイミングを探る投資ブログ

「13年間で学んだこと②」 株はできれば「景気の悪い時期」にたくさん買いたい

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「13年間で学んだこと」シリーズの2回目です。

●参照:「13年間で学んだこと①」 株価は何で決まるのか?

13年間で学んだこと② 株はできれば「景気の悪い時期」にたくさん買いたい

今から10年くらい前、FXや投資信託やコモディテイ等を含め、投資はあれこれ試していましたが、

景気

のことなど、あまり気にしていませんでした。

「景気?株は利益が大事。景気なんて個別銘柄にそれほど関係ない」

そんなノリもありました。

投資の世界にもまれているうちに、最近では

「長期投資の収益率

に関しては、景気、特に

米国や世界の「景気動向」や「景気サイクル」の把握

が大きな鍵を握っているのではないかと推測しています。

長い目で、投資の収益率を上げるには、

★できれば景気の悪い時期に株をたくさん買い、

★景気のいい時期には少し買う、あるいは一部か全部売っておく

のが、有効ではないかと。

そもそも景気とは?

【景気】の定義の例。

売買や取引などに現れる経済活動の状況。特に、経済活動が活気を帯びていること。好景気。「景気が上向く」「景気が回復する」「景気のいい店」

※引用元:景気(ケイキ)とは - コトバンク

【景気循環】の説明。

景気は常に上昇し続ける事も、逆に下降し続ける事も無く、長期的には上昇と下降を繰り返している。こうした変動を景気循環と呼んでいる。その中において景気が上昇している状態を「好景気」(好況、単に「景気」とも)や「景気の回復」と呼び、逆に景気が下降している状態を「不景気」(不況)や「景気の悪化」と呼んでいる。

※引用元:景気 - Wikipedia

ごく簡単に理解すると

★景気

①売買や取引の状況

②活発なら好景気

③不活発なら不景気

④景気は循環的で好景気、不景気を繰り返す

景気から見た4つの相場

景気から見ると株式相場は4つに分けられるとする説もあります。

①「金融相場」②「業績相場」③「逆金融相場」④「逆業績相場」。

①「金融相場」

深刻化した不景気が落ち着いた段階。

政策金利(短期金利)は極めて低い状態。

相場としては総悲観に近い。

②「業績相場」

景気の底が見え、景気が上向きになったことが明確になる時期。

企業の業績も大幅な回復を見せ、相場も大いに盛り上がる時期。

③「逆金融相場」

企業業績自体は比較的好調ながら、政策金利の引き上げが行われ景気の過熱が心配される時期。

景気の回復が鮮明となり、相場全体も楽観ムード。

④「逆業績相場」

政策金利の上昇や在庫数の伸びなどから企業業績が落ち始める時期。

各経済指標などからも確認できる景気の後退局面で、業績悪化傾向の銘柄は大いに売られ、将来性よりも安定性が重視される相場。

※参考サイト:景気循環と株式投資

この視点だと、今は③か③~④辺りでしょうか。

株はできれば「景気の悪い時期」にたくさん買いたい

株価の決定要因として主に次の3つが挙げられると思います。

企業利益

金利

③投資家のリスク許容度(期待度)

※参考:「13年間で学んだこと①」 株価は何で決まるのか?

景気の悪い時期、企業利益は落ち、将来の利益予想も下がりがちです。

またこの時期、投資家のリスク許容度は下がり、将来への期待度合いは低下、投資家心理は悲観、不安になびきやすい。

つまり

①企業利益 ↓

③投資家のリスク許容度 ↓

の要因で、景気の悪い時期に株価は過度に割安になりやすいのではないかと思われます。

例えば、リーマンショック後の不況期には以下のようなことが見うけられました。

●「何千億円」単位の赤字を出す企業が続出

●リストラ、就職難という言葉が飛び交う

●「米国型資本主義の終焉」「二番底懸念」がテーマになった

いつ株を売るか

も大事なポイントですが、基本、割安に買えれば、その後がすごく楽になる。

当たり前ですが、投資で大失敗しないためには、できるだけ

「割安」に株を買いたい

わけで、割安に買うには5~10年程度のスパンで

できるだけ「景気の悪い時期」を我慢強く待つ、という選択

も悪くないのでは?

とわたしは今は思います。

※この手法がベストとは思いません。機会損失リスクに満ちた、わたしが好きなスタイルです。

「徹底的にタイミングを読まない投資スタイル」もシンプルで合理的な戦略と思われます。変に欲張らず、ポートフォリオ運用で、暴落時にリバランスすることで満足する方が、大人の対応かもしれません

※一例ですが「景気が悪い時期に始める積み立てインデックス投資」は負けにくい投資スタイルかもしれません

景気の悪い時期と株価

では、景気の悪い時期に株式は割安だったのか、分かりやすいグラフの一例として、米国失業率と米国株価の比較グラフを見てみます。

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※出所:US Unemployment RateYahoo Financeのデータより管理者作成 ※期間:1995年1月~2018年2月

米国の失業率と「<S&P500>÷200」の推移を併記したグラフです。

「失業率が急上昇し、しばらく高水準を保つ時期≒景気が悪い時期」

とすると、①②のような景気の悪い時期に、株価が割安であったことが確認できます。

ただの後講釈であり、過去に起きたことが未来に再現されない可能性もありますが、わたしは基本的に今後も

景気の悪い時期に株式が割安になりやすい

という仮説を大事にしていくつもりです。

今の景気を知る術

本記事の最後に、わたしなりの「景気を探る指標」を挙げてみます。

①米国失業率

毎月データが入手でき即時性が高い便利な景気指標

②CLI(OECD全体)

OECDが発表している景気指標。

即時性は低いですが、概ね世界全体、という意味合いで頼りになる景気指標。

「100」より小さい時期が不景気の目安。

最近だと2016年頃、2012年頃、2008~2009年頃、2001~2003年頃が不景気。

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※出所:OECD Dataより管理者作成

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※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.comより管理者作成

CLIについて詳しくは↓

株は景気の悪い時期に買う~OECD景気先行指数からのメッセージ~ - ユキマツの「長期投資のタイミング」

③グローバル製造業PMI

全世界の製造業の景況感です。

「製造業」という縛りはありますが、毎月データが入手でき即時性は高く、長期データがあり、世界全体、という意味合いでも頼りになる景気指標。

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※出所:http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/pdf/macro/2017/fuji20180306mf.pdfより管理者作成

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※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.comより管理者作成

④米国実質経済成長率

四半期ごとのゆっくりしたデータですが、世界経済の中心、米国の実体経済を探るうえで欠かせない指標

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※出所:BEA National Economic Accountsのデータより管理者作成

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※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.comより管理者作成

⑤米国景気サイクル

長くても5~10年程度で景気拡大期は終了し、景気後退期が訪れることが多い

という経験則の根拠が米国の景気サイクルです。

あくまで経験則に過ぎませんが、今後も景気循環が今までのように続くなら、とても参考になる情報です。

下記データによれば、1945年以降の米国の景気拡大期の平均は約5年、最長で10年。

直近3回の景気拡大期の平均は「95ヶ月」(7年11ヶ月。約8年)。

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※出所:景気循環でみると2017年に米景気は後退期入り?|第一商品より管理者作成

ざっくりと、今の景気

世界的な景気水準

まあまあ良好(CLIはぱっとしませんが、製造業PMIや米国景気の水準は良好)

世界的な景気トレンド

2017年末頃から、やや下降気味?(CLI、製造業PMIのトレンドから)

「長期的な景気後退」の兆しかどうかはわかりませんが、下降トレンドが続くなら、要注意な状況。

米国景気サイクル

2009年6月から2018年3月で9年近く景気拡大が続いている。

2018~2020年頃、景気後退が始まる可能性が、経験的には高そう。

おわりに

未来のことはわかりませんが、今後も「景気動向の確認」を当サイトの一つの柱としていきたいと思います。

マイナーなテーマかもしれませんが、関心のある方はお付き合いください。

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