ユキマツの「長期投資のタイミング」

「景気(企業利益動向)」「中銀の金融政策(金利動向)」「投資家のリスク許容度」などから長期投資のタイミングを探る投資ブログ

インデックス投資の出口戦略のタイミング

f:id:yukimatu-tousi:20180806155301p:plain

水瀬ケンイチさんの最近の著作やはちどうさんの記事を読んで、

インデックス投資の出口戦略のタイミング

について、わたしなりに考えてみました。

①景気拡大期の後期

株価の未来は読めませんが、景気に関しては循環性があり、景気が

好況と不況を繰り返す

というのは一般的なことのようです。

そして、不況が来れば、たいていは

不況の前に株価は下落を始め、不況とともに大きく下落していく

という傾向もはっきりしています。

よって、好況が長く続けばそのうち不況がやってきて株価は大きく下がることが多いのだから、景気拡大期の後期、まだ景気がいい間に余裕を持って

市場から一部、あるいは全てのリスク資産を脱出させておく

という手法は一つの選択肢にはなると思われます。

※参考データ

1950年以降の米国における10回の景気後退期の平均株価下落率:27.4%(S&P500)。3割くらいは不況に伴って株式インデックスが下落するという経験則。

より詳しくはコチラの記事を

株価の「ピーク」と「ボトム」のタイムラグ・ピークからの下落率① 

※1945年以降の経験則ですが、米国の景気拡大期は平均約5年。最長で10年。景気拡大が5年以上続いたら少しずつ出口を探り出してもよいのかもf:id:yukimatu-tousi:20180408231641p:plain

※出所:景気循環でみると2017年に米景気は後退期入り?|第一商品より管理者作成

※もちろん景気拡大が10年以上続く可能性もあり、早すぎる撤退は機会損失のリスクをともないます

※今の景気を知るための指標の例

・失業率→米国の失業率は底打ちしたか?

・PMI、CLI→世界景気拡大ペースの鈍化 6ヶ月続く 

②過去5年の世界株のパフォーマンスが過去20~30年のパフォーマンスと比べてよい時期

一般に、景気がいい時期の株式リターンはよく、景気が悪い時期のリターンは悪くなります。

数十年の長期リターンは株価が好調な「好況期」と不調な「不況期」、両方を含み平均化されたデータになります。

一方、3年や5年の短めのデータは大きな不況期を含まず、好況続きで株価が好調な時期だけのリターンになっている可能性があります。

そこで、好況不況を含む直近数十年の長期リターンの平均値を直近5年程度のリターンと比較してみます。

 <MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス (ACWI)のドル建てリターン、リスク>

f:id:yukimatu-tousi:20180806160116p:plain

※出所:『MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス (ACWI)』 |株価指数より管理者作成

5年程度のリターンが長期平均より大きければ、それは好況のおかげである可能性が高く、不況がくれば株価は下落し、長期リターンに収斂する、つまり平均回帰する可能性が高い。

したがって、株式リターンの平均回帰性を支持するならば、

●過去5年程度のリターンの度合い

●今が景気循環のどの段階にいるかも考慮して

出口戦略を考えるのも悪くない?

という考えもありかもしれません。

③米国や日本市場のPBRが長期平均より高い時期

市場全体のPBRは近年においては市場全体の割安割高の指標として有効だったと思われます。

市場全体のPBRが長期平均より高い時期に出口に向かうのは一つの有力な選択肢。

f:id:yukimatu-tousi:20180806160726p:plain※出所:その他統計資料 | 日本取引所グループ 日経平均株価【998407】:国内指数 - Yahoo!ファイナンスより管理者作成 ※期間:1999.1~2018.6

f:id:yukimatu-tousi:20180806160948p:plain

※出所:S&P 500 Price to Book Valueより管理者作成

④クレジットスプレッドが長期平均より小さい時期

f:id:yukimatu-tousi:20180624215100p:plain

※出所:https://fred.stlouisfed.org/series/BAA10Yより管理者作成

一つの例ですが、クレジットスプレッド

「米国の社債(ムディーズ格付けBaa。中等度のリスク)」と「米国債(10年物)」の利回りの差

の推移です。

スプレッド(利回り差)が小さいほど投資家のリスク許容度が高い、と推測。

スプレッドが長期平均より小さい時期の方が、投資家は強気で株価は割高になっている可能性が高く、スプレッドが大きい時期に比べれば、出口に向かうのに適しているかもしれません。

 

他にも「信用買い残」「バフェット指標」等、目安になりそうなものは多々ありますが、長くなるのでこのへんで。

わたしなりの結論

上記の仮説をふまえたわたしなりの考え。

①近年のバブル期の状況を調べる(バブル期が出口に向かうのに最も適した時期のハズ)

②複数の指標で、近年のバブル期、ITバブル期(2000年頃)やサブプライムバブル期(2007年頃)と「今」がどの程度似通っているかを分析する

※ITバブル・サブプライムバブルの崩壊による株価下落は米国の景気後退が始まる少し前、あるいはほぼ同時に始まっています(ITバブルは約1年前、サブプラは約2ヶ月前)

③過去のバブル期と似ていれば似ているほど「今」が出口に向かうのに適している可能性は高いと経験的に判断

④過去のバブル期と似ている場合、景気の状況をみながら、今、景気拡大傾向が明確であれば比較的ゆっくり計画的に、景気後退の兆しがはっきりしていれば早めにリスク資産を減らし出口に向かう

個人的には、このような手順を踏むことで、後々「悪くない時期に脱出できた」と思える可能性は上がるのではないか?と考えます。

2018年8月現在に関して、出口に向かうには悪くない時期と思ってはいますが、先のことはわかりません。

また、ざっくりした考えですが、ベストのタイミングは誰にもわからないので、視点を少し変えて

●いつが出口タイミングとして最悪なのかを意識し

●自分が出口に向かったのが最悪の時期でなければベターな判断を下せたことにして満足する

というおおらかな発想も、一つの現実的で魅力的な出口戦略と思います。

※最悪の時期とはおそらく「景気後退による株価低迷期」「長期平均に比べてPBRが低い時期」「クレジットスプレッドが大きい時期」など、投資家がリタイアしやすい時期

※近年の経験に基づいた個人の感想です。出口戦略の実行は自己責任で

関連記事

www.yukimatu-value.com

www.yukimatu-value.com

関連コンテンツ




【更新の励みになります。よければ応援クリックを!】

follow us in feedly