ユキマツの「長期投資のタイミング」

「景気(企業利益動向)」「中銀の金融政策(金利動向)」「投資家のリスク許容度」などから長期投資のタイミングを探る投資ブログ

S&P500は1月の高値更新直前で寸止め状態 ~米国市場の概況~

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酷暑ですが、あと3ヶ月もすればきっとこんな雰囲気。

先週の米国市場を

「米国株式の割安割高を判断する目安」

になると思われる指標などで概観してみます。

ごく簡単な米国市場の概観

<先週のS&P500>

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※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com

8.10は「2833」。前週比-0.2

7月末は「2816」なので、8月は今のところ+0.6%

史上最高値は2018年1月の「2873」で、今は最高値から「-1.4」の水準。

<先週の米国10年国債利回り>

f:id:yukimatu-tousi:20180811110924p:plain※出所:米国 10年 | 米国 10年 債券利回り

8.10は「2.87%」。2.9%台をキープしていましたが、トルコや欧州金融機関への不安もあり週末下落。

昨年末は「2.41%」。

定点観測

以下の4つで定点観測してみます。

恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>

ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>

S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>

米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>

恐怖指数

<ここ半年>

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<今週>

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※出所:S&P 500 VIXインデックス

2018.8.10は「13.16」。前週の「11.64」より上昇。

先週

いよいよ低くなってきており、逆に怖い感じ。

と書いていましたが、週の後半まで低下を続け、週末にトルコがらみで大きめの上昇。

それでも長期平均(「19.4」)より低く、米国の市場心理は

やや安心?

と推測。

欧州株は動いていますが米国株のダメージは比較的軽微。

目安の「30」以下であり、割安な状況ではなさそうです。

<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>

www.yukimatu-value.com
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ジャンク債スプレッド

ジャンク債スプレッドとは

①ジャンク債スプレッド

米国のハイ・イールド債の利回り-米国債(10年物)の利回り

②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向

③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向

④★平均値(幾何平均):3.0

 ★中央値:3.0

<期間:1996.12月~2018.7月の月末>

推移グラフと現在の状況判断

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※出所:◎St. Louis Fed米国 10年 債券利回りのデータより管理者作成 ※期間:1996.12月末~2018.6月末

2018.8.8時点のジャンク債スプレッドは「2.2」で、前週の「2.2」と変わらず。

※ジャンク債利回り「5.11%」、米国債(10年物)の利回り「2.96%」

長期平均は「3.0」であり、単なる近年の経験則ですが、この指標からは株式は

「やや割高傾向?」

と推測。

<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>

www.yukimatu-value.com

S&P500のPBR

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※出所:S&P 500 Price to Book Value

1999年末~直近のS&P500のPBRの推移です。

2018.8.10時点の推計値は「3.43」。前週の「3.42」より上昇。

ITバブルの頃のピーク(5.06)にははるかに及びませんが、サブプライムバブルの頃のピーク(2.91)よりは大きな値です。 

長期平均の「2.78」は上回っており、現在は少なくとも

割安な水準ではなさそう

です。

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※出所:S&P 500 Price to Book Value

<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>

www.yukimatu-value.com

米国バフェット指標

米国バフェット指標とは

①米国バフェット指標=米国の時価総額÷米国の名目GDP

②米国株式の割安割高を判断する目安

③1995~2017年の各年末のデータから、

★平均値:1.25

★中央値:1.32

④近年の経験則の域を出ませんが

★1.05以下は株式は割安圏?

★1.40以上は株式は割高圏? と推測
⑤米国の時価総額=NYSE+Nasdaq

推移グラフと現在の状況判断

f:id:yukimatu-tousi:20180117123619p:plain※出所:グローバルノートWFEのデータより管理者作成 ※期間:1995年末~2017年末 

米国の時価総額は2018年6月末で約「34.2兆ドル」(5月末は「34.0兆ドル」。浮動株調整行わず)。

2018年6月末の米国バフェット指標は「1.68」(5月末は「1.67」)。

現在、割高圏の目安「1.4」を上回っていると推測され、現在の米国株式は

割高圏?

と推測。

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※データ出所:WFE世界経済のネタ帳のデータより管理者作成

※2018年米国名目GDP:20.41兆ドル(IMF推計)。2017年は19.39兆ドル

米国バフェット指標について詳しくはコチラ↓

www.yukimatu-value.com

現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ

あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。

恐怖指数⇒割安ではなさそう

ジャンク債スプレッド⇒やや割高傾向?

S&P500のPBR⇒割安ではなさそう

 ★米国バフェット指標 ⇒割高圏?

総合的に判断すると、わたしは米国株式は「割高圏?」と推測します。

現時点での米国株の長期投資のタイミングとしては

①リスク資産の資産配分が大きくなりすぎていれば、所定の配分に戻す

②資産配分において、株式の配分比率を減らす

③資産配分において、現金の配分比率を増やす

④長期投資を一時やめる(投資をやめる機会を探している場合)

のに適す時期だと考えています。単なる経験則ですが。

※概ね10年以上を想定した長期投資に関する一つの判断です。短期、中期的な投資には役立たない可能性が高いです

※基本的にできるだけ「割高な時期に株を売り、割安な時期に株を買う」という判断に基づいています

※単なる個人の感想です。未来は誰にも予知できません。投資は自己判断、自己責任で  

ITバブル、サブプライムバブル、現在のデータ比較

※表のデータ出所 ・世界のバフェット指標:GLOBAL NOTEWorld Federation of Exchanges・OECD景気先行指数:OECD Data ・シラーPER:Shiller PE Ratio ・失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg

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恐怖指数が上昇。

長短金利差が縮小。

あとがき

7月は久々に世界的な株高がみられ、

やっぱり今年も大丈夫じゃないか・・・

という雰囲気も生まれだしていたところにトルコがらみの冷や水。

<USD/TRY:ここ5年>

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※出所:USD TRY | アメリカドル トルコリラ 相場情報 - Investing.com

このレートは5年前約「2」。

今は「6.40」なので(数値が大きい方がドル高、リラ安)、ここ5年でトルコリラの価値はドルに対して3分の1以下になってます。

特に今年に入ってからの暴落度合いが目立ちます。

<S&P500:ここ1年>

f:id:yukimatu-tousi:20180811113038p:plain※出所:https://jp.investing.com/indices/us-spx-500

S&P500は1月の高値更新直前で寸止め状態。

今年1月よりも今は世界景気の穏やかな減速トレンドが明確。

FRBの金融引き締めスタンスも明確で、ECBや日銀も金融緩和を推し進める状況ではなく、世界全般にはさえない2018年の株式市場。

そんな中、まだ景気がいい米国の株式市場が消去法的に選好されているという印象を受けますが、はたして。

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