ユキマツの「長期投資のタイミング」

「景気(企業利益動向)」「中銀の金融政策(金利動向)」「投資家のリスク許容度」などから長期投資のタイミングを探る投資ブログ

金利や貿易戦争? ~米国市場の概況~

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先週の米国市場を

「米国株式の割安割高を判断する目安」

になると思われる指標などで概観してみます。

ごく簡単な米国市場の概観

<先週のS&P500>

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※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com

10.12は「2767」。前週比-4.1

久々に大きめの下落。

9月末は「2914」なので、9月は今のところ-5.0%

最高値は2018年9月の「2941」で今は高値から「-5.9%」の水準。

<先週の米国10年国債利回り>

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※出所:米国 10年 | 米国 10年 債券利回り

10.12は「3.17%」。

先週末は「3.23%」だったので、利回りは低下しています。

ただ、それほど下げておらず、9月末の「3.07%」よりはまだ高い水準。

昨年末は「2.41%」であり今年は約0.8%上昇。

定点観測

以下の4つで定点観測してみます。

恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>

ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>

S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>

米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>

恐怖指数

<ここ半年>

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<先週>

f:id:yukimatu-tousi:20181013160053p:plain※出所:S&P 500 VIXインデックス

2018.10.12は「21.31」。前週の「14.82」より上昇。

10.11に一瞬「28.64」まで上昇。

この数値が今回のピークとなりずるずるとまた下げていくのか、さらなる上昇があるかどうか。

わたしのVIXロングポジションはそこそこの利益、一部利確。

長期平均(「19.3」)よりやや高く、米国の市場心理は

やや不安?

と推測。

目安の「30」以下であり、割安な状況ではなさそうです。

<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>

www.yukimatu-value.com
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ジャンク債スプレッド

ジャンク債スプレッドとは

①ジャンク債スプレッド

米国のハイ・イールド債の利回り-米国債(10年物)の利回り

②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向

③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向

④★平均値(幾何平均):3.0

 ★中央値:3.0

<期間:1996.12月~2018.8月の月末>

推移グラフと現在の状況判断

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※出所:◎St. Louis Fed米国 10年 債券利回りのデータより管理者作成 ※期間:1996.12月末~2018.6月末

2018.10.11時点のジャンク債スプレッドは「2.3」で、前週の「2.0」より大幅に拡大。

※ジャンク債利回り「5.40%」、米国債(10年物)の利回り「3.15%」

スプレッドの拡大はリスク許容度の低下を示唆すると思われ、久々にリスクを意識して

ジャンク債から少し資金が逃げた

っぽい状況。

続くかどうか不明ですが。

長期平均は「3.0」であり、単なる近年の経験則ですが、この指標からは株式は

「やや割高傾向?」

と推測。

<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>

www.yukimatu-value.com

S&P500のPBR

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※出所:S&P 500 Price to Book Value

1999年末~直近のS&P500のPBRの推移です。

2018.10.12時点の推計値は「3.32」。前週の「3.46」より大幅低下。

水準としてはITバブルの頃のピーク(5.06)にははるかに及ばず、サブプライムバブルの頃のピーク(2.91)は上回る水準。

長期平均の「2.79」は大幅に上回っており、現在は少なくとも

割安な水準ではなさそう

です。

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※出所:S&P 500 Price to Book Value

<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>

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米国バフェット指標

米国バフェット指標とは

①米国バフェット指標=米国の時価総額÷米国の名目GDP

②米国株式の割安割高を判断する目安

③1995~2017年の各年末のデータから、

★平均値:1.25

★中央値:1.32

④近年の経験則の域を出ませんが

★1.05以下は株式は割安圏?

★1.40以上は株式は割高圏? と推測
⑤米国の時価総額=NYSE+Nasdaqで計算

推移グラフと現在の状況判断

f:id:yukimatu-tousi:20180117123619p:plain※出所:グローバルノートWFEのデータより管理者作成 ※期間:1995年末~2017年末 

※9月末のデータは確認できず

米国の時価総額は2018年8月末で約「36.2兆ドル」(前月末は「35.2兆ドル」。浮動株調整行わず)。

2018年8月末の米国バフェット指標は「1.77」(前月末は「1.72」)。

現在、割高圏の目安「1.4」を上回っていると推測され、現在の米国株式は

割高圏?

と推測。

※2017年以降、「2017.3」「2018.3」以外はずっと増加している米国時価総額

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※データ出所:WFE世界経済のネタ帳のデータより管理者作成

※2018年米国名目GDP:20.41兆ドル(IMF推計)。2017年は19.39兆ドル

米国バフェット指標について詳しくはコチラ↓

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現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ

あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。

恐怖指数⇒割安ではなさそう

ジャンク債スプレッド⇒やや割高傾向?

S&P500のPBR⇒割安ではなさそう

 ★米国バフェット指標 ⇒割高圏?

総合的に判断すると、わたしは米国株式は「割高圏?」と推測します。

現時点での米国株の長期投資のタイミングとしては

①リスク資産の資産配分が大きくなりすぎていれば、所定の配分に戻す

②資産配分において、株式の配分比率を減らす

③資産配分において、現金の配分比率を増やす

④長期投資を一時やめる(投資をやめる機会を探している場合)

のに適す時期だと考えています。単なる経験則ですが。

※概ね10年以上を想定した長期投資に関する一つの判断です。短期、中期的な投資には役立たない可能性が高いです

※基本的にできるだけ「割高な時期に株を売り、割安な時期に株を買う」という判断に基づいています

※単なる個人の感想です。未来は誰にも予知できません。投資は自己判断、自己責任で  

ITバブル、サブプライムバブル、現在のデータ比較

※表のデータ出所 ・世界のバフェット指標:GLOBAL NOTEWorld Federation of Exchanges・OECD景気先行指数:OECD Data ・シラーPER:Shiller PE Ratio ・失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg

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●恐怖指数:久々に平均値を上回る

●ジャンク債スプレッド:久々に大きく動く

あとがき

さすがに金利上昇が目立ち株安になっていますが、この先どうなるか。

先週の記事で書いていましたが、今週はS&P500が4%以上動く大きな変動となりました。

金利上昇や米中貿易戦争がらみが原因に挙げられることが多いですが、金利は10/4ごろにすでに大きく上昇していました。

米中貿易戦争の関税第3弾が発動されたのは9/24のことであり、そのころは「関税が25%ではなく10%だから大丈夫」的な扱いで、10/3まではS&P500は崩れていない。

金利や貿易戦争が主因なら、もう少し早く崩れてもよかっただろうに、なぜ10/10、10/11でなければならなかったのか?

多数派の認識に何らかの変化があったのか?

まあ、よくわかりません。

理由はともあれ、

株価はみんなが売れば下がるもの

というのは一つの間違いのない解釈。

なぜ売ったか?

何らかの売りたい理由があった。

売るのが有利と判断された。

あるいは売らなければならない理由があった。

と推測。

とりあえず、今はS&P500は最高値から「-5.9%」の水準。

昨年末比だと「+3.5%」の水準。

来週も下げ続けるかはわかりませんが、10年程度の長期スパンでみると、おそらく

●景気拡大期の後期?

●米国市場は割高な水準?

●温厚だったミスターマーケットが不機嫌になり出す時期?

と個人的には推測。

また、世界景気は9ヶ月間減速トレンドに入っており、米国以外の市場の2018年は総じてさえない状況。

世界経済全体を「森」とすれば、米国経済といえども「木」。

たくましい巨木といえど「森」全体の不調により徐々に活気を失うこともあってもおかしくない。

その意味でも今は無理に大きなリスクをとらなくてもいい時期なのかもしれません。

※米国の名目GDP(ドル建て)は世界全体の24.3%程度(2017年。IMF)

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