ユキマツの「長期投資のタイミング」

「景気(企業利益動向)」「中銀の金融政策(金利動向)」「投資家のリスク許容度」などから長期投資のタイミングを探る投資ブログ

リーマンショックを含む2000年以降の下落相場③:サブプライムバブル崩壊期 <その2>

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リーマンショックを含む2000年以降の下落相場③:サブプライムバブル崩壊期 <その1> 

の続きの記事になります。

所感②:理屈と実際(感情)には大きな差がありそう

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f:id:yukimatu-tousi:20181019114940p:plain※表とグラフの出所:https://www.world-exchanges.org/TOPIX- Yahoo!ファイナンスhttps://jp.investing.com/indices/major-indicesのデータより作成

リーマンショック時の大まかな暴落率の表とグラフです。

理屈では株価は50~70%暴落することもある、その前提で

「自分のリスク許容度」を考慮して

「ポートフォリオにおけるリスク資産の配分」を決めればよい

そういう考えもあります。

ただ、個人的な意見ですが「自分のリスク許容度」が実際どの程度なのかは、実際なってみないとわからない?

という気がしなくもないです。

投資資金全体の「-40%」まで自分が耐えられる想定だったけど「-25%」でギブアップするかもしれません。

理屈と実際はしばしば異なる。

リスク許容度は「A:投資資金の規模」と「B:新たに投資に回せる資金の規模」のバランスでも変化するかもしれません。

(例1)

Aが100万円でBが毎月10万円なら、仮にAが6割減って40万円になっても、毎月10万円追加投資していけばすぐに100万円に戻る。

心理的には大きなリスクをとりやすい状態かと。

(例2)

Aが1億円でBが毎月30万円なら、仮にAが6割減って4000万円になると、毎月30万円の追加投資ではなかなか1億円は遠い。

(例1)よりは大きなリスクはとりにくい感じがします。

また、大きな含み損や損失確定はトラウマになり得ます。

今リスクをとるのが理屈では有利だ

そう判断できても、実際行動できるかはわからない。

心の傷は人から積極性を奪うことも。

逆に、被害が軽微なら、積極的なトライが可能になるかもしれない(結果がともなうかは不明ですが)。

とりあえず実際の相場変動時(特に下落相場)、どう行動できるかは不確定な部分が大きく、理屈と現実、そのときの感情にはずれがある可能性があります。

おそらく一般的には、投資は経済的・心理的余力が大きいプレーヤーの方が有利なゲームであるような気がしますが。

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所感③:前触れ、前兆を確認できる指標もある

前述したようにCLI(OECD全体)のピークは2007.6でした。

リーマンショックが起きたのは2008.9でした。

リーマンショックの1年3ヶ月前にCLIはピークアウトしており、世界的な景気減速は始まっていました。

同様に、米国景気を反映する米国失業率のボトムは2007.5(4.4%)でした。

その後失業率は悪化を続け、リーマンショック前の2008.8には「6.1%」と大幅に悪化していました。

★米国失業率について⇒9月の動きに不吉な兆候は見えない、が・・・

米国の景気指標の一つ「ECRI景気先行指数」は2007.6(143.7)にピークアウト。

リーマンショック前の2008.8には「126.7」まで悪化しています。

★ECRI景気先行指数について⇒好況続く米国 

世界の時価総額2007.10(63.0兆ドル)にピークアウト。

リーマンショック前の2008.8には「48.6兆ドル」まで減少。

★世界の時価総額について⇒「もうひと上げあるか 」「このままぽしゃるか」

世界バフェット指標も2007.10(1.09)にピークアウト。

リーマンショック前の2008.8には「0.77」まで低下。

★世界の時価総額について⇒「もうひと上げあるか 」「このままぽしゃるか」 

米国住宅価格(S&P/Case-Shiller 20-City Composite Home Price Index)はかなり早い段階、2006.4(206.7)にピークアウト。

リーマンショック前の2008.8には「162.1」まで下落。

★米国住宅価格について⇒金利が上がっても住宅価格は上昇を続けている

しつこいですが、最後に投資家のリスク許容度を反映すると思われる米国の社債スプレッド2007.1(1.57%)に底打ち。

リーマンショック前の2008.8には「3.29%」まで拡大。

★社債スプレッドについて⇒投資家のリスク許容度は9月は上昇、最近やや低下か

例えばですが、これらの指標は概ね2007年にはピークアウト(失業率や社債スプレッドは底打ち)しており、2008年は一貫して数値が悪化していました。

そんな分析は単なる後講釈だ。

過去のことなら何とでも言える。

というのももっともな意見ですが、2007年以降、景気が明らかに悪化し、投資家のリスク許容度が低下していたのはデータ的にはかなり明瞭です。

ITバブル崩壊時や欧州債務危機にみられた「だましの景気回復」(大きな景気悪化トレンドの最中に一時的に少し景気が回復する現象)もなく、一直線に景気は悪化し、それに伴って世界の時価総額もほぼ一直線に減少。

<CLI(OECD全体。世界景気の目安の一つ)と世界の時価総額>

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※出所:https://www.world-exchanges.org/Leading indicators - Composite leading indicator (CLI) - OECD Dataより作成

当時はそんな知恵はありませんでしたが、今ならいえます。

世界景気が悪くなっている時期にわざわざ大きなリスクをとらなくてもいいのでは?

端的にいえば、

世界景気の方向性を確認して、リスクテイクの度合いを判断する

(世界景気拡大期⇒リスクを大きくとる。世界景気減速期⇒リスクを小さくしておく)

のは、悪い判断ではないと今は感じます。

※あくまで個人的な感想です。うまくいくかは不明です。投資は自己責任で

おわりに

最後にサブプライムバブル崩壊期の個人的なまとめ。

・サブプライムバブル崩壊期、世界景気は減速トレンドにあった

・減速トレンドは株価の大幅な下落時期を含んで20ヶ月ほど続いた。2007年に各種指標から危険サインを読み取ることができた、可能性はある

・だましの景気回復を含んでおらず、2000年代で最高の好景気から最低の不景気に一気に突入。最後は強烈な信用収縮を伴った世界同時株安が発生し、2008年秋~2009年の春まで半年ほど、世界市場は悲観一色に見舞われた。投資をやめる人もたくさんいたと思われる時期

余談ですが、2008~2009年のいくつかの指標の最低値。

●信用買い残:約0.9兆円(現在は約3.1兆円)

●東証一部のPBR:0.7倍(現在は1.4倍)

●日本のバフェット指標:0.51(現在は1.18)

●世界のバフェット指標:0.48(2000年以降の最低値。現在は0.98)

次回の本シリーズでは<④:ITバブル崩壊期>を取り上げる予定です。

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※出所:Leading indicators - Composite leading indicator (CLI) - OECD Dataより管理者作成

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