最新の世界景気をCLIとPMIの観点から観察してみます。
①CLI(OECD全体)
※出所:- Composite leading indicator (CLI) - OECD Dataより管理者作成
景気指標の一つ、Composite leading indicator (CLI。OECD景気先行指数)の2017年1月~2018年10月の推移です。
上記はOECD全体のCLIであり、世界全体の名目GDPの6割以上を占める国を網羅した景気指数です。
「100」が「ふつうの景気水準」、数字が大きいほど好況、小さいほど不況を示唆します。
先日更新された2018年10月のデータは「99.36」(前月比-0.13)。
2017年11月:100.40
が直近のピークとなっており、ピークから11ヶ月連続で減速トレンドが続いています。
景気水準自体も
悪い
といえそう。
市場にとってはネガティブ要因と推測。
<参考:近年のCLIと経済イベント>
※出所:- Composite leading indicator (CLI) - OECD Dataより管理者作成 ※数値は概算
1995年1月~2018年5月のCLIの推移と経済イベントです。
あくまで過去の経験則ですがCLIが「99.5」を下回る時期は世界的に不景気で悲観が満ちており、株価は割安なことが多かったと推測されます。
2018年10月時点で約「99.4」のこの指標、「チャイナショック(99.5)」「欧州債務危機(99.4)」の頃の数値と似た水準になっています。
ただ、チャイナショックや欧州債務危機は
米国の景気後退
をともなっていない景気減速期です。
いつになるかはわかりませんが、「米国の景気後退」もともなう世界的な景気減速期には、「ITバブル崩壊後」や「リーマンショック後」のような、厳しい状況が訪れる可能性は否定できないかも。
※最近の数値は随時修正されます
※CLIについて詳しくコチラ↓
●トレンドは回復~少し停滞? ~OECD全体の景気先行指数 2017年11月データ~ - ユキマツの「長期投資のタイミング」
②グローバル製造業PMI
「購買担当者指数」は「PMI」とも呼ばれる景気指標の一つです。
世界の多くの国で採用されており、毎月更新される即時性の高い便利な指標です。
50が分岐点であり、
●50より大きい⇒景気拡大
●50より小さい⇒景気後退
と判断します。
製造業PMIは「製造業購買担当者指数」のことで、製造業全般の景気を示唆します。
グローバル製造業PMIは「全世界の製造業の景気状況」を示唆する指数です。
グローバル製造業PMIの推移を見てみます。
※グローバル製造業PMIについて、詳しくはコチラ(英語サイト、PDF)
https://www.markiteconomics.com/Public/Home/PressRelease/403136e9058c4fdb939bbd58ebeef5f0
※出所:上記PDFサイト
2018年11月は「52.0」でした。
2017年12月をピークに、ゆるやかながらCLIと同じく、11ヶ月続く下落トレンド。
●2018年2月:54.1
●2018年3月:53.3
●2018年4月:53.5
●2018年5月:53.1
●2018年6月:53.0
●2018年7月:52.7
●2018年8月:52.6
●2018年9月:52.2
●2018年10月:52.1
●2018年11月:52.0
こちらはCLIと違って、節目の50は超えており、景気水準自体は
悪くはなく
引き続き、減速トレンドが続くかどうか、要経過観察というところ。
※PMIについて詳しくコチラ↓
●中日独の景気動向 2017年11月データ - ユキマツの「長期投資のタイミング」
③主要国製造業PMI
最後に主要4ヶ国(米中日独)の国別の製造業PMIを確認します。
期間は2016年1月~2018年11月です。
※出所:「https://jp.investing.com/search?q=製造業購買担当者指数 PMI」のデータより管理者作成
直近のピークは
●中国:2017.9月
●ドイツ:2017.12月
●日本:2018.1月
●米国:2018.4月
であり、今のところ
「中国⇒ドイツ⇒日本⇒米国」
の順にピークアウトしています。
11月の数値変動は
●中国・ドイツ・日本・米国:すべて下落
となっています。
ざっくりした印象ですが
●米国・日本:穏やかな下落トレンド?
●ドイツ:下落トレンドが鮮明
●中国:穏やかな下落トレンド。節目の「50」を下回るか?
11月の中国の値は節目の「50.0」ちょうどとなり、次回の数値が「50」を割るかどうか。
最近ネガティブなことに反応しやすくなっているので、「50」を下回るとちょっとした売り要因になるかもしれません。
おわりに
<CLI(OECD全体)と世界の時価総額の推移>
※出所:https://www.world-exchanges.org/、Leading indicators - Composite leading indicator (CLI) - OECD Dataより作成 ※期間:1995.1~2018.10
現在は2000年以降で5回目の世界的な景気減速期、かもしれません。
一つの経験則に過ぎませんがこの期間においては、CLIが明確な減速トレンドにある時期、総じて株価は伸びにくい傾向にあります。
そして景気の先行きがパッとしないから投資家は将来の企業業績に期待を抱きにくく、総じて株が「売られる」「買われにくい」、結果「株価が下落しやすい」というのはそれなりに自然な現象と思われます。
孫子に
「善く戦う者は、勝ち易きに勝つ者なり」
という言葉があります。
投資でいえば
「不況⇒好況に向かう時期」≒「勝ち易き時期」
であり、こういう時期をじっくり待って思い切ったリスクテイクができる「忍耐力・胆力・資力・判断力」のある人が総じて資産を早く増やせる場合が多いのではないかと個人的には考えます。
そして今は中長期的には
「好況⇒不況に向かう時期」?
≒「勝ち難き時期」?
≒「資産を減らす可能性が高い」?
≒「無理にがっつり投資しなくてもいい時期」?
と直感的には感じるところ。
もちろん景気や相場が急反転する可能性も排除できず、現時点でわたしが勝手に感じている全体的な雰囲気に過ぎませんが。
関連記事