ユキマツの「長期投資のタイミング」

「景気(企業利益動向)」「中銀の金融政策(金利動向)」「投資家のリスク許容度」などから長期投資のタイミングを探る投資ブログ

米国のインフレ率を確認する3つの理由

f:id:yukimatu-tousi:20190217171816p:plain米国のインフレ率について考えてみます。

米国のインフレ率を確認する3つの理由

①FRBの金融政策の方向性を知る手がかり

米国の中央銀行FRBの使命は

「最大限の雇用、物価安定」

とされるようです。

※参照:デュアル・マンデートとは|金融経済用語集

物価、インフレ率の安定(+2%程度)はFRBの使命であり、

●物価が上がり過ぎ⇒金融引き締め

●物価が下がり過ぎ⇒金融緩和

がFRBの金融政策の基本パターンになります。

したがって、インフレ率の動向を確認しておけば、FRBの金融政策の方向性を探るのに役立つことがありそうです。

<ありがちなパターン>

●物価が上がり過ぎ⇒金融引き締め⇒株価下落要因?

●物価が下がり過ぎ⇒金融緩和⇒株価上昇要因?

※何らかの原因で「物価が上がり過ぎ」と判断されれば、金融緩和は行われにくくなりそう。「物価が下がり過ぎ」と判断されれば金融緩和は行われやすそう。

②インフレ率と長期金利には正の相関があり、インフレ率は「長期金利の水準の目安」になり得る

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※出所:St. Louis FedBureau of Labor Statistics Dataより作成

1962~2018年の米10年債利回りと米コアインフレ率(変動の激しい食品やエネルギーを除いた消費者物価指数)の推移です。

概ねインフレ率よりも利回りの方が高い時期が多く、最近は両者の差が少なくなっています。

この期間、両者の相関係数は0.77と高く、強い正の相関があります。

f:id:yukimatu-tousi:20190217180209p:plain※出所:St. Louis FedBureau of Labor Statistics Dataより作成
1960~2010年代ごとにまとめた両者の平均値を表にしています。

この期間、両者の差は平均2.4%ほど、長期金利の方がインフレ率より2.4%ほど平均的には高かった。

ただ、2010年代は世界的な量的緩和の影響もあるのか、利回りの平均は約2.3%、インフレ率は約1.7%、その差は0.6%程度しかありません。

※世界の主要な中央銀行の国債等の継続的な買い入れにより、国債利回りが低く抑え込まれ続けている?

以上のデータからあくまで経験則ですが、

インフレ率が上がれば長期金利も上がりやすい?

インフレ率は「長期金利の水準の目安」になり得る?

という仮説が成り立ちます。

何らかの原因でインフレ率が上昇すれば、長期金利も上昇しやすそう。

そして長期金利の上昇は「リスク資産全般の期待利回り」に影響します。

例えば、長期金利が7%のときに国債より信用力の弱い米国の社債利回りが4%、ということは考えにくく、米国の社債利回りは7%より大きくなる(急に金利が上がれば社債価格は下落)と推測されます。

リートの利回りなども同様に、長期金利よりも高くなる(リート価格は下落)ことが想定されます。

株価に対しても、基本的には長期金利の上昇は株安要因となります。

このように考えると、とても大きな影響力のある指標「長期金利」と関連が強いインフレ率というものは、資産価格全般に影響力が大きい重要な指標と思われます。

③ドルの通貨価値の未来を探る材料

一般的に、長期的には他の通貨と比較して

★インフレ率が高い通貨の価値⇒下落傾向

★インフレ率が低い通貨の価値⇒上昇傾向

とされるようです。

例えば、②でふれたように、インフレ率は金利とも相関が高いので、高金利通貨が低金利通貨に対して、長期的に価値を上げ続ける事態は起こりにくいと思われます。

例えば、現在、高金利通貨(高インフレ)の「トルコリラ」が低金利通貨(低インフレ)の「円」に対して「長期的に価値を保つor価値を上げ続ける」とします。

この場合、FXなどを利用して

円でトルコリラをレバレッジをかけて大量に買い長期保有

していれば、莫大なスワップポイントだけで暮らしていけそうな気になります。

が、そんな夢のようなことはずっとは(一時的には続き得る)続かないようです。

長期的には「高スワップ」のプラス面は「トルコリラの円に対する価値下落」という代償を払って概ね帳尻が合うようです。

脱線が長くなりましたが、長期的な米国の物価動向は巡り巡って

・ドルの為替レート

・円建ての運用成績

等に大きな影響を与える要因でもあり、知っておいて損はない指標と思われます。

おわりに

以上、わたしなりの「米国のインフレ率を確認する3つの理由」を挙げてみました。

毎月個人的な備忘録も兼ねて、米国のコアインフレ率の確認をしていきたいと思います。

ちなみに直近2019年1月のコアインフレ率は2.2%。

米国の長期金利の1月の平均値は2.71%。

両者の差は約0.5%。

2010年代の平均的な差「0.6%」と近いところにあります。

「2.0%」がFRBの目標のようなので、2.2%は微妙なところ。

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・賃金の上昇などからインフレ率も上昇傾向をたどり、FRBは緩和スタンスに転換しにくくなり、長期金利がじわじわ上がって株式市場にネガティブな影響を与える事態が訪れるか?

あるいは

・景気減速などから賃金もインフレ率も上がらず、FRBは緩和的になっていき、長期金利も下がっていくのか?

とりあえず今後の米国景気次第、先のことはわかりませんが、わたしの思いつきの推測より事実確認を大事に記事にしていきたいと思います。

興味のある方はお付き合いください。

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