ユキマツの「長期投資のタイミング」

「景気(企業利益動向)」「中銀の金融政策(金利動向)」「投資家のリスク許容度」などから長期投資のタイミングを探る投資ブログ

S&P500のPBRは直近ピーク更新 ~米国市場の概況~

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先週の米国市場を

「米国株式の割安割高を判断する目安」

になると思われる指標などで概観してみます。

ごく簡単な米国市場の概観

<先週のS&P500>

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※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com

1.10は「3265」。前週末比「+0.9」。

12月末は「3231」で1月月間では「+1.1」。

最高値付近。

<先週の米国10年国債利回り>

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※出所:米国 10年 | 米国 10年 債券利回り

1.10は「1.82%」。前週の「1.79%」から上昇。

先週はイランがらみで一時1.7%程度まで急低下、その後急上昇。

定点観測

以下の4つで定点観測してみます。

恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>

ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>

S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>

米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>

恐怖指数

<ここ5年>

f:id:yukimatu-tousi:20200112173034p:plain<先週>

f:id:yukimatu-tousi:20200112173055p:plain※出所:S&P 500 VIXインデックス

1.10は「12.56」。

前週の「14.02」より大きく低下。

水準としては長期平均(「19.3」)より低く、米国の市場心理は

安心?

と推測。

目安の「30」以下であり、株価は割安ではなさそう。

※参考:2018年以降の高い値(概算値)

・2018.2月:「50」

・2018.10月:「29」

・2018.12月:「36」

・2019.5月:「23」

・2019.8月:「25」

<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>

www.yukimatu-value.com
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ジャンク債スプレッド

ジャンク債スプレッドとは

①ジャンク債スプレッド

米国のハイ・イールド債(格付け:BB)の利回り-米国債(10年物)の利回り

※本記事ではオプション調整後

②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向

③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向

④★平均値(幾何平均):3.3

 ★中央値:3.2

<期間:1997.1月~2019.12月の月末>

推移グラフと現在の状況判断

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※出所:◎St. Louis Fed米国 10年 債券利回りのデータより管理者作成 ※期間:1997.1月末~2019.12月末

2020.1.9時点のジャンク債スプレッド(格付けBB、オプション調整後)は「1.94」で、前週の「2.0」より縮小。

債券市場投資家のリスク許容度、やや上昇か。

スプレッドは長期平均「3.3」より小さく、投資家心理は安心?か。

株価水準としては

割高?

と推測。

<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com

S&P500のPBR

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※出所:S&P 500 Price to Book Value

1999年末~直近のS&P500のPBRの推移です。

1.10時点の推計値は「3.69」。前週の「3.66」より上昇。

★ITバブルの頃のピーク(2000年の5.06

より小さく

★サブプライムバブルの頃のピーク(2007年の2.91

は上回る水準。

最近のS&P500の高PBR。

①2018.1.26:3.60倍

②2018.9.21:3.51倍

③2020.1.10:3.69

この期間の中央値「2.77」は上回っており、現在は

割安な水準ではなさそう

です。

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※出所:
S&P 500 Price to Book Value

<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>

www.yukimatu-value.com

米国バフェット指標

米国バフェット指標とは

①米国バフェット指標=米国の時価総額÷米国の名目GDP

②米国株式の割安割高を判断する目安

③1995~2018年の各年末のデータから、

★平均値:1.26

★中央値:1.32

④近年の経験則の域を出ませんが

★1.05以下は株式は割安圏?

★1.40以上は株式は割高圏? と推測
⑤米国の時価総額=NYSE+Nasdaqで計算

推移グラフと現在の状況判断

f:id:yukimatu-tousi:20190119164934p:plain※出所:グローバルノートWFEのデータより管理者作成 ※期間:1995年末~2018年末 

米国の時価総額は2019年11月末で約「36.4兆ドル」(前月末は「35.3兆ドル」)。

2019.7月「36.3兆ドル」を上回り過去最高。

2019年11月末の米国バフェット指標は「1.70」(前月末は「1.65」)。

現在、割高圏の目安「1.4」を上回っていると推測され、米国株式は

割高圏?

と推測。

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※データ出所:https://www.world-exchanges.org/世界経済のネタ帳のデータより作成

※2019年米国名目GDP:21.44兆ドル(IMF推計)

米国バフェット指標について詳しくはコチラ↓

www.yukimatu-value.com

現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ

あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。

恐怖指数⇒割安ではなさそう

ジャンク債スプレッド割高?(割安ではなさそう)

S&P500のPBR⇒割安ではなさそう

 ★米国バフェット指標 ⇒割高圏?

総合的に判断すると、わたしは米国株式は

割高?

と推測。

現時点での米国株の長期投資のタイミングとしては

①リスク資産の資産配分が大きくなりすぎていれば、所定の配分に戻す

②資産配分において、株式の配分比率を減らす

③資産配分において、現金の配分比率を増やす

④長期投資を一時やめる(投資をやめる機会を探している場合)

のに適す時期だと考えています。単なる経験則ですが。

※概ね10年以上を想定した長期投資に関する一つの判断です。短期、中期的な投資には役立たない可能性が高いです

※基本的にできるだけ「割高な時期に株を売り、割安な時期に株を買う」という判断に基づいています

※単なる個人の感想です。未来は誰にも予知できません。投資は自己判断、自己責任で  

ITバブル、サブプライムバブル、現在のデータ比較

※表のデータ出所 ・世界のバフェット指標:GLOBAL NOTEhttps://www.world-exchanges.org/ ・OECD景気先行指数:OECD Data ・シラーPER:Shiller PE Ratio ・失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg ・かい離率:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com

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かなり割高っぽい米国株。

・「恐怖指数」「ジャンク債スプレッド」「失業率」:低水準

・「S&P500のPBR」「シラーPER」:高水準

・長短金利差:前週よりやや縮小

おわりに

恐怖指数も低くなり、わりと隙が少ない割高っぽさが感じられる米国市場。

金融緩和酔いの雰囲気も。

比較的オプションが割安に買いやすい時期。

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※出所:Moody's Seasoned Baa Corporate Bond Yield Relative to Yield on 10-Year Treasury Constant Maturity (BAA10Y) | FRED | St. Louis Fedより作成

そんな中Baa債のスプレッドは2019年末よりやや拡大傾向。

少し気になる動き。

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