《【世界時価総額】で株式の割安割高を探る》シリーズの4回目、最終回になります。
本日は、
世界時価総額で株式の割安割高を判断する問題点
について記載します。
なお、世界時価総額については、長期継続的に推移を追っていくとともに、ダイジェスト版を掲載する予定です。
★世界時価総額で株式の割安割高を判断する問題点
ここまで、世界時価総額を知ることの魅力を伝えてきました。
ただ、「世界時価総額で株式の割安割高を判断する手法」にも問題はあります。
問題点は主に以下の2つです。
世界時価総額では、
◎過去と比較した現在の相場水準が概ね分かるだけで、未来の展開を予測できるわけではない ◎過去のバブル相場、暴落・長期低迷相場との対比ができない
それぞれ簡単に説明します。
◎過去と比較した現在の相場水準が概ね分かるだけで、未来の展開を予測できるわけではない
これははっきりしている弱点なのですが、仮に世界時価総額が過去最高を更新しているから「今、株式は割高だ」と判断しても、それが、近未来の株価の暴落を示唆するわけではない、ということです。
もっともっと割高な水準まで株価は上昇していくかもしれません。
だらだらと同水準で推移するかもしれません。
世界時価総額で分かるのは、あくまで、過去と比較した現在の相場水準です。
決して未来の相場の動きを予測するデータではないので、その点は意識しておく必要があると思います。
過去と比較して、世界時価総額が小さい時期の方が株式は割安であろう、世界時価総額が大きい時期の方が株式は割高であろう、そういった経験的な判断(経験則)です。
◎過去のバブル相場、暴落・長期低迷相場との対比ができない
世界時価総額のもう一つの弱点は、過去のバブル相場、暴落・長期低迷相場との比較ができないことです。
再度、世界時価総額の推移を観察してみます。
出所:WFE(https://www.world-exchanges.org/home/index.php)のデータより管理者作成
例えば、2000年のITバブルのころ、世界時価総額は35.3兆ドルでした。2015年には75.6兆ドルになっています。では、2015年の方が、ITバブルよりも2倍以上のバブル度合いなのでしょうか?
同様に、リーマンショック後の2009年2月の世界時価総額は28.9兆ドルでした。2002年9月は20.1兆ドルです。では、2009年の方が、2002年より、暴落の程度は軽かったのでしょうか?
そんなことはありません。
実は、世界経済が成長を続け、経済規模が大きくなるにつれて、全世界の株式市場の規模も拡大を続けています。
そして、世界時価総額は、概ね世界のGDP(国内総生産。経済規模)と正比例する傾向があります。
1990年と2015年を比較すると、25年間で世界時価総額は約7倍、世界の経済規模(GDP)は約3倍になっています。
したがって、経済規模が大きくなれば、バブルでなくても時価総額が大きくなるのは当然であり、株式の割安割高を判断するには、時価総額だけでは不十分です。
株式の割安割高を判断するには、
時価総額(市場規模)とGDP(経済規模)を比較する
方がより的確です。
そして、株式市場規模と経済規模を比較した指標が「バフェット指標」です。
バフェット指標については、近日取り上げる予定です。
以上で《【世界時価総額】で株式の割安割高を探る》シリーズは終了です。