恐怖指数(volatility index, VIX)に関する記事です。
日経版、欧州版の恐怖指数もありますが、ここではアメリカの恐怖指数(以下、VIX。ヴィックス)を取り上げます。
VIXを知るメリット
VIXは株式の暴騰時期にも上昇しますが、歴史的には、暴落時期に急騰することが多い数値であり、株式が割安な時期を判断する目安になることがあります。
VIXとは?
まず、簡単に恐怖指数についての解説を引用してみます。
恐怖指数(きょうふしすう、英: volatility index, VIX)とは、シカゴ・オプション取引所(英語版)(CBOE)が、S&P500を対象とするオプション取引のボラティリティを元に算出、公表している指数。
数値が高いほど投資家が相場の先行きに不透明感を持っているとされる。
通常は10から20の間で推移する。
※引用元:ウィキペディア 恐怖指数
ざっくり解釈すると、VIXは
◎アメリカの株価指数S&P500の変動が大きくなって、乱高下、暴落、暴騰する時期に数値が跳ね上がる指標
◎米国株式市場のパニック、混乱を通して、世界的な投資家心理の動揺を伝えてくれる指標
◎売りが売りを呼ぶ、急激な下落相場であることを示唆する指標です。
(VIXが30以上に跳ね上がる時期は、投げ売りや強制決済が行われている可能性がある)
割安に株式を買うチャンスを示唆し得る便利な指標です。
恐怖指数の推移グラフと主要データ
恐怖指数の長期推移を見てみます。
※出所:ヤフーファイナンスデータより、管理者作成
過去の主要な高値は以下のようになります。
1998年10月8日 ロシアデフォルト(LTCM破綻)…49.53
2001年9月21日 アメリカ同時多発テロ…49.35
2008年9月18日 リーマン・ブラザーズ破綻…42.16
2008年10月24日 世界金融危機…89.53(史上最高値)
2010年5月21日 ギリシャを筆頭とするPIGSの国債懸念…48.20
※引用元:ウィキペディア
次に、恐怖指数の主要データを見てみます。
※1990年1月2日~2017年3月31日 終値データ。出所:ヤフーファイナンス
平均値(単純平均)→19.6
中央値→17.7
最大値→80.1(2008.10.27)
最小値→9.3(1993.12.22)
概ね17~20程度が平均値。
経験的には
●30を超えている時期
⇒投資家心理が相当動揺している
●10程度で安定している時期
⇒投資家は安心・楽観・高揚している
と考える目安になりそうです。
また、下記グラフからS&P500とVIXの関係も観察しておきます。
※出所:ヤフーファイナンス
上の緑ラインがS&P500、下の青ラインが恐怖指数です。
S&P500が暴落するとき、恐怖指数が跳ね上がっているのが観察できます。
VIXの使い方の例
※出所:ヤフーファイナンスデータより、管理者作成
概ね17~20程度(オレンジ)が平均値。
30(青)を超えている時期は、投資家心理が動揺している、と推測。
つまり、株式を割安に買うチャンス?と推測。
10(赤)程度で安定している時期は、投資家心理は楽観、安心、高揚していると推測。
つまり、割高に売るチャンス?と推測。
実際、株式を明瞭な割安水準で買えたのは下記グラフの水色の時期です。
30を超えたらいつでも割安だった、わけでもありません。
※出所:ヤフーファイナンスデータより、管理者作成
VIXの問題点
VIXはイベントの勃発で突然跳ね上がることがあります。
短期的にVIXが30以上に跳ね上がって、株価が暴落していても、長期的にみると、それほど割安な時期ではないこともあります。
近視的にならず、長期的スパンでみて、本当に株式が割安なのかを見極める必要があり、VIXの数値だけに踊らされるのは危険と思われます。
その他の複数の指標も見ながら、総合的に判断する必要があると思われます。
まとめ
★恐怖指数は、割安に株を買う時期を知る上で有効な指標である可能性がある
★1990年以降、恐怖指数が【30】以上の時期に、割安に株式を買う絶好のタイミングが訪れてた、という経験則がある
★VIXだけで株式の割安割高を判断することは危険。
他の指標と併せて利用することで、判断の精度が上がると思われます。
VIXは以下のサイトで確認できます