世界バフェット指標を知る主なメリット
世界的な株式の割安・割高を判断する手がかりになる、かも
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「バフェット指標」とは?
まず、バフェット指標の一般的な説明を引用します。
バフェット指標は、投資の神様とも言われる、ウォーレン・バフェット氏が愛用しているとされる、ある国のGDPと上場株式の時価総額の総和を比べる指標をいいます。これは、ある国の株式時価総額増加率と名目GDP成長率は長期的には収斂するとの主張に基づくもので、ある国の株式相場に急落の可能性は高まっていないか、あるいは逆に売り込まれすぎていないかを見る場合に使われます。
※引用元:金融情報サイト「バフェット指標」
具体的には
◎バフェット指標=ある国の時価総額÷名目GDP
です。ここでの時価総額は市場規模をさします。
名目GDPは経済規模のことでもあるので、
◎バフェット指標=市場規模÷経済規模
です。
※時価総額の説明→【世界時価総額】で株式の割安割高を探る【ダイジェスト版】
※GDPの説明→金融情報サイト「GDP」
「世界バフェット指標」とは?
◎バフェット指標
=ある国の時価総額÷名目GDP
◎全世界のバフェット指標
=全世界の時価総額の合計額÷全世界の名目GDP
です。
全世界のバフェット指標のことを、当ブログでは世界バフェット指標と呼びます。
●世界バフェット指標=全世界の時価総額の合計額÷全世界の名目GDP
●世界バフェット指標=世界の市場規模÷経済規模
経済規模と市場規模の関係(GDPと時価総額の関係)
名目GDP成長率と株式時価総額増加率は
長期的には正比例する傾向
があります。
実際、1995年末と2015年末を比較すると、20年間で世界全体の市場規模(時価総額)は約3.9倍、経済規模(名目GDP)は約2.4倍になっています。
出所:以下サイトデータより管理者作成 ◎名目GDP→IMF ◎世界時価総額→WFE
経済規模と市場規模の間には長期的には一般的に以下のような関係があるからだと思われます。
●経済規模↑⇒企業利益↑⇒株価↑⇒市場規模↑
●経済規模↓⇒企業利益↓⇒株価↓⇒市場規模↓
国でなく、世界全体で考えても同様に、
世界の経済規模が大きくなれば、長期的には世界の株式市場規模も大きくなる傾向がある、逆も然りです。
●世界の経済規模⇔世界の市場規模
●世界経済の成長⇔世界市場の拡大
世界バフェット指標の使用例
①バフェット指標の基本的な使い方
◎バフェット指標=時価総額÷名目GDP
◎バフェット指標=市場規模÷経済規模
なので、
◎バフェット指標が大きくなる
→市場規模が経済規模に比べて大きくなる
◎バフェット指標が小さくなる
→市場規模が経済規模に比べて小さくなる
ことを意味します。
そして、経済規模と市場規模は長期的には概ね連動しているという前提で、
バフェット指標が長期的な平均値より
◎大きい→市場規模が大きすぎる→株式は割高(の可能性)
◎小さい→市場規模が小さすぎる→株式は割安(の可能性)
と解釈します。
②世界バフェット指標の推移と使用例
ここで、近年の世界バフェット指標の推移グラフを見てみます。
1995年1月末~2017年2月末の月末データを利用したグラフです。
出所: 以下サイトデータより管理者作成 ◎GDP→IMF ◎時価総額→WFE
上記グラフだけで判断すると、世界的に株式が割安だった時期は
◎2003年3月頃 ◎2009年2月頃
割高だった時期は
◎1999年12月頃 ◎2007年10月頃 ◎2015年5月頃
と推測されます。
また、この期間における266個の月末データの
◎平均値(幾何平均)→ 0.76
◎中央値→ 0.78
なので、この期間においては、市場規模が経済規模の8割弱の時期が、割安でも割高でもない、ほどほどの相場水準であったらしいことが推測されます。
この期間に限った経験則では、世界バフェット指標が概ね
◎0.65以下の時期は比較的株価は割安?
◎0.95以上の時期は比較的株価は割高?
という目安を立ててもいいかもしれません。
③世界バフェット指標と「バブル期」「暴落期」における株価指数
参考までに、世界バフェット指標と「バブル期」と「暴落期」の日経平均とS&P500(米国の株価指数)の数値も確認しておきます。
出所:以下サイトデータより管理者作成 ◎バフェット指標→IMFとWFE ◎TOPIX→ヤフーファイナンス ◎S&P500→ヤフーファイナンス
バフェット指標で株式の割安割高を判断する問題点
「バフェット指標で株式の割安割高を判断する手法」にも問題はあります。
問題①:バフェット指標は未来の展開を予測しない
世界バフェット指標は単なる経験則です。
過去と比較した現在の相場水準を、長期データを用いて推測しているだけの指標です。
過去のパターンが未来にも再現される保証はなく、今後も使えるかどうかはわかりません。まして、未来予測はできません。
問題②:世界バフェット指標の長期的な平均値は時代とともに変化していく可能性が高い
<1995年1月~2017年2月>
の世界バフェット指標の平均値は0.76でした。
しかし、総じて昔は今より市場規模が経済規模より小さかったため、仮にもっと長期の
<1975年1月~2017年2月>
の期間でデータ集計すると、この期間の世界バフェット指標の平均値は0.76より下がると思われます。
そして、今後は0.85、0.90と上昇していくかもしれませんし、逆に下がっていくかもしれません。
0.76という数値はあくまで1995年1月~2017年2月という期間の代表値であり、
◎普遍的な値ではない
◎現時点での目安に過ぎない
と思われます。
どこで期間を区切るべきか、答えはなさそうです。
問題③:その他、バフェット指標の欠点
経済学の教科書的にフロー(GDP)とストック(時価総額)を比較すること自体無意味、ナンセンスという立場もあるようです。
また、世界バフェット指標の場合、世界には株式取引所がない国もたくさんあり、その国のGDPをカウントして世界の時価総額と比較するのは、筋違いでもあります。
さらに、上場企業が、どの程度自国のGDPに貢献しているのか、その比率でバフェット指標は大きく変化します。
上場企業ではなく、非上場企業が大半のGDPを生み出している国なら、その国の時価総額はGDPに比べて小さくなり、バフェット指標は小さくなりそうです。
仮に有力企業が全て上場企業の国で、なおかつ海外収益率が非常に高い企業が多く含まれていれば、その国のバフェット指標はとても大きくなる傾向があると思われます。
つまり、
●上場企業のGDPへの貢献度合い
●上場企業の海外収益比率
などでバフェット指標は数値がぶれる可能性が高く、この指標は論理的にはたくさん穴のある指標です。
おわりに
バフェット指標には問題点もあります。
ときどき一概に
バフェット指標が1.0を超える(ある国の時価総額の総和が名目GDPを上回る)と株式は割高
とする主張もみられますが、国によっては常時1.0を超える国もあり、注意が必要だと感じます。
それでも
穴も多いけど
長期スタンスで全世界やある国の株式市場の
大雑把な過熱感を探るには
経験則として
そこそこ参考になる目安の一つではないか?
というのがわたしのスタンスです。
このスタンスが正しいかどうかはわかりません。
ご参考までに。