株価の割安、割高を測る指標の一つに、CAPEレシオがあります。
この指標は使えるのかどうか、検証してみました。
CAPEレシオとは
CAPEレシオ(Cyclically Adjusted Price Earnings Ratio)とは、過去10年間の実績利益の平均値に物価変動を加味して計算する株価の割高・割安を測る指標で、S&Pケースシラー住宅価格指数を開発したノーベル経済学賞受賞者の米エール大学ロバート・シラー氏が考案したPER(株価収益率)の一種です。「シラーPER」と呼ばれることもあります。
※引用元:株初心者のための株式投資と相場分析方法
簡単にまとめて付け加えると、CAPEレシオは
◎株価の割高、割安を測る指標
◎「過去10年の利益」と「物価変動」を加味したPER(株価収益率)の一種
◎一般的には概ね25超えると割高と判断
◎1881年~現在までの130年を超えるデータがあり、その平均値は16.12、中央値は16.75
※参考サイト: Shiller PE Ratio
CAPEレシオのチャート
※出所: Shiller PE Ratio
25以上で割高、平均値、中央値は16~17程度なので、線を引いてみます。
25以上の時期に
・世界恐慌前のバブル(1920年代)
・ITバブル(2000年頃)
・サブプライムバブル(2007年頃)
・現在
が含まれています。
この指標では現在はかなりの割高時期、ということになります。
ただ、この指標を
「超長期の平均値や中央値などを重視して用いる」
のは、少し無理がありそうです。
CAPEレシオの問題点
①割安な局面を示唆してくれていない
CAPEレシオの超長期の平均値は約16です。
しかし、近年、特に1995年以降、ほぼすべての期間が16を上回っています。
この平均値を尊重するなら、リーマンショック後の2009年の一時期を除いて、20年以上の期間、
「割安」な時期はなかった
可能性があります。
単なる結果論ですが、
ITバブル崩壊後の2002~2003年頃
米国株は割安でした。
しかし、CAPEレシオは
20を上回っており、
割安時期を示唆していません。
また
リーマンショック後の2008年秋~2009年春頃
米国株は割安でした。
しかし、CAPEレシオは
「ほぼ平均値16程度」
の水準であり、明確な割安水準というメッセージを提示していません。
②「割高」を示唆する期間が長すぎる
また、ここ20年余り、1995年1月~2017年3月までのCAPEレシオの
中央値 25.73
平均値(幾何平均) 26.10
です。
仮に割高を示唆する数値が25以上とすると、20年以上、平均的には常に割高だったことになります。
これではいつが本当に割高なのか、よくわかりません。
わたしなりのCAPEレシオとのつきあい方
このように、超長期の平均値「16」を重視してこの指標を用いるにはやや無理があるように感じます。
割高の目安「25」を鵜呑みにするのも危険だと感じます。
それでもとりあえず
「世界恐慌(1920年代)、ITバブル(2000年頃)、サブプライムバブル(2006~2007年頃)の崩壊前に、CAPEレシオは25を超えていた」
という事実は、
一つの経験則
として完全無視することもないと思います。
CAPEレシオは
「過去10年の企業利益」と「物価変動」を加味したPER(株価収益率)の一種
です。
単年ごとのPERよりも「物価や短期的な利益水準の影響」をできるだけ排除した、比較的
長期的視点を重視したPER
です。
全く無意味であるとも思えません。
そして、現在歴史的に高い水準、29を超えているということは、
米国株が少なくとも割安な時期ではなさそう、どちらかというと割高かも?
と、推測する、一つの目安とて利用してもよいのではないかと。
おわりに
このグラフをみて、ざっくりと
今米国株は割安ではなさそう
と考えるのはそれほど無理がないような気がします。
今後も、
アバウトにざっくりと相場の割安割高を示唆してくれそうな指標
として、わたしはこの指標を利用していくつもりです。
関連記事です。
CAPEレシオと同じく、株式の割安割高を探る目安、バフェット指標の記事です。