日本株式の割安時期を示唆する可能性がある指標「東証一部PBR」の最新データを確認する記事です。
東証一部のPBRを把握するメリット
①株式が割安な時期を把握する目安になります
②株式が割安な時期に長期投資を始められる可能性が上がり、長期的な投資リターンの向上につながる可能性があります
PBRとは
PBRは株式の割安割高を判断する基本的な指標の一つです。
1株当たりの純資産に対し、株価が何倍まで買われているか
を表したのがPBR(株価純資産倍率)です。1.0以下では割安と判断されることが多い指標です。詳しくは以下のサイトを参照ください。
「PBR」の意味と使い方を教えてください。 | 日本証券業協会
また、当ブログでは、
「東証一部市場の上場企業全体のPBR」
=東証一部PBR
とします。
東証一部PBRの推移
※出所:その他統計資料 | 日本取引所グループのデータより管理者作成
上記グラフは、1999年1月末~2017年4月末の東証一部のPBRの推移を示したものです。
★ITバブル崩壊後の2002~2003年頃
★リーマンショック後の2008~2012年頃
にかけて、東証一部のPBRは節目の1.0を下回っています。
シンプルにわかりやすく「割安な時期」を示唆しています。
東証一部PBRの使い方
※出所:その他統計資料 | 日本取引所グループのデータより管理者作成
1999年1月末~2017年4月末に関しては、基本に忠実にPBRが1.0を下回っている時期に、日本株は割安圏にあったと思われます。
したがって、一つの経験則として、今後、東証一部PBRが1.0を下回る局面では
★株式中心の長期投資を開始する
★株式の配分比率を上げる
★現金比率を下げ、株式・リートなどのリスク資産の比率を上げる
という投資判断をしてもよいかもしれません。
株価との比較のために、1999年1月末~2017年4月末の日経平均、S&P500のグラフも掲載しておきます。赤丸の時期にPBRが1.0を下回っています。
※出所:◎Yahoo!ファイナンス ◎Yahoo Financeデータより管理者作成
日経平均に関しては割安時期を示唆する精度の高い指標だったと思われます。
S&P500に関しても、そこそこいい指標になっていると思います。
日本株に関しては
愚直に市場全体のPBRが低い時期にだけ株式を買い増し、後は放置しておくか、あるいは割安感が薄れたら売ってしまう
という投資スタイルは、あっけないほどシンプルですが、意外に侮れない気がします。
2017.5月末は割安か?
2017.5月末の東証一部PBRは
1.2
でした。
日経平均などの指数が高いわりには相変わらず低位水準です。
ただ、割安判断の基準となる1.0を上回っており、この指標のみで判断すると、
日本の株式は割安な時期ではなさそう
です。
過去2年のデータは以下のようになります。
1.0~1.3のレンジで2年間、比較的地味な動きを続けています。
トランプ相場が始まる前は節目の1.0を切る雰囲気もありましたが、少し回復しています。
その他の指標はこちら
◎長期的にみて、今、株式は割安か割高か?
この問いに対して、一つの指標だけで安直に判断するのは危険であり、複数の指標で総合的に判断することが大切とわたしは考えています。
一般に株式が「割安な時期」を判断する目安になると思われる以下の指標も参照ください。
★恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>
★信用評価損益率<日本市場。信用買いの損益>
★米国社債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッド>
★ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッド>
★ISM製造業景気指数<米国市場。景気動向>