ユキマツの「長期投資のタイミング」

「景気(企業利益動向)」「中銀の金融政策(金利動向)」「投資家のリスク許容度」などから長期投資のタイミングを探る投資ブログ

市場タイミングに賭けてみようというのは「悪魔の囁き」だ~時空をこえたメッセージ④~

時代や国を問わず、説得力を持ちつづけそうな言葉を拾ってまとめていくシリーズ「時空をこえたメッセージ」の4回目です。

今回のテーマは「市場タイミングを読む難しさ」です。

市場タイミングに賭けてみようというのは「悪魔の囁き」だ。決して耳を傾けてはいけない

※出所:『敗者のゲーム』チャールズ・エリス

相場は割高あるいは割安でも、数年にわたってその状態を維持したり、さらにその度合いを強めたりする可能性がある

※出所:『投資で一番大切な20の教え』ハワード・マークス

頭と尻尾はくれてやれ

※相場に伝わる格言

まず、チャールズ・エリスの言葉から。

市場タイミングに賭けてみようというのは「悪魔の囁き」だ。決して耳を傾けてはいけない

これは市場タイミングを日々探っているわたしのような投資家からすると、非常に耳の痛い言葉です。

「悪魔の囁き」という強い言葉をチャールズ・エリスは用いています。

くだけた日本語表現にすれば

ベストな市場タイミングなんか誰もわからないんだし、タイミングを読んでもまずろくなことにならないから、絶対やめとけ

というところでしょうか。

 

『敗者のゲーム』を読んでいると、著者の篤実な人柄が伝わる場面があります。

「人生の終盤にかけては、資産は<自分の生活資金>や<遺産>以外に<社会への恩返し>のためにも活用すべし」という部分は、その最たる部分かもしれません。

そして、市場に翻弄され、人生を踏み外し、市場との関わりがろくな結果を生まなかった人もたくさん見てきたであろう著者は、市場タイミングを読むことで長期的に投資で成功した人はごくわずかであるという信念を基に、「悪魔の囁き」という強い言葉を用いているのかもしれません。

それくらい、市場タイミングを読むことは難しいのだ、と思われます。

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次にハワード・マークスに移ります。

相場は割高あるいは割安でも、数年にわたってその状態を維持したり、さらにその度合いを強めたりする可能性がある 

『投資で一番大切な20の教え』はあまり根拠が書いていない 本です。

あることを主張するのに、その根拠となるデータや指標を使用していない場面が多い本です(意図的にそうしているようですが)。

にもかかわらず、投資経験者の心をつかむ不思議な説得力を持つフレーズがいたるところにちりばめられている、そんな印象を与える書籍です。

おそらく、それは投資の世界で長らく戦い続けてきた著者の実践知がにじみ出ているからかもしれません。

そんな『投資で一番大切な20の教え』の一節が上記の言葉です。すなわち、

相場は生き物であり、明解な理論や指標で完全に理解、管理、把握しきれるものではない

ということでしょう。

そして、

十分割高(だと思われる)な状態からさらに割高な水準に上昇したり、十分割安(だと思われる)な状態からさらに割安な水準に落ち込んだりすることもあり、市場タイミングを読むことは実際、難しい

そういう投資のベテランからのメッセージでもあります。

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最後は

頭と尻尾はくれてやれ 

です。実に端的です。

相場の天井や大底など、把握できるわけがない。「だいたい」で満足すべきだ

この格言をわたしはこのように理解しています。

 

おわりに

過去のチャートなどを眺めていると、投資で収益を上げるのはごく簡単なことのように思えてきますが、実際、自分がやってみると難しい。市場タイミングを「的確」にとらえるのは非常にむつかしいことだと思われます。

 

ただ、「的確」ではなく「だいたい」なら、ある程度分かるかもしれない、とわたしは思います。さらに、努力及ばず、大きく外してしまってもそれは「仕方のない」ことだと思います。予言者ではないんですから。

 

「的確にタイミングをとらえる」よりは、「だいたいのタイミングをとらえる」こと、それもダメだったら「致命傷を負って投資の世界からリタイアしない」ことが大事かもしれない。

そして、「致命傷を負わないリスク管理」さえできていれば、各々のニーズに合った投資スタンスでそれぞれが信じる道を選べばよいのではないかとわたしは思います。

市場タイミングに賭けてみようというのは「悪魔の囁き」だ。決して耳を傾けてはいけない

※出所:『敗者のゲーム』チャールズ・エリス

相場は割高あるいは割安でも、数年にわたってその状態を維持したり、さらにその度合いを強めたりする可能性がある

※出所:『投資で一番大切な20の教え』ハワード・マークス

頭と尻尾はくれてやれ

※相場に伝わる格言

 「時空をこえたメッセージ」シリーズ、よければどうぞ。

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