ユキマツの「長期投資のタイミング」

「景気(企業利益動向)」「中銀の金融政策(金利動向)」「投資家のリスク許容度」などから長期投資のタイミングを探る投資ブログ

米国の時価総額、29兆ドルを突破!~2017.5月の米国バフェット指標~

米国の5月末の時価総額データが分かったので、2017.5月の米国バフェット指標を取り上げます。

初めに結論部分を述べ、後は長々と過去記事と同様の米国バフェット指標の説明にあとがきが続きます。

結論だけ知りたい方は、初めだけご覧ください。

2017年の米国バフェット指標と現状判断

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 ※データ出所:WFE世界経済のネタ帳のデータより管理者作成

2017.5月の米国の時価総額は約29.2兆ドルでした。米国バフェット指標も1.5になり、過去最高水準、ITバブルや2014年末頃と同様の割高水準を示唆しています。f:id:yukimatu-tousi:20170607223352p:plain

※出所:グローバルノートのデータより管理者作成

わたしは個人的に

米国バフェット指標「1.4以上」は割高?

という経験則を参考にしており、この指標のみで判断すると、長期投資のタイミングとしては

◎株式の配分比率を減らす

◎現金の配分比率を増やす

◎長期投資を一時やめる

 のに適す時期だとわたしは考えます。

※長期投資に関する一つの判断です。短期、中期的な投資には役立たない可能性が高いです

※バリュー投資の発想から「割高な時期に株を売り、割安な時期に株を買う」という判断に基づいています

※個人の感想です。投資は自己判断、自己責任で

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以下、米国バフェット指標の説明と「あとがき」が続きます。

 

 米国のバフェット指標を知るメリット、その強み

●長期的観点から、米国株の割安割高を判断する材料の一つになると思われます

●割安に買って、割高に売る長期投資が成功しやすくなるかもしれません 

「バフェット指標」とは?

 まず、バフェット指標の一般的な説明を引用します。

バフェット指標は、投資の神様とも言われる、ウォーレン・バフェット氏が愛用しているとされる、ある国のGDPと上場株式の時価総額の総和を比べる指標をいいます。これは、ある国の株式時価総額増加率と名目GDP成長率は長期的には収斂するとの主張に基づくもので、ある国の株式相場に急落の可能性は高まっていないか、あるいは逆に売り込まれすぎていないかを見る場合に使われます。

※引用元:金融情報サイト「バフェット指標」

具体的には

◎バフェット指標=ある国の時価総額÷名目GDP

です。ここでの時価総額は市場規模をさします。

名目GDPは経済規模のことでもあるので、

◎バフェット指標=市場規模÷経済規模

です。

※時価総額の説明→【世界時価総額】で株式の割安割高を探る【ダイジェスト版】

※GDPの説明→金融情報サイト「GDP」

米国バフェット指標とは

◎バフェット指標=ある国の時価総額÷名目GDP

なので、

米国のバフェット指標=米国の時価総額の合計額÷米国の名目GDP

です。

米国のバフェット指標のことを、当ブログでは米国バフェット指標と呼びます。

また、本ブログの「米国の時価総額」はニューヨーク証券取引所とナスダックの時価総額の合計額で計算しています。

経済規模と市場規模の関係(GDPと時価総額の関係)

一般的に名目GDP成長率と株式時価総額増加率は長期的には正比例する傾向があります。実際、1995年末と2015年末を比較すると、20年間で世界全体の市場規模(時価総額)は約3.9倍、経済規模(名目GDP)は約2.4倍になっています。※出所:以下サイトデータより管理者作成 ◎名目GDP→IMF ◎世界時価総額→WFE 

 一般的に、一国の経済規模と市場規模の間には長期的には、以下のような関係があるからだと思われます。

●経済規模↑⇒企業利益↑⇒株価↑⇒市場規模↑
●経済規模↓⇒企業利益↓⇒株価↓⇒市場規模↓

※市場規模=時価総額=株価×株数です

国でなく、世界全体で考えても同様に、世界の経済規模が大きくなれば、長期的には世界の株式市場規模も大きくなる傾向がある、逆も然り、といえるでしょう。

●世界の経済規模⇔世界の市場規模
●世界経済の成長⇔世界市場の拡大

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バフェット指標の使い方

◎バフェット指標=時価総額÷名目GDP
◎バフェット指標=市場規模÷経済規模

なので、

◎バフェット指標が大きくなる→市場規模が経済規模に比べて大きくなる
◎バフェット指標が小さくなる→市場規模が経済規模に比べて小さくなる

ことを意味します。そして、経済規模と市場規模は長期的には概ね連動しているという前提で、バフェット指標が長期的な平均値より

◎大きい→市場規模が大きすぎる→株式は割高(の可能性)
◎小さい→市場規模が小さすぎる→株式は割安(の可能性)

と解釈します。これがわたしの考える基本的なバフェット指標の使い方であり、これは米国バフェット指標に関してもそのまま使えると考えています。

米国バフェット指標の推移とデータ

日本や世界の時価総額に関しては、月ごとのデータを入手できたのですが、米国に関しては、2003年以前の月ごとのデータが入手できませんでした。

よって、かなり雑なデータになりますが、1995~2016年の各年末の時価総額のデータと名目GDPで米国バフェット指標を算出し、グラフ化しました。f:id:yukimatu-tousi:20170607222329p:plain ※出所:グローバルノートのデータより管理者作成

2008年、2002年、2011年の年末に大きな底があり、1999年、2006~2007年、2014年の年末に大きな山ができているのが観察できます。

2008年末:リーマンショック後
2002年末:ITバブル崩壊後
2011年末:欧州債務危機
1999年末:ITバブル
2006、7年末:サブプライムバブル
2014年末:量的緩和バブル?

また、この期間の

★平均値:1.23
★中央値:1.31

です。


米国バフェット指標の使い方

f:id:yukimatu-tousi:20170607223352p:plain※出所:グローバルノートのデータより管理者作成

 ①長期平均とのかい離を見る

ざっくりした大まかな使い方として、長期平均1.23より

★大きい⇒株式は割高傾向?
★小さい⇒株式は割安傾向?

という見立ては可能かもしれません

②1.05以下は割安圏?1.40以上は割高圏?

あくまで近年の事例に基づいた経験則ですが、米国バフェット指標が

★1.05以下は株式は割安圏?
★1.40以上は株式は割高圏?

という判断もありだとわたしは思います。 

S&P500と米国バフェット指標

f:id:yukimatu-tousi:20170607223352p:plainf:id:yukimatu-tousi:20170607231041p:plain※出所:◎グローバルノートYahoo Financeのデータより管理者作成

上記グラフは、1995年末~2016年末の米国バフェット指標とS&P500の推移です。米国バフェット指標で割高圏のサインが出ている時期のS&Pは赤四角、割安圏のサインは青四角で囲っています。

バフェット指標は年末データのみなので、かなり雑で申し訳ないですが、それでもそこそこの、いいサインになっているように見えますが、いかかでしょうか。

少なくとも全く何も考えずに長期投資を始めるよりは、こういった目安(単なる経験則であり、未来を予測できる指標ではなく、あくまで目安に過ぎませんが)を参考にした方が、長期的な収益の面で有利なのではないかとわたしは考えています。

 

あとがき     

①米国市場は盛況です。6月に入って、一部ハイテク株の下げが目立つようですが、全体としては、今もそれほど揺らいでいないのではないかと思われます。

悲観論もちらほらあるようですが、安易に衝動的に空売り(NYダウ先物やCFDなどで米国株の下落に賭ける)で勝負するのは考えものです。

よほど長期戦略とポジション管理がしっかりしていないと、少し吹き上げられると怖くなって手じまうケースが多く、空売り一本で勝ち切るのは、なかなかむつかしい(単なるわたしの経験則ですが)。

どちらかというと、すでに米国株を保有している人が、米国株がもしも大きく下落した場合のために、部分的にリスクヘッジで使うなら、先物やCFDは優れたツールになるかもしれないと、わたしは思います(安心感をもたらしてくれる場合があります。その分、米国株がさらに上がっても利益が減ります。また先物やCFDと現物株は損益通算できないので、税制上不利です)。

わたしはバタバタせず、今は様子観察を好みます。

 

②長期的にみて、今、株式は割安か割高か?

この問いに対して、一つの指標だけで安直に判断するのは危険であり、複数の指標で総合的に判断することが大切とわたしは考えています。

米国、世界に関する以下の指標もよければ参照ください。

恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>

世界バフェット指標<全世界の時価総額÷名目GDP>

マージンデット<米国市場。米国投資家の株の売買のための借金額>

米国社債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッド>

ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッド>

ISM製造業景気指数<米国市場。景気動向>

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