米国景気の一つの指標【ISM製造業景気指数】の最新データが発表されましたので取り上げてみます。
7月3日に発表されたデータは2017.6月の米国の景気動向を反映するデータです。
ISM製造業景気指数とは
ISM製造業景気指数とは|金融経済用語集
ISM製造業景気指数は、アメリカ合衆国の米国供給管理協会(ISM:Institute for Supply Management)が発表する、製造業の購買担当役員へのアンケート結果を元にした「企業の景況感」を示す経済指標をいいます。
※引用元:ISM製造業景気指数とは|金融経済用語集
一般的な説明は上記のようになり、簡単に付け加えると以下のようになります。
①この指数が50を上回ると景気拡大、50を下回ると景気後退を示唆するといわれています。50が節目です
②指数が大きくなると景気改善、小さくなると景気悪化を示唆します
③毎月第1営業日に前月の結果が発表され、即時性が高い米国の景況感を示唆する指標です
④個人的な経験則として、株式が割安な時期は、ISM製造業景気指数が50を下回っている可能性が高い、すなわち、この指標は株式の割安な時期を示唆する可能性がある、と考えています
ISM製造業景気指数について、詳しくはこちらの記事を参照ください↓
ISM製造業景気指数の推移
※出所:アメリカ ISM製造業購買担当者指数のデータより管理者作成
上記グラフは1995年1月~2017年6月のISM製造業景気指数の推移です。
節目の50にラインを引いています。
ITバブル後(2001~2002年頃)とリーマンショック後(2008~2009年頃)に米国が厳しい不況に陥っていたことを端的に示すグラフです。
2017.6月のISM製造業景気指数と解釈
2017.6月の指数は57.8でした。
予想が55.2だったので、大きなプラスのサプライズ、米国景気は堅調であることを示唆する数値です(このサプライズを受けて、為替、株式、国債の金利等々、少し影響を受けているようです)。
わたしなりの解釈ですが、節目の50を大きく上回り、50を下回っていないので、株式は現在割安な状況ではなさそうだと推測します。
つまり、長期投資を始めるような割安な状況ではないと思われます。
※長期投資に関する一つの判断です。短期、中期的な投資には役立たない可能性が高いです
※バリュー投資の発想から「割高な時期に株を売り、割安な時期に株を買う」という判断に基づいています
※単なる個人の感想です。未来は誰にも予知できません。投資は自己判断、自己責任で
ここ2年の推移と分析
※出所:アメリカ ISM製造業購買担当者指数のデータより管理者作成
上記グラフは2015年6月~2017年6月のISM製造業景気指数の推移です。
2015年末~2016年の初頭にかけて50を下回る短期的な景気の底がありました。
その後は回復基調(2016年夏に一時的に50を下回っています)、この指標からは概ね米国景気は堅調と推測されます。
米国株が高くなるのもごく自然な成り行きか、と思えてくるグラフです。
おわりに
トランプ大統領就任後、あれこれもめ事は多いようですが、米国実体経済に大きな波風はたっていないようです。
また、以前もお伝えしましたが 「ISM製造業景気指数とは|金融経済用語集」によれば、FRB(米連邦準備理事会)は、本指数が
50を下回っている場合に利上げをしたことがない
らしく、FRBの利上げスタンスを見極める意味でもこの指数は注目される指標のようです。
さらに、今回記事のように7月初めに6月のデータが発表され、アメリカの景気動向の一端を素早く知ることができる便利な指標です。興味のある方は下記サイトへどうぞ。
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