時代や国を問わず、説得力を持ちつづけそうな言葉を拾ってまとめていくシリーズ「時空をこえたメッセージ」の7回目です。
今回は「教授」の登場です
音楽家の坂本龍一氏は「教授」という愛称で呼ばれることもあるようですが、わたしにとって、投資の世界における「教授」は竹中正治氏です。
竹中正治氏の紹介
現在、龍谷大学経済学部の教授の地位にあられます。
著書からうかがえる情報に過ぎませんが、投資家でもあられ、米国株、米国債、日本の不動産投資、為替投資なども実践されているようです。
その魅力
氏の主張には経済理論の土台の上に「熟慮」「実践知」「親切さ」があるようにわたしには感じられます。
もともと東京三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)の為替資金部次長、調査部次長の職にあられ、実戦の場で為替取引をされており、その後前述のように不動産、株式、米国債などの投資を個人的に実践されている。
そこに大学教授の職につけるような経済学の知識・理論の土台があられます。
さらに付け加えると、著書の中身は専門用語が少なめで、一般的な読者の立場に立ったアドバイスも多く親切です。
堅苦しい言葉や理屈が多いけれど、この人ほんまに自分で投資したことあるんかいな。あんまり説得力ないなあ<理屈偏重タイプ>
逆に、
実際この人はそれでうまくいったのかもしれないけど、理論的にはちょっと荒唐無稽で自分の参考にならないなあ<実践偏重タイプ>
そういう感想を抱かざるを得ない投資書籍はけっこうたくさんあります。
竹中氏の著作や言葉には一部難しいところもあるにはありますが、上記のような偏重が感じられず、
理論的、実践的、親切さ
が感じられる、わたしのみならず広く個人投資家にとってはありがたい書籍が多いのではないかと感じます。
今回のメッセージ
世間が「米国金融危機」「米国凋落」「世界株式崩壊」と騒いでいる今こそ(2008年10月現在)、株式やREIT投資の千載一遇のチャンスだという「黄金の波」を見ることができるかどうか、そう思った時に投資する余力があるかどうか、これが長期の資産形成で成功と失敗を分かつポイントになるのだ
※出所:『今こそ知りたい資産運用のセオリー』竹中正治著 光文社 2008年12月
上記メッセージは2008年10月頃に書かれ、この本の初版は2008年12月25日となっています。
2008年10~12月といえば、リーマンショック後の世界同時株安で大騒ぎしていた時期であり、まさに株価が急降下していた時期です。
※下記グラフはS&P500指数の推移です。
※出所:S&P 500 - Yahoo Financeのデータより管理者作成
こんな時期に、教授は株やREIT投資を著作の中で勧めておられます。
今、このタイミングで「黄金の波をみろ」と。
これは一般的に考えるとけっこうリスキーな行動だとわたしは思います。
わたしも含め多くの投資家は不安、恐怖心で委縮し投資どころではなかった可能性が高いです。
「何言ってんの?」
という感想を抱かれ、場合によっては逆恨みの敵意を抱かれるリスクもなくはない発言です。
にもかかわらず、そんな状況でこの方は
「今が千載一遇のチャンスだ、黄金の波をみろ」
とおっしゃる。
タイミング的にはウォーレン・バフェット氏と同じようなタイミングで同じようなことを著書の中で述べておられるわけです。
※2008年の世界同時株安期にウォーレン・バフェット氏は「Buy American,I am」というメッセージを残しています
そして、このメッセージは文字通り「金言」でした。
一冊500万円の価値?
例えば1000万円の資産があり、2008年12月頃に500万円を株式に投資しようか迷っていた人がいたとしましょう。
そして、その人がこの本を買って読み、このメッセージに後押しされ、S&P500に連動するETFに500万円の投資を断行したとします。
そうすると、この本のおかげで約5年後の2013年にはS&P500は2倍以上になっているわけで(ざっと「900⇒1800」に上昇。税金、手数料、配当、為替差益など考慮せず)、このメッセージは500万円分の価値があったともいえなくもない、です。
※1億円の資産があり、5000万を株式に投資しようか迷っていた人ならこの1冊の本に5000万円分の価値があったともいえなくもないです
このメッセージだけで竹中氏のすべてを判断することはできませんし、氏の判断や主張が常に正しい、と考えるのは危険です。誰も未来は予見できません。
ただ、いい加減な主張、怪しげな勧誘のための主張、そんなものが巷に溢れている中で、一見地味ですが(アカデミックで少しとっつきにくい)、竹中氏の主張や著書は非常に輝いている、切れ味の鋭いものが多いようにわたしは感じています。
おわりに
一つ一つの指標は参考にするが、一つの指標だけで全てを判断するのはリスキーだ
とわたしは考えています。
同様に、
一人一人の発言や主張は参考にするが、一人の主張だけで全てを判断をするのはリスキーだ
とも考えます。
やはり、最終的には自分で情報を統合し、自分で判断、決断するのが自立した投資家であると思われます。
ただ、人それぞれだと思いますが、
自分と妙に相性が良く、しっくりくる主張や指標
は確かに存在し、わたしにとって竹中氏は当分投資の世界における「教授」のポジションにいてくださりそうな気がしています。
※特にわたしは竹中氏と知り合いでもなんでもなく、わたしが竹中氏の書籍や記事から一方的にお世話になっていると感じているだけ、の間柄です
世間が「米国金融危機」「米国凋落」「世界株式崩壊」と騒いでいる今こそ(2008年10月現在)、株式やREIT投資の千載一遇のチャンスだという「黄金の波」を見ることができるかどうか、そう思った時に投資する余力があるかどうか、これが長期の資産形成で成功と失敗を分かつポイントになるのだ
※出所:『今こそ知りたい資産運用のセオリー』竹中正治著 光文社 2008年12月
🐈「時空をこえたメッセージ」シリーズです。よければどうぞ。