もしもの円暴落があるとわたしは現在の投資ポジションでは非常に困るので、「もしも」の兆しがないか適時確認しています。
その確認内容を記事にするシリーズです。
同様の不安がある方もおられれば、よければお付き合いください。
海外資産が全体の50%を超えているような方は、あまり切実でないテーマかもしれませんが・・・
円暴落の兆しを知るための指標
わたしは以下の5つの指標を適時確認しています。
①ドル円名目レート
②円の実質実効為替レート
③日本の消費者物価指数
④日本の長期金利(10年国債の金利)
⑤日銀の資産動向
※あくまで個人的な対策に過ぎないので、本当に役立つかはわかりません
それぞれが何を意味するのかの説明は以下の記事を参照ください。
ここから5つの指標を一つずつ確認していきます。
「ドル円名目レート」
※出所:セントラル短資FX
1ドル114円台に乗せてきましたが、急激な円安ではありません。
円の実質実効為替レート
※出所:<BIS>Effective exchange rate indices(Monthly data: Narrow indicesupdated 15 June 2017)のデータより管理者作成
上記は長期的な視点から「通貨の実力」を示唆する、という人もいる円の実質実効為替レートの推移グラフです。期間は1973.1月~2017.5月です。
2017.5月は「78.5」であり、円安が疑われる水準ですが、急激な下落を見せている状況ではありません。
日本の長期金利(10年国債の金利)
※出所:日本 10年債券利回りチャート
近年の日本の長期国債の利回りの推移です。
現在は「0.10%」程度の低位水準です。
日本の消費者物価指数
※出所:統計局ホームページ/消費者物価指数(CPI) 時系列データのデータより管理者作成
2015.1月~2017.5月の消費者物価指数<生鮮食品を除く総合。前年同月比>です。
消費税増税による上昇効果は2015.4月に剥落し、その後は「-0.5~0.5%」程度で推移しています。
2017.5月は「+0.4%」であり、少し上がってきていますが、ごく低いインフレ率です。
日銀保有資産
※出所:Bloomberg Markets ※<単位:10億円>
過去5年の日銀保有資産の推移です。尋常ではない増加ペースです。
2017.7.10で502.7兆円、5年前は144兆円だったので、約359兆円増えています。
ここ5年、ざっと一年で72兆円ずつ、毎日平均2000億円足らずのペースで日銀は資産を増やし続けている計算になります(数字が大きすぎて実感としてよくわかりませんが)。
2017年の日本の名目GDPは推計で546.2兆円であり、現在の日銀の保有資産額は名目GDPの約92%です。
米国債の利回りとギリシア国債の利回りの確認(ともに10年物)
もしも日本円が暴落するとき、市場はいわゆるリスクオフ一色の相場になると思われます。
そのとき投資家の資金が逃げ込む国債の一つは流動性や信用力の高い米国債ではないかと思います。
逆に投資家が資金を引き揚げる国債の一つは、多額の負債を抱え事あるごとに国債利回りが急騰しているギリシアの国債ではないかとわたしは推測しています。
したがって、もし円に何かあれば、米国債の利回りは下がり(米国債は買われて価格が上がり利回りが下がる)、ギリシア国債の利回りは上がる(ギリシア国債は売られて価格が下がり利回りが上がる)と推測されるので、この意味で米国債やギリシア国債の利回を観察しておくと、役に立つのではないかと思われます。
上記グラフは米国とギリシアの10年国債の利回りの推移です。
米国債利回りは6月のECBドラギ総裁のコメント以降、上昇傾向にあり、2.38%程度です。
ギリシア国債利回りは5%台という近年では低い水準にあり、現在は円の危機とは思われません。
欧州債務危機の発端はギリシアであり、2012年頃には30%以上の利回りをつけています。2015.6月や2016.2月頃にも10%以上に上昇しており、何か事あるごとに利回りは跳ね上がっています。
したがって、ギリシア国債の利回りは何かあったときに敏感に反応してくれる目安、「炭鉱のカナリア」になり得るのではないかと個人的に考えています。
まとめ
現在特別気になる指標はなく、明瞭な怪しい気配は確認できません。
ただ、日銀は「指値オペ」で国債利回りの上昇を抑え込む宣言をしており、今後の日銀の保有資産動向は少し気になるところです。
※指値オペ・・・日銀が適当と判断するイールドカーブから離れた水準に金利が動いた場合、日銀が指定する利回りで国債を無制限に買う措置のこと
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