世界景気にはやや停滞感がありそうです。
OECD景気先行指数(Composite leading indicator。以下CLI)
の2017.5月時点のデータから世界的な景気動向を確認します。
CLIについては以下の記事を参照ください。
CLIとは
以下、株初心者のための株式投資と相場分析方法からの引用です。
OECD景気先行指数(CLI)とは
OECD景気先行指数(CLI:Composite Leading Indicators)とは、OECD(経済協力開発機構)が景気循環の転換点を早期に見極めるために1970年代から算出を開始した指数で、鉱工業在庫率、輸入輸出比率、住宅着工戸数、株価指数など、経済活動の変化を示す統計を基に算出される指数のことです(使われる統計は国ごとに異なる)。
OECD景気先行指数(CLI)の見方
OECD景気先行指数(CLI)は、景気の転換点の6~9カ月先行するように作成されていますので、景気の先行きを予想する指数として注目されます。
OECD景気先行指数(CLI)は、その数値が、
・100より低ければ景気の悪化
・100より高ければ景気の拡大を示します。
上記をまとめ、補足すると、CLIは
○OECDが算出している景気動向を判断する指標
○100が基準値
○100より低い⇒景気は悪い
○100より高い⇒景気はよい
○CLIが下降している⇒景気の減速
○CLIが上昇している⇒景気の加速
を意味します。
※CLIの数値は絶対値でなく、データを抽出する期間で変動します
※OECDについては、以下サイトを参照ください
どのCLIを見るべきか
CLIには、OECD各国のCLI、OECD全体のCLI、ヨーロッパ地域、その他、中国、インドのCLIなど様々なバージョンがあります。
必要に応じて、確認すればよいのですが、わたしが最も有用と感じるのは、
OECD全体のCLI
です。
その理由はOECD全体の経済規模は
全世界の実質GDPの約7割
名目GDPの約6割
を占めるため、概ね全世界の景気動向を反映しやすいと考えられることです。
※グローバルノートの2015年のデータより
以下、本記事ではこのOECD全体のCLIを見ていくので、
CLI=OECD全体のCLI
の意味で表記していきます。
CLIの使い方
※出所:OECD DATE のグラフを管理者編集
あくまで、わたしの個人的な使い方ですが、
●CLI:101以上
⇒めったにない世界的な好景気
⇒株式は割高⇒株式を売るチャンス
●CLI:99以下
⇒めったにない世界的な不況
⇒株式は割安⇒株式を買うチャンス
と判断します。
※CLIの数値は絶対値でなく、データをみる期間で変化するので、101、99はあくまで目安です
また、CLIが上昇しているか、下降しているか、も重要な情報です。
●100以下の水準でも、景気の底からCLIが上昇してきている
⇒株式の先行きにはプラス要因
●100以上の水準でもCLIが景気のピークから下降してきている
⇒株式の先行きにはマイナス要因
と判断します。
要するに、
●現在の水準(今、好景気か?不景気か?)
●トレンド(今後、CLIが上昇していきそうか?下降していきそうか?)
の2点を確認して判断材料とします。
CLIの推移と現在値、その分析
※出所:OECD DATE
上記グラフは1995年1月~2017年5月のCLIの推移を示しています。
上記はここ1年のCLIの表です。
2017年5月のCLIは「100.00」です。
景気の水準としては、基準値の100なので、世界経済は
不景気でも好景気でもない
ということを示唆する値です。
では短期的なトレンドはどうか。
※出所:OECD DATE データより管理者作成
上記グラフはここ2年間のCLIの推移です。
「100.4」辺りから「99.6」程度に下落、その後「100.0」程度まで盛り返すも、勢いが感じられず、やや停滞感があります。
とりあえず2017.5月時点では
●世界の景気水準⇒ふつう(良くも悪くもない)
●世界景気の短期トレンド⇒足踏み?
ということになります。
そんな中、
・カナダの中央銀行が利上げを実施する
・ECBが量的緩和の縮小を図る
・FRBが資産規模の縮小を図る
など、金融引き締めの流れがありますが、
世界的な実体経済は良くも悪くもなく、停滞感がありそう、そんな中引き締めて大丈夫だろうか?
と漠然と感じたりします。
CLIが確認できるサイト
など。
おわりに
世界景気は微妙な状況が続いています。
方向感が乏しく、何ともいえません。
少なくとも金融市場の好調さと実体経済には、
温度差がありそう(実体経済に比べて金融市場は相対的に熱そう)
ということはいえそうな気がします。
関連記事です。
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