この記事は
マージンデットとS&P500(米国株価指数)の相関関係
について記載したものです。
マージンデット(Margin Debt)は、米国の株式市場(ニューヨーク証券取引所)が公表しているデータです。
マージンデットは「証拠金債務」のことであり、わかりやすくいえば、
「アメリカの投資家が株の売買ために金融機関から借りているお金の総額」
のことです。
要するに借金の額、株の売買のための借金の額です。
※マージンデットについてはコチラ
※マージンデットのデータはコチラ
日本の信用買い残と似たような指標です。
※信用買い残についてはコチラ↓
このマージンデットと米国の株価「S&P500」にどのような関係があるのか、相関はあるのか、気になったので調べてみました。
マージンデットとS&P500(米国株価指数)の相関関係
1995年1月末~2017年5月末の20年以上の期間における月末データ269個を利用して、マージンデットとS&P500の相関関係を調べてみました。
相関係数は「0.95」でした。
「0.7」以上の相関係数は「強い相関」とされ、最も強い相関は「1.00」なので、「0.95」はとても強い正の相関といえます。
散布図は以下のようになります。
相関係数「0.95」は強い正の相関なので、この期間において、
・S&P500が上がる ⇔ マージンデットが増える
・S&P500が下がる ⇔ マージンデットが減る
という傾向がとても強くみられたということです。
そして、マージンデットの動向は、信用状態や投資家態度・心理を反映すると考えられるので、この期間において、S&P500が上がると
●信用が拡大する(ふくらむ)※信用状態についてはコチラ
●投資家の態度がリスクテイク志向に偏る
●投資家心理が楽観、安心、期待モードに偏る
傾向があったことを示唆します。
逆に、S%P500が下がると
・信用が収縮する(しぼむ)※信用状態についてはコチラ
・投資家の態度がリスク回避志向に偏る
・投資家心理が悲観、不安、恐怖モードに偏る
傾向があったことを示唆します。
相関関係と因果関係は別だが・・・
相関係数はあくまで「二つの値の関連性を調べる目安となる数値」であり、因果関係を表す数値ではないので、ここからは単なる推測ですが、米国の投資家は
・株価が上がると借金して株につぎ込み
・株価が下がると借金して株につぎ込んでいた資金の回収に走る
という傾向がありそうな気がします。
おわりに
一般に、
株価は長期的にゆっくり上がり、落ちるときは比較的急である
とされます。
借金してまで株につぎ込まれていた資金は、株価の下落で急速に回収される可能性が高く、株価が落ち始めると急激な下落を見せやすい理由の一つとして
「借金して買われていた株式の存在」
を挙げることもできるかもしれません。
そういう意味で、米国市場の大きな流れを把握するために、マージンデット、マージンデット指数の推移は、観察しておいてもいい指標のような気がしています。
関連記事です
<データ出所>
S%P500(ヤフーファイナンス)
マージンデット(ニューヨーク証券取引所)
<散布図>
データをもとに管理者が作成