ブログを始めて間もないアクセスがほぼゼロだった頃の記事を再掲します。
投資スタイルについての記事の2回目です。
この記事の続きになります↓
バリュー派 弱み と 強み
※出所: 以下サイトデータより管理者作成 ◎GDP→IMF ◎時価総額→WFE
ただ、前述したようなバリュー投資のスタイルには明らかな弱点があります。
本当に割安な時期は、過去の経験則からすると、5~10年に1度くらいしかやってこないようです・・・
2003年とか2009年とか。
その間、バリュー派はバーゲンタイムを待ち続ける日々が続きます。
5年も10年も、現金を握りしめて「その時」(割安な時期)を待ち続けられるかどうか、そこまで動かずに忍耐できるかどうか、ここがバリュー派の苦しいところだと思います。
場合によっては10年以上投資機会がやってこず、投資家としては開店休業状態が続き、機会損失の大きさに打ちひしがれることもあるでしょう。
ただ、バリュー派の強みもあります。
株式が割高な時期には株式をあまり保有していない(すでに株式を売っている)可能性が高いので、下落相場、暴落相場でのダメージが小さいところです。
例えば、2000~2003年頃に世界は2~3年にわたる下落相場を体験しています。
2007年から2009年にかけて、世界の時価総額は約半分になりました。
こんなひどい時期でもバリュー投資家は比較的ポジティブです。
バリュー投資家は
このような過剰な下落相場こそが、自分の未来の投資収益率を高める要因である
ことを理解しているので、下落相場において、ひたすら「どこまで落ちて、どこで自分が投資に踏み切ればいいか」を考察、検討しています。
大幅な株価の下落はバリュー派にとって、戦闘モード、投資モード開始の号砲、ファンファーレの響きになります。
世間は大騒ぎしているので、けっして嬉しそうにはしないと思いますが、長年補欠の立場に甘んじていた選手にようやく出番がやってきたような気分かもしれません。
インデックス派 弱み と 強み
一方、一般的に、インデックス派は暴落相場で(一時的に)もろにダメージを受ける可能性が高いです。
※株式、リートなどのリスク資産の配分比率にもよります。一般的にリスク資産への配分が小さいほど、ダメージは小さくなるでしょうが、期待リターンもその分下がる可能性があります
歴史的にはバブルの後に大きな下落に見舞われることが多いので、【一度実現したバブル期の資産評価額】が激減していくダメージは強烈で、過去の評価額の幻影が投資家の精神を痛めつけ、投資家自身のメンタルが持たなくなる可能性がけっこうあります。
(2007年頃にこの世の春を謳歌し、2008年のリーマンショック後に投資からリタイアした人はたくさんいると思います)
能力や資質、資金があっても戦意喪失してしまうと、投資家としては終わりです。
まったく下落相場に動じないタフなインデックス派もいる一方で、怖くなって、投資ができなくなる人もけっこういるかもしれません。
しかも、暴落相場や長期下落相場への対処はなかなか「練習」ができません。
本当に怖い暴落相場は5~10年に一度くらいしかやってこない、頻度が高くないので、
初めてのインデックス投資でしばらくはうまくいってたけど、○○ショックで利益の一部、あるいは大半を突然失って怖くなって投資をやめちゃった
というパターンが意外に多いのかもしれません。
※この点が、わたしが長期投資のタイミングや「割安割高」にこだわる理由の一つでもあります
痛い目に遭ったことのない投資家が下落相場や暴落相場でパニックになるのは、「地震」というものを体験したことがない外国の方(地震の起きない国はけっこうあります)が、日本旅行に来ていきなり震度5以上のレベルの地震に遭遇するようなものかもしれません。
パニックになって、日本から脱出したくなる(投資をやめたくなる)のも、仕方のないことです。
この「下落相場での継続が難しい」というリタイアリスクが、個人で行うインデックス投資の一番の弱みかもしれません。
いくら自分の「リスク許容度」に則って、きっちり運用していても、想定していたリスク許容度の限界まで資産評価額が目減りする、あるいはそれ以上のきつい下落相場が現実に来てしまったら、人が果たしてどんな投資行動をとるのか、それは多分、なってみないとわからないことのような気もします。
ただ、インデックス投資は組織(業務)や仲間同士で行えば継続しやすそうであり、継続さえできれば、長期的な世界経済の成長の果実を享受できる可能性は高く、一時的な相場変動で(本来的には)あたふたする必要がありません。
【ITバブル崩壊だろうが、リーマンショックだろうが、下落相場の渦中でも視点を5年10年先の未来に移し、粛々とリバランスを繰り返していれば、高い確率で報われてきた実績がある】
ここがインデックス派の強みです。
そして、バランスファンドの魅力でもあります(バランスファンドは自動的にリバランスをやってくれます)。
投資に「正解」はない。投資手法の分散という戦略もある
結局、バリュー派、インデックス派、それぞれの理論と経験則はあっても、弱みと強みがあり、「どっちが正しい」とは言えず、その他の投資スタイルも含めて、投資スタイルは投資家自身が決めることです。
そもそもなんのための投資なのか、それも投資家自身が決めることです。
(誰にも未来は予測できないので、「常に正しい投資スタイル」はありえません)
「株式が割安な時期に始めるインデックス投資」
が一般性と手間の少なさと理屈の上では、比較的「ベスト」に近いスタイルかもしれませんが、理屈はわかっても株価が安い時期に投資をがっつり始められる投資家はおそらく少数派でしょう。
何なら一つの手法にこだわらず柔軟に考え、例えば
「資産の20~30%でバリュー投資、70~80%でインデックス投資」
をすれば、投資手法の分散が効いて、互いの欠点を補って、しぶとい投資手法になる、可能性はあります。
乱暴に言えば、資産の70~80%はどっしりと構え、20~30%はあえて投資タイミングに「賭ける」という「遊び」を入れるわけです。
意外にこの20~30%がいい働きをするかもしれない。
インデックス投資を続ける刺激になったり、投資をやめるときにできるだけ高く売る能力(割高な時期を探る能力)が、ガチガチのインデックス投資家に比べて上がっている、かもしれません(もちろんタイミングを外して、機会損失を被ったり、割高な時期に出動してしまう可能性も上がりますが)。
また、下落相場におけるメンタル耐性が向上する可能性もあります。
このやり方だと、投資家として20~30%は下落相場を苦にしない、むしろチャンスと捉えるバリュー投資家でもあるので、基本的に下落相場に苦しむ純度100%のインデックス投資家よりは、下落相場の到来を苦にしなくなる可能性があります。
このように考えると、一般に、分散投資における分散の対象は
①時間(投資タイミング)分散・・ドルコスト平均法など
②資産クラス分散・・株、債券、金、不動産などに分散
③通貨分散・・常に複数の通貨で資産を保有する
④銘柄分散・・数多くの銘柄に分散
⑤地域分散・・常に複数の地域に資産を分散
などが代表的と思われますが、一つの投資スタイルにこだわらず、いくつかの投資スタイルを組み合わせる
「投資手法の分散」
という発想も面白いかもしれません。
完全無欠な投資スタイルが存在しないなら、一つの投資スタイルに拘泥せず、いくつかの投資スタイルを併用する、まさに分散投資の発想、リスクや不確実性に対処するためのごく基本的な発想、アイデアの一つではあると思います。
いくら分散したところで、必ずしもうまくいくわけでもないと思いますが、「大敗+リタイア」はしにくくなるかもしれません。
そして、個人的には
「大敗+リタイア」しないこと
それこそが、長期投資家が最も気にすべきことのような気がします。