米国景気動向を二つの指標【ISM製造業景気指数】と【実質GDP】で確認してみます。
まず【ISM製造業景気指数】から。
ISM製造業景気指数とは
ISM製造業景気指数とは|金融経済用語集
ISM製造業景気指数は、アメリカ合衆国の米国供給管理協会(ISM:Institute for Supply Management)が発表する、製造業の購買担当役員へのアンケート結果を元にした「企業の景況感」を示す経済指標をいいます。
※引用元:ISM製造業景気指数とは|金融経済用語集
一般的な説明は上記のようになり、簡単に付け加えると以下のようになります。
①この指数が50を上回ると景気拡大、50を下回ると景気後退を示唆するといわれています。50が節目です
②指数が大きくなると景気改善、小さくなると景気悪化を示唆します
③毎月第1営業日に前月の結果が発表され、即時性が高い米国の景況感を示唆する指標です
④個人的な経験則として、株式が割安な時期は、ISM製造業景気指数が50を下回っている可能性が高い、すなわち、この指標は株式の割安な時期を示唆する可能性がある、と考えています
ISM製造業景気指数について、詳しくはこちらの記事を参照ください↓
※出所:アメリカ ISM製造業購買担当者指数のデータより管理者作成
上記グラフは1995年1月~2017年7月のISM製造業景気指数の推移です。
節目の50にラインを引いています。
ITバブル崩壊後(2001~2002年頃)とリーマンショック後(2008~2009年頃)に米国が厳しい不況に陥っていたことを端的に示すグラフです。
2017.7月のISM製造業景気指数と解釈
2017.7月の指数は56.3でした。
わたしなりの解釈ですが、節目の50を大きく上回り、50を下回っていないので、株式は現在割安な状況ではないことを示唆していると推測します。
ここ3年の推移と分析
※出所:アメリカ ISM製造業購買担当者指数のデータより管理者作成
上記グラフは2014年7月~2017年7月のISM製造業景気指数の推移です。
2015年末~2016年の初頭にかけて50を下回る短期的な景気の底がありました。
その後は回復基調(2016年夏に一時的に50を下回っています)、この指標からは概ね米国景気は堅調と推測されます。
次に実質GDPに移ります。
米国GDPを把握するメリット
米国の実質GDPを知ることが何に役立つのか、2点ほど挙げてみます。
①世界経済・金融の中心地である米国の実体経済の動向を知ることは、世界経済の動向を探る上で役立つ可能性が高い
②長期投資のタイミングを決断したり、投資方針を定める手がかりになる可能性がある
詳しくは下記リンクを参照ください。
米国の実質GDPの推移と現在値
※出所:BEA National Economic Accountsのデータより管理者作成
上記のグラフは1995年第1四半期~2017年第2四半期の実質GDP成長率(年率)を四半期ごとに追ってグラフにしたものです。
グラフから明らかなように、1990年代は一時5%に、2000年代は一時4%に届くような高い成長率の時期もありましたが、2010年代はせいぜい3%台がやっとという感じです。
この期間、約22年のデータの中央値は2.47%です。
2000年第1四半期~2017年第2四半期の中央値は2.06%です。
最新データである「2016年第2四半期~2017年第2四半期」の年間成長率は2.08%です。
長期的にみれば「2.08%」は高い値ではなく、好景気というには低すぎると思われます。
ただ、短期的には2016年の第2四半期「1.23%」で底打ちした後の上昇トレンドにあり、
米国実体経済はゆるやかな加速基調にある
との解釈は可能な値だと思われます。
※過去3年の推移。出所:BEA National Economic Accountsのデータより管理者作成
まとめ
最新の【ISM製造業景気指数】と【実質GDP】の観点から、米国の実体経済を観察してみました。二つの指標からは
好景気という程ではないけど、まずまずの状況?
という印象を受けます。
引き続きときどき確認していく予定です。