ユキマツの「長期投資のタイミング」

「景気(企業利益動向)」「中銀の金融政策(金利動向)」「投資家のリスク許容度」などから長期投資のタイミングを探る投資ブログ

少し安心感? ~米国市場の概況 2017.8.27~

イベントを前に、少し株価が回復した先週の米国市場を「米国株式の割安割高を判断する目安」になると思われる指標で概観してみます。

指標は以下の5つです。

恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>

ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>

S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>

米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>

マージンデット指数<マージンデット÷米国名目GDP×100>

各指標を一つずつ確認していきます。

恐怖指数

恐怖指数(VIX指数)とは

①S&P500を対象とするオプション取引のボラティリティを元に算出される指数

②数値が高いほど投資家が相場の先行きに不透明感を持っているとされる

③1990年1月~2017年7月末の長期平均は「19.5」

④わたしは主に株式が割安な時期を示唆する指標と考えています(「30」以上で割安かも?)

⑤「10」程度で安定している時期は、投資家は安心・楽観・高揚していると考えられます

推移グラフと現在の状況判断

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※出所:ヤフーファイナンスデータより管理者作成 ※期間:1990年1月~2017年7月末

2017.8.25は「11.28」です。下記グラフはここ1ヶ月の推移です。

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※出所:Yahoo Finance

7月までの「10」前後というの極めて低い状態から、8月に入って「15」程度に上振れしていることが確認できますが、また徐々に「10」に近い状態に落ち着いてきました。

長期的にみれば、「10」でも「15」でも、低い水準であり、この指標からは

「市場心理はおおむね落ち着いた状態」

と推測できます。

<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>

www.yukimatu-value.com

 


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ジャンク債スプレッド

ジャンク債スプレッドとは

①ジャンク債スプレッド

米国のハイ・イールド債の利回り-米国債(10年物)の利回り

②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向

③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向

④★平均値(幾何平均):3.1

 ★中央値:3.0

<期間:1996.12月末~2017.6月末の月末>

推移グラフと現在の状況判断

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※出所:◎St. Louis Fed米国 10年 債券利回りのデータより管理者作成 ※期間:1996.12月末~2017.6月末

2017.8.24時点のジャンク債スプレッドは「2.1」で割高圏の目安「2.0」を少し上回っていますが、長期平均よりは低い値です。

単なる近年の経験則ですが、この指標からは株式は

「割高傾向?」

と推測。

※8.24時点のジャンク債利回り「4.27%」、米国債(10年物)の利回り「2.20%」

<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>

www.yukimatu-value.com

 

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S&P500のPBR

S&P500のPBRとは

①PBRは株式の割安割高を判断する基本的な指標の一つです。1株当たりの純資産に対し、株価が何倍まで買われているかを表したのがPBR(株価純資産倍率)です

②PBRが小さいほど割安、大きいほど割高と判断します

③S&P500のPBRは米国市場の割安割高を判断する一つの目安であり、わたしは主に割安な時期を知る目安として参考にしています

推移グラフと現在の状況判断

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※出所:S&P 500 Price to Book Value

上記グラフは1999年末~2017.8.25のS&P500のPBRのグラフです。

2017.8.25時点の推計値は「3.11」であり、8.4時点の「3.22」から低下傾向にあります。

長期平均の「2.76」は上回っており、現在は少なくとも割安な水準ではなさそうです。

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※出所:S&P 500 Price to Book Value

<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>

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米国バフェット指標

米国バフェット指標とは

①米国バフェット指標=米国の時価総額÷米国の名目GDP

②米国株式の割安割高を判断する目安

③1995~2016年の各年末のデータから、

★平均値:1.23

★中央値:1.31

④近年の経験則の域を出ませんが

★1.05以下は株式は割安圏?

★1.40以上は株式は割高圏? と推測

推移グラフと現在の状況判断

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※出所:グローバルノートのデータより管理者作成 ※期間:1995年末~2016年末

2017.6月末の米国バフェット指標は「1.51」であり、割高圏の目安「1.4」を上回っているので、株式は割高圏と推測。

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※データ出所:WFE世界経済のネタ帳のデータより管理者作成

※2017年米国名目GDP:19.42兆ドル(IMF推計)

米国バフェット指標について詳しくはコチラ↓

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マージンデット指数

マージンデット指数とは

①「マージンデット÷米国名目GDP×100」で算出する指数

②米国株式の割安割高を判断するためにわたしが個人的に利用している指標

③1995.1月~2017.5月の各月末のデータから、

★平均値:1.72
★中央値:1.68

④近年の経験則の域を出ませんが

●「マージンデット指数 1.3以下」⇒株式は割安圏? 

●「マージンデット指数 2.4以上」⇒株式は割高圏?

※マージンデットは一般的な指標ですが、「マージンデット指数」は一般的なものではありません

推移グラフと現在の状況判断

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※出所:ニューヨーク証券取引所世界経済のネタ帳のデータより管理者作成

2017.6月末のマージンデット指数は「2.78」であり、割高圏の目安「2.4」を上回っており、株式は割高圏と推測。

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※出所:ニューヨーク証券取引所世界経済のネタ帳のデータより管理者作成

マージンデット指数について詳しくはコチラ↓

www.yukimatu-value.com

現時点での米国市場の割高割安、5つの指標からの推測、まとめ

あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。

恐怖指数⇒割安ではなさそう

ジャンク債スプレッド⇒割高傾向?

S&P500のPBR⇒割安ではなさそう

 ★米国バフェット指標 ⇒割高圏?

マージンデット指数⇒割高圏?

総合的に判断すると、わたしは米国株式は「割高圏?」と推測します。

したがって、現時点での米国株の長期投資のタイミングとしては

◎資産配分において、株式の配分比率を減らす

◎資産配分において、現金の配分比率を増やす

◎長期投資を一時やめる

のに適す時期だと考えています。単なる経験則ですが。

※長期投資に関する一つの判断です。短期、中期的な投資には役立たない可能性が高いです

※バリュー投資の発想から「割高な時期に株を売り、割安な時期に株を買う」という判断に基づいています

※単なる個人の感想です。未来は誰にも予知できません。投資は自己判断、自己責任で  

ITバブル、サブプライムバブル、現在のデータ比較

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※出所・世界のバフェット指標:GLOBAL NOTEWorld Federation of Exchanges・OECD景気先行指数:OECD Data・シラーPER:Shiller PE Ratio

 

あとがき

トランプ大統領ニュースを二つ。

①トランプ氏の強硬発言、政府閉鎖招く恐れ=民主党トップ | ロイター

上記記事によればトランプ大統領は

メキシコ国境の壁建設に必要な予算を確保できなければ政府を閉鎖することも辞さない

という発言をしているとのこと。

②アリゾナ元保安官を恩赦=人種差別主義者と批判も―米大統領 (時事通信) - Yahoo!ニュース

上記記事より引用。

米メディアによると、アルパイオ氏は「米国で最も無情な保安官」を自負し、長年、中南米系の住民を「ばか」などと呼んで差別的に取り締まってきたとされる。裁判所から不当な扱いをやめるよう命じられたが、この命令に意図的に従わず、7月に法廷侮辱罪で有罪判決を宣告されていた。 

トランプ大統領はアルパイオ氏に恩赦を与えた、とのこと。

米国市場に関する関連記事です。

「トランプリスク」と「1993年に始めていたらすごいことになっていた米国投資」の記事です。

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