【米国株】と【米国リート】の相関に関する記事です。
株価とリート価格は一般に連動しやすく、経験的には「相関は高い」という気がしますが、実際に確かめてみます。
わたしの好奇心に基づく趣味のようなので、今すぐ役に立つことではないかもしれませんが、関心のある方はお付き合いください。
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JリートとTOPIXの例
※出所:SBI証券
上記グラフはJリートとTOPIXのここ10年の比較チャートです。
TOPIXは10年でトントン、Jリートは10年で約20%下落していますが、2015年までは概ね連動性が高く、正の相関があるようにみえます。
2015年以降、逆相関に近い、謎の動きになっていますが。
では米国の場合はどうでしょうか。
米国株の例としてS&P500、米国リートの例としてiShares US Real Estate ETF (IYR)のデータで検証してみます。
※iShares US Real Estate ETF (IYR)は「ダウ・ジョーンズ米国不動産指数」に連動することを目指す米国上場ETFです。
2000年からのデータがヤフーファイナンスで簡単に入手できたので、米国リートの一例として取り上げました。
IYRはダウ・ジョーンズ米国不動産指数に近い動きをしていると思いますが、標準的な米国リートの指標ではありません
※出所:※Yahoo Financeのデータより管理者作成
上記グラフは、2000.7月末のデータを「1.0」とし、その後の株価とリート価格の推移を描いたものです。
2000年頃のITバブル時は株価が異常に高く、米国リートはさほど暴騰していなかった影響もあり、ITバブル崩壊期に当たる2000~2003年頃の相関は弱い感じがありますが、その後は概ね両者の連動性が観察できると思われます。
ここからより具体的に散布図と相関係数で、両者の相関を見てみます。
【米国株】と【米国リート】の相関
●期間とデータ
2000.7月末~2017.7月末、17年間の月末データ
●対象データ
「S&P500」と「iShares US Real Estate ETF (IYR)」
まず、散布図を見てみます。
横軸がS&P500、縦軸がIYRです。
少し乱れはありますが、概ね左下から右上方へのラインが引けそうな、正の相関がありそうな散布図です。
次に相関係数です。
上記期間17年間のデータでのS&P500とIYRの相関係数は
「0.76」
でした。
一般に0.7以上は強い正の相関とされるようなので、両者の間には強い相関があると思われます。
散布図、相関係数から、おそらく両者には強い相関があると推測されます。
また、下記サイトの資料によれば、
・米国REIT:FTSE NAREIT All Equity REITs Index
・米国株式:S&P 500 Index
を用いた、両者の相関係数は
過去3年間:0.52
過去10年間:0.77
とのこと。
米国リートで用いている指数は異なりますが、今回の検証で得られた17年間での相関係数「0.76」というのは、JPモルガンの調査からもそれほど違和感のない数値と思われます。
↓JPモルガンの下記サイト66ページを参照
リートの投資タイミングと株式の投資タイミング
米国リートと米国株の相関が高そう・・・
上記仮説が正しいとして、これをどう活かすかですが、個人的にはリート投資のタイミングに活かせると考えています。
つまり、リートと株式の相関が強いのなら、株式に投資するのによさげなタイミングはリートにとってもよさげであり、その逆も然り。
したがって、
・株式が割安っぽい時期にリートへの投資を検討する(リートの配分比率を上げる)のがよいのかもしれない
・株式が割高っぽい時期にリート売却を検討する(リートへの配分比率を下げる)のがよいかもしれない
という判断は妥当かもしれない、といえそうです。
おわりに
リートと株式の連動性については、リートと株式に同時に投資している人や両者を含めたインデックス投資をしている人なら、だいたいの皮膚感覚で分かるようなことと思われますが、気になったので数字にして記事にしてみました。
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