米国の7月末の時価総額データがようやく確認できたので、2017.7月の米国時価総額と米国バフェット指標を取り上げます。
初めに結論部分を述べ、後半は米国バフェット指標の説明にあとがきが続きます。
結論だけ知りたい方は、初めだけご覧ください。
2017年の米国バフェット指標と現状判断
※データ出所:WFE、世界経済のネタ帳のデータより管理者作成
約40日前、2017.7月末の米国の時価総額は約29.7兆ドルでした。
30兆ドル目前です。
米国バフェット指標も「1.53」になり、ITバブルや2014年末頃と同様の過去最高水準です。
※出所:グローバルノートのデータより管理者作成
単なる経験則ですが、「1.40」以上の時期に米国株式は割高であったことから、この指標のみから判断すると
米国市場は割高圏?
とわたしは推測します。
※個人の感想です。投資は自己判断、自己責任で
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以下、米国バフェット指標の説明と「あとがき」が続きます。
米国のバフェット指標を知るメリット、その強み
●長期的観点から、米国株の割安割高を判断する材料の一つになると思われます
●割安に買って、割高に売る長期投資が成功しやすくなるかもしれません
「バフェット指標」とは?
バフェット指標の一般的な説明を引用します。
バフェット指標は、投資の神様とも言われる、ウォーレン・バフェット氏が愛用しているとされる、ある国のGDPと上場株式の時価総額の総和を比べる指標をいいます。これは、ある国の株式時価総額増加率と名目GDP成長率は長期的には収斂するとの主張に基づくもので、ある国の株式相場に急落の可能性は高まっていないか、あるいは逆に売り込まれすぎていないかを見る場合に使われます。
※引用元:金融情報サイト「バフェット指標」
具体的には
◎バフェット指標=ある国の時価総額÷名目GDP
です。ここでの時価総額は市場規模をさします。
名目GDPは経済規模のことでもあるので、
◎バフェット指標=市場規模÷経済規模
です。
※時価総額の説明→【世界時価総額】で株式の割安割高を探る【ダイジェスト版】
※GDPの説明→金融情報サイト「GDP」
米国バフェット指標とは
◎バフェット指標=ある国の時価総額÷名目GDP
なので、
米国のバフェット指標=米国の時価総額の合計額÷米国の名目GDP
です。
米国のバフェット指標のことを、当ブログでは米国バフェット指標と呼びます。
また、本ブログの「米国の時価総額」はニューヨーク証券取引所とナスダックの時価総額の合計額で計算しています。
バフェット指標の使い方
◎バフェット指標=時価総額÷名目GDP◎バフェット指標=市場規模÷経済規模
なので、
◎バフェット指標が大きくなる→市場規模が経済規模に比べて大きくなる◎バフェット指標が小さくなる→市場規模が経済規模に比べて小さくなる
ことを意味します。そして、経済規模と市場規模は長期的には概ね連動しているという前提で、バフェット指標が長期的な平均値より
◎大きい→市場規模が大きすぎる→株式は割高(の可能性)◎小さい→市場規模が小さすぎる→株式は割安(の可能性)
と解釈します。これがわたしの考える基本的なバフェット指標の使い方であり、これは米国バフェット指標に関してもそのまま使えると考えています。
米国バフェット指標の推移とデータ
日本や世界の時価総額に関しては、月ごとのデータを入手できたのですが、米国に関しては、2003年以前の月ごとのデータが入手できませんでした。
よって、かなり雑なデータになりますが、1995~2016年の各年末の時価総額のデータと名目GDPで米国バフェット指標を算出し、グラフ化しました。 ※出所:グローバルノートのデータより管理者作成
2008年、2002年、2011年の年末に大きな底があり、1999年、2006~2007年、2014年の年末に大きな山ができているのが観察できます。
2008年末:リーマンショック後2002年末:ITバブル崩壊後2011年末:欧州債務危機1999年末:ITバブル2006、7年末:サブプライムバブル2014年末:量的緩和バブル?
また、この期間の
★平均値:1.23★中央値:1.31
です。
米国バフェット指標の使い方
※出所:グローバルノートのデータより管理者作成
①長期平均とのかい離を見る
ざっくりした大まかな使い方として、長期平均1.23より
★大きい⇒株式は割高傾向?★小さい⇒株式は割安傾向?
という見立ては可能かもしれません
②1.05以下は割安圏?1.40以上は割高圏?
あくまで近年の事例に基づいた経験則ですが、米国バフェット指標が
★1.05以下は株式は割安圏?★1.40以上は株式は割高圏?
という判断は一つの目安になるかもしれません。
S&P500と米国バフェット指標
※出所:◎グローバルノート◎Yahoo Financeのデータより管理者作成
上記グラフは、1995年末~2016年末の米国バフェット指標とS&P500の推移です。米国バフェット指標で割高圏のサインが出ている時期のS&Pは赤四角、割安圏のサインは青四角で囲っています。
過去を都合よく解釈した単なる経験則に過ぎませんが、個人的には参考にしている指標です。
あとがき
2017.6月末のデータですが、米国の時価総額が約29.4兆ドル、世界全体の時差総額が約77.8兆ドルなので、米国の時価総額は世界の約37.8%を占めます。
これは浮動株調整をしていない数値であり、浮動株調整をすると、例えば下記ETFでは2017.9.7時点で米国の占有率は約50.2%になります。
また、2016年のデータですが、ドル建て名目GDPに関しては米国は全世界の24.7%を占めます。
<全世界に占める米国の比率>
時価総額:37.8%(50.2%:浮動株調整後)
名目GDP:24.7%
この名目GDPに比べて大きい時価総額はおそらく
・米国多国籍企業が世界中で利益を上げていること
・米国企業に資金が流入しやすいこと(ETFや投信人気。全世界に投資したつもりが投資資金の半分は米国に流入してしまう)
・投資国としての米国への信頼、安心感(国の安全保障の意味合いでも、エネルギー自給率が高く、おそらく世界最強の軍事力を持つ米国の安心感は、投資においても優位に働きそうな雰囲気)
・米国株の過去のパフォーマンスが優れていること
・米国株人気
などが要因かもしれません。
今後どうなるかわかりませんが、現状をみると、とりあえず通貨におけるドルと同様、株式投資も米国株をベースに考えるのが自然な時代の流れなのかもしれません。
※先週の「米国市場の概況」は明日記事にする予定です
関連記事です。世界全体のバフェット指標、時価総額に関する記事です。