ブルームバーグで興味深い記事を見つけたので、ネタにしてみます。
世界の富裕層のポートフォリオ
上記記事は2017年版「ワールド・ウェルス・リポート」をもとに、
①富裕層が大きく拡大した国
②裕福な投資家のポートフォリオ
について記述しています。
ここでは②裕福な投資家~100万ドル(約1億1300万円)以上の投資可能資産を持つ人
~のポートフォリオを見てみます。
※出所:富裕層資産は25年までに100兆ドル突破か、資産家人口も増加-調査 - Bloomberg
上記グラフは、2016年第4四半期と2017年第2四半期の富裕層のポートフォリオの変化を示したものです。
2016年第4四半期は
・株式:24.8%
・現金および現金同等物:23.5%
・不動産:17.9%
・債券:18.0%
・代替資産:15.7%
2017年第2四半期は
・株式:31.1%(+6.3%)
・現金および現金同等物:27.3%(+3.8%)
・不動産:14.0%(-3.9%)
・債券:18.0%(かわらず)
・代替資産:9.7%(-6%)
※代替資産:ヘッジファンドや商品、プライベートエクイティー(PE、未公開株)など
※()内は比率の変化を示しています
いかがでしょうか。あなたのポートフォリオとそっくりだったりするでしょうか。
ざっくりまとめれば
・変動の大きい「株式と不動産」でざっと45%
・ディフェンシブな「現金および現金同等物と債券」でざっと45%
・その他10%
ある意味「普通」というかバランス重視という感じがします。
上記記事によれば、株式については、投資家の90%以上が
「投資実績にとって重要ないし最も重要な要因」
としているそうです。
やはり運用の核となるのは株式であると。
また、現金および現金同等物に関しては、2017年第2四半期は27.3%(+3.8%)と2016年第4四半期より増加して全体の3割足らずと、かなり大きいウェイトです。
昨年来、トランプ相場で軒並みリスクオン相場ですが、富裕層は用心深くキャッシュの確保を怠っていない、という分析も可能かもしれません。
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現金比率の重要性
株式、リート、その他のリスク資産への投資において
どんな銘柄に投資するか
は重要です。
ETFにするのか、個別銘柄にするのか、実物不動産の一点買いをするのか、重要な選択です。
ただ、いわずもがなの話ですが、より重要なのは、そもそも
・資産A:安全資産(現金および現金同等物、自国国債)
・資産B:リスク資産(株式、不動産・リートその他)
をどのような配分でポートフォリオを組むのか、です。
例えば、
A:B=50:50
A:B=30:70
などで固定するのか、あるいは市場の状況に合わせてこの比率を一定割合、ぶれさせるのか、そういった運用前の取り決めがまず大事だと思われます。
そして、大きな下落相場においては、下落相場に巻き込まれる前の<資産A:安全資産>の比率の大きさで、その後のストレス耐性が大きく変化してくると思われます。
資産Aの比率が大きいほど、下落相場後のビックチャンスをものにしやすいのは自明です。
※ただ、大きな下落相場が来ないかもしれないので、そこは大きな機会損失リスクを抱えることになります
とりあえず、一般的にはキャッシュポジションをある程度確保しておくことが、ポートフォリオ全体の安定性を保ち、危機に強い資産配分であると推測されます。
そして、最近の世界の富裕層ですら平均的には3割近くの現金比率を確保しています。
富裕層にくらべ下落相場により脆弱であろうわたしのような個人投資家は、少し多めのキャッシュポジション(特に根拠はないですが、例えば30%以上)を意識的に確保しておくことが、長期投資におけるリタイアリスクを下げ、いつかはやってくるであろう株価低迷時に割安優良株を物色するための貴重な資金になるのではないかと、個人的には考えています。
※ただのわたしの好みのスタイルです
そして、
・どの程度の現金比率を確保しているか?
・その配分をどの程度ぶれさせるのか?
(全く動かさない、少し動かす、がっつり動かす、など)
この2点に、いい悪いは抜きにして、投資家のタイプ、性格、投資スタイルがとても強く表れ、面白いポイントだなあと感じます。
※「日本市場の概況」は10月2日(月)に記事にする予定です