ユキマツの「長期投資のタイミング」

「景気(企業利益動向)」「中銀の金融政策(金利動向)」「投資家のリスク許容度」などから長期投資のタイミングを探る投資ブログ

【東証一部の売買代金】と株式の割安割高

f:id:yukimatu-tousi:20171006222013p:plain以前にも東証一部売買代金と株価の関係について記事にしましたが、その続きの記事になります。

www.yukimatu-value.com


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日経平均と<東証一部の売買代金>の相関

・売買代金の大きい時期は株式市場は人気があって賑わっており、結果的に株価が割高になりやすい?

・売買代金の小さい時期は株式市場は不人気で、活気がなく、結果的に株価が割安になりやすい?

という仮説を前提に、日経平均株価と東証一部の売買代金の間に相関があるのか、調べてみました。

・期間 2002.1月~2017.9月

・対象 「日経平均株価の月末値」と「東証一部売買代金(月ごとの一日平均値)」

・データ数 189個

<散布図>

f:id:yukimatu-tousi:20171010124905p:plain

※出所:その他統計資料 | 日本取引所グループYahoo!ファイナンスのデータより管理者作成

散布図からは「日経平均が高い⇔売買代金が大きい」傾向がうかがえます。

<相関係数>

0.84

強い正の相関でした。

日経平均と売買代金のグラフ

f:id:yukimatu-tousi:20171010130021p:plain

※出所:その他統計資料 | 日本取引所グループYahoo!ファイナンスのデータより管理者作成

※期間 2002.1月~2017.9月

上記グラフは

「日経平均株価の月末値÷10000」と「東証一部売買代金(月ごとの一日平均値)」の推移を示したものです。

・2005年や2012年末~2013年の「売買代金が急増する時期」に株高モードが始まっていること

・株価低迷期には売買代金が1.75兆円にも満たない時期が続いていたこと

などがうかがえます。

 

以上のグラフと相関関係から、この期間に関しては概ね

・売買代金の大きい時期は株式市場は人気があって賑わっており、結果的に株価が割高になりやすい?

・売買代金の小さい時期は株式市場は不人気で、活気がなく、結果的に株価が割安になりやすい?

という仮説は使えるかもしれない、例えば、

・売買代金の少ない時期に株式の配分比率を多くする

・売買代金の多い時期に株式の配分比率を少なくする

という投資判断は、ある程度の説得力を持つかもしれません。

2017.9月の売買代金

2017.9月の売買代金(一日平均)は2.82兆円でした。

前月は2.44兆円だったので、大きく上昇しています。

9月に3.6%程度日経平均が上がったこととの影響は大きいと思います。

 

2002.1月~2017.9月の平均値は1.96兆円、中央値は1.95なので、長期的な水準からしても2.82兆円は大きい値です。

市場はかなりにぎわっている方だと思われます。

どちらかといえば株価は割高が疑われる水準?

 

2002年以前の売買代金

ここまで、2002.1月以降のデータを用いてきました。

理由は、

上記の仮説に説得力を持たせるのに都合がいいから・・・

いわゆる自説を強化するための作為的なデータ処理であって、このままで記事を終わらせるとフェアでない我田引水の記事になってしまうので、それ以前のデータについてもふれておきます。 

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※出所:その他統計資料 | 日本取引所グループYahoo!ファイナンスのデータより管理者作成

上記は前回の売買代金に関する記事にのせたグラフですが、2002年以前は、それ以降とは景色が異なります。

売買代金が上がっているのに、株価は落ちている、正の相関ではなく、負の相関が強そうです。

実際データをとる期間を変更して、1995.1月~2017.9月のデータでみると、両者の相関係数は「0.15」です。

相関があるとは言えないレベル。

<1995.1月~2017.9月>

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<2002.1月~2017.9月>

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上の散布図が1995.1月~2017.9月、下が2002.1月~2017.9月のものです。

比較すると一目瞭然ですが、1995~2001年までのデータが青枠の中に集中しています。

これらが相関係数を押し下げています。

なぜ急に両者の関係性が変化したのか?

 

両者の関係が変化した理由、らしきもの

わたしなりの仮説ですが、理由として主に二つ考えられるかもしれません。

 

①オンライン取引の急増、ネット取引環境の整備が進んだ

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※引用元:大手ネット証券の口座数の推移|金融経済データ集

上記表は大手ネット証券の口座数の推移です。

2002~2015年で口座数が10倍以上に増えている会社多いです。

個人で行うデートレードなども含め、株式取引の手数料水準が暴落し、オンライン取引が激増したことが、2002年以降の売買代金の急増の理由の一つかもしれません。

②バブル後遺症が癒える

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※出所:日経平均インデックス(N225 - Investing.com

上記は1980年代からの日経平均の推移です。

1990年から株価は暴落し、長期にわたって低迷。

超長期で見ると、ようやっと底をつけた感がでるのは、10年以上たった2002~2003年頃、という解釈も可能です。

※米国が株高で高揚していた1999年でも、日本では経営危機にあった15の銀行に7兆5000億円の公的資金注入を行っています。信用不安が全くおさまっていなかったといえます

日本のバブル崩壊から10年以上たち、米国のITバブルの後遺症も抜けてきた2002~2003年頃、世界的に株価が上昇を始め、ようやく日本の株式市場にも活気が出る環境が整ったこと、これが素直に「株高⇒売買代金の増加」現象がみられだした一因かもしれません。

 

つまり、それ以前はバブルの後遺症で日本市場は

「株高⇒売買代金増加」モードになる感じ

じゃなかったのかもしれません。

おわりに

以上、脱線して記事の趣旨が不明になってしまいましたが、2002年以降に関しては、

売買代金の動きを「株式の割安割高の判断材料の一部」にしても、悪くはなさそう

と個人的には考えます。

一つの経験的な目安に過ぎませんが。

 

とりあえず今の市場は活況で混んでいそうな雰囲気。

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