先日新聞の金融欄を読んでいたら、今年(2017.1~10月)の投資信託の純流入額ランキングでひふみ投信が上位にランクされていました。
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よく耳にするひふみ投信。
以前から気にはなっていてたので、ひふみ投信とその設定タイミングについて記事にしてみます。
以下、ひふみ投信に関するデータは下記サイトより入手したデータです。
ひふみ投信とは
主に東証一部の株式に投資している日本のアクティブ型投資信託です。
・設定日:2008年10月1日
・純資産総額:2017年10月末で955億円
・買付手数料、解約手数料:無料
・信託報酬:1.0584%(年率。税込み)
・2017年10月末のポートフォリオ
国内株式:海外株式:現金
=90:3.3:6.7
・市場別比率
東証一部:その他日本市場:海外株式:現金
=82:8:3.3:6.7
・組入れ銘柄数:190銘柄
・業種別比率 上位6業種
サービス業:14.9%
情報通信業:12.8%
電気機器:12.7%
小売業:8.1%
化学:6.5%
卸売業:6.3%
※この6業種で6割を超えます
ひふみ投信の運用成績
2008年10月1日以来の運用成績は優れたものがあります。
基準価格は
2008年10月1日:10000
2017年10月末:47753
であり、約4.8倍に増えています。
※信託報酬控除済み。配当再投資のデータ
※期間:2008年10月1日~2017年10月末
上記グラフはひふみ投信とTOPIXに10000円投資していた場合の資産推移です。
TOPIXも配当再投資した場合の比較です。
約9年でひふみは5万円近くになり、TOPIXは2万円弱。
この期間におけるひふみの成績の良さが際立ちます。
9年で約4.8倍、年率平均19%程度の運用成績です。
ちなみに2008年9月末~2017年10月末のS&P500は
968⇒2578
と約2.66倍になっており、為替差益を考慮すると約2.85倍。
さらに配当の再投資を考慮するとS&P500に連動する投信やETFへの投資は4倍以上の増加幅になった可能性もありますが、ひふみの約4.8倍には届かないかもしれません。
ひふみ投信の優れた設定タイミング
ただ、もし投信の設定時期が一年早ければどうなっていたか。
ひふみ投信の設定日が2008.10.1ではなく2007.10.1だったら・・・
2008.10.1のTOPIXは「1099」。
2007.10.1のTOPIXは「1614」。
2017.10月末は「1766」。
TOPIXの数値だけ比較すると(配当を考慮せず)
2008.10.1⇒2017.10月末は60.7%UP。
2007.10.1⇒2017.10月末はわずか9.4%UP。
投資期間は1年長いのに、2007.10.1に運用を始めると、TOPIXの運用成績は劇的に低下します。
単なるたらればの結果論ですが、2007.10.1に運用を始めていたら、TOPIXの影響を受けるひふみ投信の運用成績も今よりは低下し、約4.8倍の成績は難しかった可能性もあります。
「2008.10.1」と「2007.10.1」の違い
では「2008.10.1」と「2007.10.1」の投資環境は何が違ったのか、それぞれ9月末のデータで代替して、いくつかの指標で見てみます。
※データ出所:日本取引所グループ 世界経済のネタ帳 トレーダーズ・ウェブ その他統計資料 | 日本取引所グループ Yahoo!ファイナンス 主要時系列統計データ表 GLOBAL NOTE、World Federation of Exchanges
2008年10月はバフェット指標も低く、信用買い残も少なく、東証一部PBRも低く、時価総額も少なく、貸し出し態度判断DIもマイナス圏にあります。
要するに、
2008.10.1頃の日本株式は相対的に割安傾向が強く、2007.10.1頃は割高傾向が強かった
と思われます。
たった一年の違い、「2008.10.1」と「2007.10.1」で大きく投資環境は変化し、その後の運用成績も激変する可能性があることが分かります。
そして、ひとつの結果論に過ぎませんが、ひふみ投信の投資タイミング、設定タイミングはとても優れていたとわたしは思います。
※それぞれの指標の意味合いは以下の記事を参照ください
・週末の乱高下 ~日本市場の概況 2017.11.11~ - ユキマツの「長期投資のタイミング」
・世界の時価総額、81兆ドル突破、史上最高値 - ユキマツの「長期投資のタイミング」
おわりに
【株式型の投信・ETFの設定来のパフォーマンス】は一つの目安として参考になる情報ですが、設定時期でずいぶん変わると思います。
近年では総じて株式は
・2002年9月~2003年4月頃
・2008年10月~2009年3月頃
・2012年5月~8月頃
⇒割安
・1999年11月~2000年8月頃
・2007年5月~12月頃
・2015年4~6月頃
⇒割高
傾向が強かったと思われるので、設定来のデータだけをみると、
・割安な時期に設定されたものはパフォーマンスはよくなる(過大評価しやすい)
・割高な時期に設定されたものはパフォーマンスは悪くなる(過小評価しやすい)
傾向があります。
そして、10年20年の違いなら別ですが、1~5年くらいの投資期間であれば、
投資期間は長ければ長い方が投資成績もよくなるハズ
という判断は時に疑わしい場合もあると思います。
たった1年の違い、例えば「2008.10.1」「2007.10.1」の投資環境は明らかに異なっており、1年待つことで投資パフォーマンスの大幅な向上につながった・・・すべて結果論ですが。
最後に、ひふみ投信は設定タイミングがよかったことを差し引いても、今のところ非常に優れた成績を残しています。
信託報酬は約1.06%と安くないですが、買付手数料、解約手数料は無料です。
個人的にはその防御力を知りたいです。
いつかはやってくるであろう株式の大幅な下落期に、TOPIXの下落幅を上回る成績(例えばTOPIX:-40%の時期に、ひふみ:-25%、みたいな)を残せるのか、そこが気になります。
もしTOPIXより防御力も高いと判断できれば、攻撃力は十分あるようなので、よりその魅力を増すような気がします。