さて、もしもの円暴落があるとわたしは現在の投資ポジション(日本円100%)では非常に困るので、
「もしも」の兆し
がないか適時確認しています。
その確認内容を記事にするシリーズです。
<2017.11.13>以来の更新になります。
円暴落の兆しを知るための指標
わたしは以下の5つの指標を適時確認しています。
①ドル円名目レート
②円の実質実効為替レート
③日本の消費者物価指数
④日本の長期金利(10年国債の金利)
⑤日銀の資産動向
※あくまで個人的な対策に過ぎないので、本当に役立つかはわかりません
それぞれが何を意味するのかの説明は以下の記事を参照ください。
ここから5つの指標を一つずつ確認していきます。
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「ドル円名目レート」
<2012年12月からのチャート>
アベノミクス後の為替レートです。
「1ドル=80~125円」程度がレンジ。
<2017.9月からのチャート>
※出所:セントラル短資FX
ここ3ヵ月足らずの期間では、1ドル=107~114円程度がレンジ。
11月は少し円高傾向。
円の暴落感はとくに感じません。
円の実質実効為替レート
※出所:<BIS>Effective exchange rate indices( Monthly data: Narrow indices:last updated 16 November 2017 ※グラフ期間:1973.1月~2017.10月
上記は長期的な視点から「通貨の実力」を示唆する、という人もいる円の実質実効為替レートの推移グラフです。
1973.1月~2017.10月の
・長期平均:92.9
・中央値:94.8
・ここ10年の最安値:70.9(2015.6月)
・ここ10年の最高値:108.2(2012.1月)
です。
2017.10月の数値は「76.39」であり、前月(76.89)より円安傾向にぶれています。
水準としては長期平均「92.9」より
「17%以上の円安水準」
にあり、円安にぶれているように推測されます(この解釈の仕方はわたしの個人的なものです。全く一般的ではないので、ご注意ください)。
ただ、急激な動きではありません。
日本の長期金利(10年国債の金利)
※出所:日本 10年債券利回りチャート
近年の日本の長期国債利回り推移です。
0.1%に満たない低位水準。
急激な金利上昇はなさそうです。
日本の消費者物価指数
※出所:統計局ホームページ/消費者物価指数(CPI) 時系列データのデータより管理者作成
概ねアベノミクス後、2013.1月~2017.9月の消費者物価指数<生鮮食品を除く総合。前年同月比>です。
消費税増税による上昇分は2015.4月には剥落し、その後は「-0.5~0.5%」程度で推移していたのですが、2017.8月は「0.7%」とレンジを上抜け。
2017年9月は前月と同様、前年比「+0.7%」でした。
10月のデータはまだ確認できません。
とりあえず1%に満たない低い水準なので、現状では気にならないレベル。
日銀保有資産
※出所:Bloomberg Markets ※<単位:10億円>
過去5年の日銀保有資産の推移です。
11月20日が約518.2兆円です。
2017年の日本の名目GDPは推計で544.2兆円であり、現在の日銀の保有資産額は名目GDPの約95%です。
ちなみに米国の名目GDPは19.36兆ドル(IMF推計)、FRBの資産は約4.45兆ドルなので、名目GDPの約23%になります。
スイスを除いて主な先進国中央銀行の資産は名目GDPの概ね30%以下のようであり、経済規模に比べてとても大きな資産を日銀は保有している、といえそうです。
また、約1年前2016.11.30の日銀資産は約471.1兆円なので、概ねこの1年で47.1兆円の増加となっています。
一時期、年間80兆円の増加ペースだったので、それに比べるとペースダウンしており、現在、実質的に日銀のテーパリングが進行中と言えます。
日銀資産の増加額は今年は50兆円前後になるでしょうか。
※テーパリング: 中央銀行が、量的金融緩和政策による金融資産の購入額を徐々に減らしていくこと。 テーパリングとは - コトバンク 参照
米国債の利回りとギリシア国債の利回りの確認(ともに10年物)
もしも日本円が暴落するとき、市場はいわゆるリスクオフ一色の相場になると思われます。
そのとき投資家の資金が逃げ込む国債市場の一つは、流動性や信用力の高い米国債ではないかと思います(ドイツ国債などもおそらく同様)。
逆に投資家が資金を引き揚げる国債の一つは、多額の負債を抱え事あるごとに国債利回りが急騰しているギリシアの国債ではないかとわたしは推測しています(他にもいろいろあると思いますが)。
したがって、もし円に何かあれば、米国債の利回りは下がり(米国債は買われて価格が上がり利回りが下がる)、ギリシア国債の利回りは上がる(ギリシア国債は売られて価格が下がり利回りが上がる)と推測されるので、この意味で米国債やギリシア国債の利回を観察しておくと、役に立つのではないかと思われます。
米国 10年
<2007年~>
<ここ3ヵ月>
「パニックによる利回り急落」には程遠いです。
利回りの史上最低値は1年ちょっと前2016年7月の「1.32%」。
ギリシア 10年
<2007年~>
<ここ3ヵ月>
ギリシア長期国債利回りは5%台中盤。
10月末~11月前半は5%くらいでしたが、少し上がってきています。
それでも落ち着いた水準です。
まとめ
もしもの円暴落の気配は感じません。
中国の10年国債利回り。
<2007年~>
<ここ1年>
10月に党大会も終わり、利回りは上昇傾向。
中国当局は金融引き締めのスタンスを見せています。
1600兆円を超える運用商品において存在した「暗黙の保証」をやめますよ、という当局のアナウンス。
それを信じない投資家。
中国の債務の膨張リスクや理財商品の危うさは長らくささやかれて続けていますが、今のところ長期的に世界経済を揺るがす事態にはなっていません。
何だかんだいって大丈夫なのか、信用崩壊爆弾の火薬量が増え続けているだけなのか、少し気になるテーマです。
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