2017年11月末のFRB、ECB、日銀、3つの中央銀行の資産動向を確認する記事です。
※本記事では便宜的に1ドル=110円、1ユーロ=130円で円換算しています
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中央銀行の動向を確認するメリット
中央銀行の動向は
投資タイミングの時期を判断する一つの手掛かりになり得る
とわたしは思います。
一般論として、金利が下がると
◎経済活動が活発になり景気に好影響
⇒企業利益の増加⇒株高
◎企業の借入金の金利負担は減少
⇒企業利益の増加⇒株高
◎債券利回り低下
⇒投資先としての債券の魅力DOWN
⇒債券以外の投資先(株、不動産など)の相対的な魅力UP
⇒株高
などの要因で株高になりやすいと思われます。
つまり、
・中央銀行が緩和政策をとり、市中の国債などを購入し(国債価格は上昇、金利は下がる傾向)、
・対価として債券保有者にマネーを供給し、中央銀行の資産規模が増大することは
・基本的に株価に好影響を与える、
その逆も然りだと考えられます。
※中央銀行の資産規模が
◎増加⇒株価に好影響
◎減少⇒株価に悪影響
以上のことから、ECB、FRB、日銀などの中央銀行の資産規模やその動向を確認しておくことは、長期的視点から、投資環境を考える上で役立つかもしれません。
◎中央銀行の資産規模が大幅に増える見通し
≒緩和マネーが大幅に増える
⇒金利低下傾向?
⇒将来の株高?
⇒株式などのリスク資産の配分を増やすのに適す時期?
◎中央銀行の資産規模が大幅に減る見通し
≒緩和マネーが大幅に減る
⇒金利上昇傾向?
⇒将来の株安?
⇒株式などのリスク資産の配分を減らすのに適す時期?
※一つの判断材料です
FRBの動向
※出所:All Federal Reserve Banks: Total Assets | FRED | St. Louis Fed
上記グラフはここ5年のFRBの資産推移です。
2014年の後半から、ほぼ変化なし、2017年10月より資産縮小スタート。
2017年11月末:4.44兆ドル(約488兆円)でした。
10月末から1ヶ月で約3兆円減少しています。
※出所:All Federal Reserve Banks: Total Assets | FRED | St. Louis Fedのデータより管理者作成
11月にわずかながら減少したので、おそらく2017年は年間で
5~10兆円程度の減少
になりそうです。
ECBの動向
※出所:Central Bank Assets for Euro Area (11-19 Countries) | FRED | St. Louis Fed
上記グラフはここ5年のECBの資産推移です。2015年頃から激増しています。
ECBの資産は2017年11月末:4.44兆ユーロ(約577兆円)でした。
10月末から1ヶ月で約9兆円増加しています。
※出所:Central Bank Assets for Euro Area (11-19 Countries) | FRED | St. Louis Fedのデータより管理者作成
11月に約9兆円増え、年間の増加額は100兆円を超えました。
12月も増えると思われ、ECBは2017年、2016年に次ぐ大規模な量的緩和を完遂しそうです。
日銀の動向
※出所:Bank of Japan: Total Assets for Japan | FRED | St. Louis Fed
上記グラフはここ5年の日銀の資産推移です。2013年頃から増え続けています。
日銀の資産は2017年11月末:約522兆円でした。
10月末から1ヶ月で約4兆円増加しています。
※出所:Bank of Japan: Total Assets for Japan | FRED | St. Louis Fedのデータより管理者作成
今年は11月までで約45兆円増加、毎月平均約4兆円ペース。
おそらく2017年は年間50兆円程度の増加額になると思われます。
2013年以降では最小の緩和規模、実質的なテーパリング。
3つの中央銀行、トータルでの変動
※出所:Bank of Japan、Central Bank Assets for Euro Area 、Total Assets | FRED | のデータより管理者作成
上記グラフは2006年末以降の3つの中央銀行の資産推移です。
2017年は11月末までのデータです。
2007年末は約400兆円だったのが、約10年後、2017年10月末でざっと1600兆円に。
1200兆円ほど増えています。現在のカネ余りの原因の一つと推測。
3つの中銀のトータル資産は2017年11月末:約1587兆円でした。
10月末から1ヶ月で約10兆円増加しています。
・FRB:-3兆円・ECB:+9兆円・日銀:+4兆円
2017年年間では150~160兆円の増加ペースになりそうです。
※出所:Bank of Japan、Central Bank Assets for Euro Area 、Total Assets | FRED | のデータより管理者作成
来年は2014年~2017年規模の金融緩和は期待できないとわたしは推測しています。
推測の根拠↓
株式市場と【FRB、ECB、日銀、3つの中央銀行の資産動向】 - ユキマツの「長期投資のタイミング」
おわりに
FRBは11月、約3兆円程度(より正確には225.3億ドル、2.5兆円くらい)、資産を縮小しました。
仮に毎月2.5兆円の縮小なら年間30兆円程の縮小ペースになります。
2014年以降、約3年の沈黙を破って資産縮小に手をつけた模様。
うまくいくのか、頓挫するのか。
ちまたであまりニュースになりませんが、どうなりますか。
中央銀行の関連記事です。
・ビットコインとカネ余り
・各中央銀行の動向
株式市場と「FRBの資産動向」 - ユキマツの「長期投資のタイミング」