マイナーな指数ですが、米国には
市場参加者の【楽観・悲観】度合いの目安
となる指標があります。
ウェルズ・ファーゴ/ギャラップ投資家・退職者楽観指数
(Wells Fargo/Gallup Investor and Retirement Optimism Index)
です。
10月に一度記事にしています。
今回はこの指標の2回目の記事です。
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ウェルズ・ファーゴ/ギャラップ投資家・退職者楽観指数とは
①米国で1万ドル以上の投資資金を有する「投資家」と「退職者」を対象にした調査をもとに作成されている
②1996年以降の長期データ
③数値が大きくなる⇒楽観傾向
④数値が小さくなる⇒悲観傾向
⑤最大値は「178」(ITバブルの頃)
⑥最小値は「-64」(リーマンショック後)
⑦データは四半期ごと
この指標のわたしなりの使い方
<S&P500>
※出所:^GSPC Interactive Stock Chart | S&P 500 Stock - Yahoo Finance
※出所:U.S. Investor Optimism Rises Again, Hits 17-Year Highのグラフから管理者作成 ※期間:1996年~2017年第3四半期
あくまでわたし個人の考えですが、
この指数がざっくりと
①100を超えたら米国投資家が過剰な楽観に偏っている?
⇒株価は割高?
⇒「現金比率を上げる」「リスク資産の比率を下げる」ことを検討する一つの目安?
②20を下回ったら米国投資家が過剰な悲観に偏っている?
⇒株価が割安?
⇒「現金比率を下げる」「リスク資産の比率を上げる」ことを検討する一つの目安?
です。
根拠は
①に対しては、ITバブル(2000年頃)、サブプライムバブル(2007年頃)の頃、100を超えていた
②に対しては、それぞれのバブル崩壊後、株式のバーゲンセール時期に20を下回っていた
のみです。
近年の2回のバブル期とその後の暴落期から経験則に過ぎません。
最新データの確認
次に、最新のデータを見てみます。
※出所:U.S. Investor Optimism Still Riding High
2017年の第4四半期のデータが確認できました。
その数値は「140」です。
前回の2017年第3四半期は「138」だったので、とても高い水準で維持されていることがわかります。
この指標からは
●米国投資家はITバブル期並みの過剰な楽観状態
●米国投資家はサブプライムバブル期を上回る過剰な楽観状態
といえそうです。
この指標だけで考えると、「140」は目安の「100」を大きく超えているので
●米国投資家が過剰な楽観に偏っている?
⇒株価は割高?
⇒「現金比率を上げる」「リスク資産の比率を下げる」ことを検討する一つの目安?
とわたしは推測します。
この指標の難点
ただ、この指標では高値の判断、バブルの判断はとても難しいと思います。
<S&P500>
※出所:^GSPC Interactive Stock Chart | S&P 500 Stock - Yahoo Finance
※出所:U.S. Investor Optimism Rises Again, Hits 17-Year Highのグラフから管理者作成
③④のような悲観の時期は比較的わかりやすく感じますが、①や②のような
楽観時期は長期間続く傾向
もあり判断は難しそうです。
楽観時期の初期に、さっさとリスク資産の比率を減らすと、あまりにも早すぎる退場になりやすそう。
どちらかというと
悲観時期、株式の割安時期を探る
のにより有力な、一つの目安として参考にしてもよさそうです。
この傾向はPBR、信用評価損益率、恐怖指数、クレジットスプレッドなどと似ているように思います。
おわりに
先日下記の記事を書きました。
投資家の悲観的予測は当たるのか? - ユキマツの「長期投資のタイミング」
この記事の中で、平均2000億円以上の資産を運用する、いわば運用のプロたちの約半数が
来年の株式市場に悲観的
というボストン・コンサルティング・グループの調査結果に言及しています。
「ウェルズ・ファーゴ/ギャラップ投資家・退職者楽観指数」の調査対象者は、無作為に選ばれた
米国で1万ドル(約113万円)以上の投資資金を有する「投資家」と「退職者」
のようです。
ボストンよりウェルズ・ファーゴの調査対象の方が圧倒的に資産運用額は少ない、と推測されます。
ボストンはバリバリのプロが対象、ウェルズ・ファーゴの調査対象の多くはプロではないと思われます。
いわばプロとノンプロの食い違う予測、来年はどちらの見立てが当たるでしょうか?
※あくまで上記二つの調査だけを根拠にした戯言です。本当に両者の意見が食い違っているかは不明です
※必ずしもプロの予測が当たらないところが、投資の面白くて同時に怖い一面だと思います
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