2017年12月末のFRB、ECB、日銀、3つの中央銀行の資産動向を確認する記事です。
※本記事では便宜的に1ドル=110円、1ユーロ=130円で円換算しています
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中央銀行の動向を確認するメリット
中央銀行の動向は
投資タイミングの時期を判断する一つの手掛かりになり得る
とわたしは思います。
一般論として、金利が下がると
◎経済活動が活発になり景気に好影響
⇒企業利益の増加⇒株高
◎企業の借入金の金利負担は減少
⇒企業利益の増加⇒株高
◎債券利回り低下
⇒投資先としての債券の魅力DOWN
⇒債券以外の投資先(株、不動産など)の相対的な魅力UP
⇒株高
などの要因で株高になりやすいと思われます。
つまり、
・中央銀行が緩和政策をとり、市中の国債などを購入し(国債価格は上昇、金利は下がる傾向)、
・対価として債券保有者にマネーを供給し、中央銀行の資産規模が増大することは
・基本的に株価に好影響を与える、
その逆も然りだと考えられます。
※中央銀行の資産規模が
◎増加⇒株価に好影響
◎減少⇒株価に悪影響
以上のことから、ECB、FRB、日銀などの中央銀行の資産規模やその動向を確認しておくことは、長期的視点から、投資環境を考える上で役立つかもしれません。
◎中央銀行の資産規模が大幅に増える見通し
≒緩和マネーが大幅に増える
⇒金利低下傾向?
⇒将来の株高?
⇒株式などのリスク資産の配分を増やすのに適す時期?
◎中央銀行の資産規模が大幅に減る見通し
≒緩和マネーが大幅に減る
⇒金利上昇傾向?
⇒将来の株安?
⇒株式などのリスク資産の配分を減らすのに適す時期?
※数ある要因の中の一つの判断材料、目安です
FRBの動向
※出所:All Federal Reserve Banks: Total Assets | FRED | St. Louis Fed
上記グラフはここ5年のFRBの資産推移です。
2014年の後半から、ほぼ変化なし、2017年10月より資産縮小スタート。
2017年12月末:4.45兆ドル(約490兆円)でした。
予想外でしたが、11月末から1ヶ月で約1兆円増加しています。
※出所:All Federal Reserve Banks: Total Assets | FRED | St. Louis Fedのデータより管理者作成
先月の時点では、2017年は
5~10兆円程度の減少
を予測していたのですが、外れました。
2017年は結局4.45兆ドルで変化なしの年になりました。
今後少しずつ縮小ペースをはやめるようです。
ECBの動向
※出所:Central Bank Assets for Euro Area (11-19 Countries) | FRED | St. Louis Fed
上記グラフはここ5年のECBの資産推移です。2015年頃から激増しています。
ECBの資産は2017年12月末:4.47兆ユーロ(約581兆円)でした。
11月末から1ヶ月で約4兆円増加しています。
※出所:Central Bank Assets for Euro Area (11-19 Countries) | FRED | St. Louis Fedのデータより管理者作成
ECB資産の2017年の増加額は「105兆円」程度になりました。
2016年の「116兆円」に次ぐ、大きな増加額でした。
2018年1月より、ECBの債券買い入れの規模を現行の
●月額600億ユーロ⇒300億ユーロ(約4兆円)
に半減するとのアナウンスがあり、2018年のECBの資産増加額は大幅に減少しそうです。
日銀の動向
※出所:Bank of Japan: Total Assets for Japan | FRED | St. Louis Fed
上記グラフはここ5年の日銀の資産推移です。2013年頃から増え続けています。
日銀の資産は2017年12月末:約521兆円でした。
11月末から1ヶ月で約1兆円減少しています。
FRBが減らなかったのも意外でしたが、日銀が増えなかったのも意外でした。
※出所:Bank of Japan: Total Assets for Japan | FRED | St. Louis Fedのデータより管理者作成
2017年は約45兆円増加。
2013年以降
66 76 83 93
ときて、
45
と年間の日銀資産増加額は2017年、一気に減りました。
年初より日銀の動向がニュースにもなっていますが、実質的にこのデータ的には、2017年ですでに
”アベノミクス期”っぽくない
日銀の動きにはなっています。
2018年はどうなるでしょうか。
※2016年末のデータを「477」⇒「476」修正しています。四捨五入の関係で間違えていました
3つの中央銀行、トータルでの変動
※出所:Bank of Japan、Central Bank Assets for Euro Area 、Total Assets | FRED | のデータより管理者作成
※期間:2006年末~2017年末
上記グラフは2006年末以降の3つの中央銀行トータルの資産推移です。
2007年末は約400兆円だったのが、10年後、2017年末でざっと1600兆円に。
1200兆円ほど増えています。現在のカネ余りの原因の一つと推測。
3つの中銀のトータル資産は2017年12月末:約1592兆円でした。
11月末から1ヶ月で約5兆円増加しています。
・FRB:+1兆円
・ECB:+4兆円
・日銀:-1兆円
※為替レートや四捨五入で誤差あり
※出所:Bank of Japan、Central Bank Assets for Euro Area 、Total Assets | FRED | のデータより管理者作成
2017年年間では3行トータルで150兆円ほどの増加ペースでした。
今年は2014年~2017年規模の量的緩和は期待できなさそうな見込み。
推測の根拠↓
株式市場と【FRB、ECB、日銀、3つの中央銀行の資産動向】 - ユキマツの「長期投資のタイミング」
おわりに
ECBの2018年利上げ観測が再燃-12月までの確率74%を市場織り込む - Bloomberg
ECBが2018年中に利上げを始めるかもしれない、そんなニュースも出てきています。
資産規模の数字を追いつつ、金融引き締めがらみのニュースも気にしていきたいと思います。
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