株価好調のベトナム市場。
現在の株価水準が割安か割高か?
少ない手がかりから推測してみます。
ベトナムの経済成長
まず、近年の経済成長率とその見通しを見てみます。
長期的には
【経済成長率】と【時価総額の増加率】
には正の相関がありそうなので。
近年の実質経済成長率の推移です。長期的に高い水準です。
※出所:ベトナムの経済成長率の推移(2013~2022年) - 世界経済のネタ帳
実質経済成長率の見通しです。
IMFによる2017年10月時点の推計。
しばしば当たりませんが、一つの目安です。
この目安によれば、6%以上の成長が続きそう。
ベトナムの時価総額と名目GDP
※出所:Global Note、Global Note、World Federation of Exchangesのデータより管理者作成
ベトナムの「時価総額」と「名目GDP」の推移です。
時価総額は2008年以降のものしか入手できなかったので、2008年以降の年末値の推移です。
まず、GDPに比べて時価総額がとても小さいのが分かります。
それでもGDPとともに時価総額が上昇してきている傾向が確認できます。
また2017年はがっつり株価が上昇、GDPとの距離を
大きく縮めている
ことも確認できます。
※出所:Global Note、Global Note、World Federation of Exchangesのデータより管理者作成
ベトナムのバフェット指標
次にバフェット指標を見てみます。
簡単なバフェット指標の説明。
バフェット指標は、投資の神様とも言われる、ウォーレン・バフェット氏が愛用しているとされる、ある国のGDPと上場株式の時価総額の総和を比べる指標をいいます。これは、ある国の株式時価総額増加率と名目GDP成長率は長期的には収斂するとの主張に基づくもので、ある国の株式相場に急落の可能性は高まっていないか、あるいは逆に売り込まれすぎていないかを見る場合に使われます。
※引用元:金融情報サイト「バフェット指標」
具体的には
◎バフェット指標=ある国の時価総額÷名目GDP
です。ここでの時価総額は市場規模をさします。
名目GDPは経済規模のことでもあるので、
◎バフェット指標=市場規模÷経済規模
です。
※時価総額の説明→【世界時価総額】で株式の割安割高を探る【ダイジェスト版】
※GDPの説明→金融情報サイト「GDP」
バフェット指標は株式の割安割高を判断する
一つの目安
として使われることがあります。
ベトナムのバフェット指標を見てみます。※出所:Global Note、Global Note、World Federation of Exchangesのデータより管理者作成
2008年末、リーマンショック後の世界的に株式が割安だった頃、ベトナムのバフェット指標は、
0.1
程度でした。
時価総額がGDPの10%程度しかない、市場規模(時価総額)が経済規模(名目GDP)に比べて極めて小さい状態だったといえます。
その後、株価はリバウンドし時価総額はGDPの25%程度まで上昇しますが、欧州債務危機などもありまた15%程度まで低下。
2016年にようやく30%超え、超えたと思ったら2017年は一気に
0.6
近くまで急上昇。
現在のベトナム株式市場の活況がうかがえます。
※出所:Global Note、Global Note、World Federation of Exchangesのデータより管理者作成
ベトナムの株価は割安か?
バフェット指標を見る限り、個人的には現在の「0.6」程度の水準は過去からの推移を重視すると、
少なくとも割安ではなさそう
と推測します。
もし、今後、世界的なリスクオフ相場が来れば、ベトナムのバフェット指標は
0.4以下
場合によっては
0.15~0.3
程度まで急落するかもしれません。
もちろんリスクオフ相場が来ず、今の勢いで伸びていく可能性も十分あります。
わたしの投資スタンスにしっくりくる、個人的な意見に過ぎません。
おわりに
ベトナムの時価総額は2017年12月末で1265億ドル程度、1ドル110円とすると、ざっと
14兆円
です。
米国の時価総額は、ニューヨーク市場とナスダックを足すと、2017.12月末で約32.1兆ドル、ざっと3530兆円。
ベトナムの250倍以上になります。
また14兆円という数字は、トヨタ自動車の時価総額(約25兆円)に遠く及ばず、三菱UFJフィナンシャル・グループ(約12兆円)より少し多いくらいの金額です。
「小さいから悪い、だめだ」といいたいわけでなく、短期的なベトナム株ブーム、盛り上がりで少し多めの資金が一気に入って、その後一気に抜けることがあれば、ベトナム市場の変動は大きくなりやすく、思わぬ変動でパニクらない心の準備は必要かと思われます。
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