日銀黒田総裁が就任して丸5年が経過。
黒田総裁の任期とは少しずれますが、数値データを中心に、「2012年末→2017年末」の変化を追ってみます。
国債保有額の急増、利回りの低下
日銀の国債保有量は「115⇒449兆円」、約4倍になり、毎年平均67兆円ほど保有額を増やし続けた計算になります。
国債全体の12%程度だった保有割合は、4割を超えました。
長期金利の利回りは「約0.8%⇒0%」となり、銀行預金などはほとんど利子がつかない状態になっています。
為替は大幅な円安に
この5年でドルに対して30%、ユーロに対して18%程度円安に。
大幅な円安時期。
物価と名目GDP
2012年にマイナス圏だった物価は、目標の2%に届いてはいませんが、2017年末には1%程度まで上昇。
名目GDPはこの5年トータルで約10%増加。
年間の平均増加率は約1.9%。
名目GDPの年間平均増加率は
2007⇒2017年の10年で平均0.5%
1997⇒2017年の20年で平均0.8%
なので、ここ5年の「1.9%」はとても高い水準と思われます。
株式関係
5年で日銀の株式ETF保有額(簿価)は約16兆円増え、2017年末で17兆円を超えています。
金利の低下と同様、株式市場の下支え要因。
「時価総額」「日経平均」は2.2~2.3倍に。
「信用買い残」も「東証一部PBR」もざっくり2倍前後になっているのは面白い傾向。
この5年で名目GDPは約10%の増加。
対して、時価総額は約2.3倍。
結果、バフェット指標は
「0.61⇒1.29」
に。
割安に近い水準から、5年で一気に割高圏に突入した感じ(わたしの主観)。
※バフェット指標=時価総額÷名目GDP
※あくまで個人的な目安ですが、日本のバフェット指標「0.55以下⇒割安?、1.00以上⇒割高?」
データを確認して、所感
①投資タイミングの影響
5年で株価指数が2倍以上になった一例。
運がよければ、インデックス投資でも、大きなリターンが生じる可能性を示唆。
②金利の低下、円安、株式ETFの買い支え
株式市場に対する強力な下支えがあった、という印象が強い5年間。
③好調な経済でも、名目GDPの規模はさほど動かないが、株価は・・・
この5年で名目GDPは約10%増加(年率平均約1.9%)。
近年ではかなりの高水準をキープした5年でしたが、それでも時価総額や日経平均の
5年で100%以上(2.2~2.3倍)
を超える急激な増加幅とは比較にならない。
「金利低下」による株高要因には今後あまり期待できないと思われ(十分に金利が低いので)
●上場していない日本の大企業が次々に日本市場で上場する
●日本企業の海外事業収益が急速に増大する
などの要因がなければ、GDPと時価総額の差が今後も大幅に開いていく可能性は、過去の経験則からすると、高くはなさそう。
※出所:以下サイトデータより管理者作成 日本取引所グループ 世界経済のネタ帳 ※期間:1985年1月末~2018年3月末
あとがき
備忘録的にデータをまとめてみました。
2008年のリーマンショック後、長期低迷を続けていた日本市場が、ようやく本格的にはじけた5年の軌跡。
2017年末⇒2022年末はどのような5年になりますか。
少なくとも2017年末は、2012年末と比べると、5年間で
日本株の割安感は大幅に減退した
とはいえそうです。
※データ出所
●資金循環統計(速報)(2017年第4四半期) : 日本銀行 Bank of Japan
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