「13年間で学んだこと」シリーズの5回目になります。
●株価が上がらない時期でも収益を上げる道はある、かも <その1>
の続きになります。
<その他のシリーズ記事>
●13年で学んだこと カテゴリーの記事一覧 - ユキマツの「長期投資のタイミング」
一般的なロングショートのポイント
①銘柄選別
当たり前ですが、銘柄選別が重要になります。
今の今の、最も買われやすそうな銘柄群と最も売られやすそうな銘柄群の選別。
②配分バランス
ロング:ショート=50%:50%
でいくのか、ベータ値や銘柄の変動の大きさなどを参考にして色をつけるのか、それも大事と思われます。
③ポジション管理
最も大事なのはこれかもしれません。
●大きな勝負に出るタイミング
●うまくいっていないときのポジション調節
などが後々大きな損益の差になって出そうな気がします。
ロングショートのデメリット
①スカッと勝てない
ロングショートだと、当然、ロング一本で暴騰相場に巡りあえた場合やショート一本で暴落相場に巡りあえた場合に比べれば、収益率は大きく落ちます。
比率にすれば微々たる数字を巡って、トータルでプラスにすることを目標に格闘することになります。
ポジションが大きければ、比率は小さくても収益(損益)の金額は大きくなることもあります。
②自分の手法が正しいか、やってみないとわからないし、いつまで通用するかわからない
いまのところわたしは自分なりの判断で実施、リターンが出ていますが、
たまたま
かもしれません。
市場が真に効率的なら、ロングショートで利益は出ない、ハズ。
プラスが続いても、いつか大幅にマイナスとなってチャラになる?
また、今、通用しているやり方がいつまで通用するかはわからないという不安は残る手法です。
まったく不安の残らない投資、というのもあまり見かけないかもしれませんが。
③経費がかかる
あれこれ経費はかかります。
・売買手数料
・信用取引に伴う金利
・買いオプションの利用
など。
取引自体では利益が出ても、経費だおれする可能性もあり、トータルでの利益を意識する必要があります。
わたしなりのロングショートのポイント
①分散、分散
今後しばらく
●買われる理由があると推測される銘柄をできるだけたくさん集め
●売られる理由があると推測される銘柄をできるだけたくさん集め
トータルのポジションは大きくなっても、できるだけ銘柄当たりの投資額は小さくなるように配慮してポジションを作っています。
個別銘柄はいつどんなトリッキーな動きを見せるか、読めない部分が大きいため。
②メジャーな世界には近づかない
わたしは主に、機関投資家、外国人投資家等、巨額の資金を一瞬で動かすプレーヤーが参加しにくい、売買代金が少なめの、日本の地味な中型株、小型株、新興市場でロングショートを実施しています。
巨額の資金が一瞬でうごく大型株で勝負するより、売買代金が少なめの地味な銘柄の「価格と価値のズレ」や「短期的な需給要因」を探り、コツコツ利益を拾っていく方が、わたしには向いていそうな雰囲気。
※向き不向き、好みの話で、中型株、小型株、新興市場なら簡単、とは思いません
ただ、昨年のような安定した上昇相場なら
・買いポジション:個別銘柄群
・売りポジション:プットオプション(日経225オプション)買い
のようなポジションで臨むことも。
プットでどの程度ヘッジできていたか、少し怖かったですが。
③何事もなければ粛々と入り口から入り出口から出る
利益が出ていても出ていなくても、トラブルがなければ、所定の手順でポジションを作り、時期が来れば手じまうことにしています。
自分の割安・割高の判断がいくらか正しければ、長い目で見れば利益が出てくるはず、というスタイルで実施しています。
ただ、何かあったときは急きょ、早めに手じまうこともあります。
●損益や利益が予想外にふくらむ
●予想外のイベントが起きる
ときなどです。
その他、
●うまくいっていないときはポジションを小さくする、なんならすべて解消して休む、あるいは出直す
●勝負に出るときは出るべき、でも何となく嫌な気がしたらさっさに逃げる
というようなある種のいい加減さ、機敏さが、大負けしないうえで、意外に大切な気もします。
嫌なものですが、嫌な予感って、けっこう当たったりします。
④ファンダメンタルと需給要因
短期的にポジションを作る場合、ファンダメンタルに加えて、対象銘柄の需給要因(買われそうな要因、売られそうな要因)も重視しています。
何をもって買われそう、売られそう、と考えるかは自由で、このスタイルの一番面白いポイントだと思います。
下落相場で大けがしないためのロングショート
※出所:World Federation of Exchanges、Global Noteのデータより管理者作成 ※期間:1991~2017年
最後に、1991年以降の「全世界の時価総額」の年次変動率をみてみます。
この27年に関しては
●増加 20回(約74%)
●減少 7回(約26%)
で圧倒的に増加することが多かったです。
つまり、多くの時期、全世界の株式インデックスなどをバイ&ホールドしていることは正しかった、ということです。
ただ、2000~2002年、2008年のような時期もあります。
こういう時期に
●投資をやめず
●いかに市場と付き合うか
は長期投資においては大事なテーマと思います。
この期間のこのグラフを冷静に見る限り、下落の後大幅な反発もみせていますし、どう考えても
売らないでずっと持っておけばいい
という意見が正しいと思いますが、常に未来は予見できず、人間、それほど合理的ではない面もあるかと。
2000~2002年のように、3年もだらだら下げる相場と辛抱強く付き合える人は、実際のところかなり少ないかもしれません。
2008年のように、一年で45%も暴落した時点で、
●もっと下げるかもしれない、-50%?-60%?もしかして-70%?
という妄想、いわば「幻の暴落」の恐怖と戦って勝てるメンタルの人も、あまりいないかもしれません。
そんな厳しい時期は当分来ないかもしれないし、明日から突然やってくるかもしれません。
投資の怖いところ、難しいところだと思います。
個人的にはこういう楽しくない時期への対象法の一つとして「ロングショート」を位置付けています。
リスク資産に多くを配分するのがどこか引っかかる時期、裸でリスク資産を持たず、ロングショートで守りながら攻めつつ、
”この水準なら株を買ってもいい”
と思える時期をゆっくり待つ。
株は上がる時期が多かったが下げる時期もある。
下げた時期に底なし沼の恐怖にとらわれて投げ売りし、それがトラウマになり、二度と市場に近づけなくなるリスクもある。
わたしなりの13年の学び、リスク管理の一つです。
※下落相場への対処法は人それぞれで、誰にでも合う「正解」はないと思われます。一般的には「現金比率を高める」「そもそもリスク許容度を超えにくいPFで運用する」「現物に対して先物などでヘッジポジションを作る」などになるかと思われます
※ロングショートは必ずしもうまくいくわけでもなく、この手法を勧誘するための記事でもありません。売り建てた銘柄が上がり、同時に買い建てた銘柄が下がるという悲しい事態に出くわす可能性もあります。投資は自己責任で
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