微妙な世界景気をCLIとPMIの観点から観察してみます。
①CLI(OECD全体)
※出所:- Composite leading indicator (CLI) - OECD Dataより管理者作成
景気指標の一つ、Composite leading indicator (CLI。OECD景気先行指数)の2017.1月~2018.3月の推移です。
上記はOECD全体のCLIであり、世界の名目GDPの6割以上を占める国を網羅した景気指数です。
「100」が「ふつうの景気水準」、数字が大きいほど好況、小さいほど不況を示唆します。
先日更新された2018年3月のデータは「100.03」。
ほぼニュートラルの100です。
2017年11月:100.19
が直近のピークとなっており、4ヶ月減速トレンドが続いています。
ただ、景気水準自体は
ふつう
であり、トレンドも急速な低下ではありません。
どっちつかずな水準。
100を下回って景気減速トレンドが続くなら要注意。
※CLIについて詳しくコチラ↓
●トレンドは回復~少し停滞? ~OECD全体の景気先行指数 2017年11月データ~ - ユキマツの「長期投資のタイミング」
②グローバル製造業PMI
「購買担当者指数」は「PMI」とも呼ばれる景気指標の一つです。
世界の多くの国で採用されており、毎月更新される即時性の高い便利な指標です。
50が分岐点であり、
●50より大きい⇒景気拡大
●50より小さい⇒景気後退
と判断します。
製造業PMIは「製造業購買担当者指数」のことで、製造業全般の景気を示唆します。
グローバル製造業PMIは「全世界の製造業の景気状況」を示唆する指数です。
グローバル製造業PMIの推移を見てみます。
※グローバル製造業PMIについて、詳しくはコチラ(英語サイト)
https://www.markiteconomics.com/Survey/PressRelease.mvc/0db3741a42a04095825f736f65c9a6da
※出所:https://www.markiteconomics.com/Survey/PressRelease.mvc/0db3741a42a04095825f736f65c9a6da
より管理者作成
2018年4月は「53.5」でした。
2017.12月をピークに2018.1~3月は小幅に減速、2018年4月に少し持ち直した、というところ。
●2018年2月:54.1
●2018年3月:53.3
●2018年4月:53.5
こちらはCLIと違って、節目の50は大幅に超えており、景気水準自体は
良く
減速トレンドが続くかどうか、要経過観察というところ。
※PMIについて詳しくコチラ↓
●中日独の景気動向 2017年11月データ - ユキマツの「長期投資のタイミング」
③主要国製造業PMI
最後に主要4ヶ国(米中日独)の国別の製造業PMIを確認します。
期間は2016.1月~2018.4月です。
※出所:「https://jp.investing.com/search?q=製造業購買担当者指数 PMI」のデータより管理者作成
2016.9月以降、ずっとこの4ヶ国の製造業PMIは節目の「50」を上回っており、世界的な景気水準はよいことがうかがえます。
直近のピークは
●中国:2017.9月
●ドイツ:2017.12月
●日本:2018.1月
●米国:2018.4月
です。
最近のトレンドとしては
●日本、ドイツ:減速基調
●米国:加速
●中国:横這い
というところでしょうか。
主要4ヶ国内でもまちまち、米国が元気です。
米国景気がこけたら全部こけそうですし、米国が元気なうちは、相場もそこそこ持つ、あるいは上昇するかもしれません。
ただ、株価は景気後退より早く下落を始めることが多く、判断は難しいところ。
米国の景気拡大期は約9年続いていることや、世界景気の現状から、個人的には、どちらかというと守り重視、控えめなポジションを選考したくなるタイミング。
※1950年以降の米国の10回の景気後退期とS&P500の関係でみると10回のうち7回は景気後退の6~12ヶ月前に株価がピークアウトしている
※データの出所
●S&P500のピーク時期
^GSPC : Summary for S&P 500 - Yahoo Finance
●景気後退の始まり
What Dates are Used for the U.S. Recession Bars? | Getting To Know FRED
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