最新の世界景気をCLIとPMIの観点から観察してみます。
①CLI(OECD全体)
※出所:- Composite leading indicator (CLI) - OECD Dataより管理者作成
景気指標の一つ、Composite leading indicator (CLI。OECD景気先行指数)の2017.1月~2018.5月の推移です。
上記はOECD全体のCLIであり、世界の名目GDPの6割以上を占める国を網羅した景気指数です。
「100」が「ふつうの景気水準」、数字が大きいほど好況、小さいほど不況を示唆します。
先日更新された2018年5月のデータは「99.87」。
ニュートラルの100をわずかですが下回っています。
2017年11月:100.19
が直近のピークとなっており、6ヶ月連続で減速トレンドが続いています。
景気水準自体は
ほぼふつう~わずかに後退気味
であり、トレンドも急速な低下ではなく、反転すれば特に大過ない水準。
今後も景気減速トレンドが続くなら要注意。
<参考:過去のCLIと経済イベント>
※出所:- Composite leading indicator (CLI) - OECD Dataより管理者作成
1995年1月~2018年5月のCLIの推移と経済イベントです。
あくまで過去の経験則ですがCLIが「99.5」を下回る時期は世界的に不景気で悲観が満ちており、株価は割安なことが多かったと推測されます。
現在は約「99.9」。
※CLIについて詳しくコチラ↓
●トレンドは回復~少し停滞? ~OECD全体の景気先行指数 2017年11月データ~ - ユキマツの「長期投資のタイミング」
②グローバル製造業PMI
「購買担当者指数」は「PMI」とも呼ばれる景気指標の一つです。
世界の多くの国で採用されており、毎月更新される即時性の高い便利な指標です。
50が分岐点であり、
●50より大きい⇒景気拡大
●50より小さい⇒景気後退
と判断します。
製造業PMIは「製造業購買担当者指数」のことで、製造業全般の景気を示唆します。
グローバル製造業PMIは「全世界の製造業の景気状況」を示唆する指数です。
グローバル製造業PMIの推移を見てみます。
※グローバル製造業PMIについて、詳しくはコチラ(英語サイト)
https://www.markiteconomics.com/Public/Home/PressRelease/45c687ba560f4cd899b8150677bc7f60
※出所:https://www.markiteconomics.com/Public/Home/PressRelease/45c687ba560f4cd899b8150677bc7f60より管理者作成
2018年6月は「53.0」でした。
2017年12月をピークに、ごくゆるやかながら半年間の下落トレンド。
●2018年2月:54.1
●2018年3月:53.3
●2018年4月:53.5
●2018年5月:53.1
●2018年6月:53.0
こちらはCLIと違って、節目の50は大幅に超えており、景気水準自体は
良く
引き続き、減速トレンドが続くかどうか、要経過観察というところ。
※PMIについて詳しくコチラ↓
●中日独の景気動向 2017年11月データ - ユキマツの「長期投資のタイミング」
③主要国製造業PMI
最後に主要4ヶ国(米中日独)の国別の製造業PMIを確認します。
期間は2016年1月~2018年6月です。
※出所:「https://jp.investing.com/search?q=製造業購買担当者指数 PMI」のデータより管理者作成
2016年9月以降、ずっとこの4ヶ国の製造業PMIは節目の「50」を上回っており、世界的な景気水準はよいことがうかがえます。
直近のピークは
●中国:2017.9月
●ドイツ:2017.12月
●日本:2018.1月
●米国:2018.4月
です。
最近のトレンドとしては
●日本、ドイツ:減速傾向
●米国:やや息切れ?
●中国:横這い
というところでしょうか。
米国は拡大ペースが鈍化。
日本やドイツはあまりさえない展開。
おわりに
上記記事より引用。
IMF=国際通貨基金は世界経済についての最新の報告で、日本やヨーロッパでは成長のペースがピークに達したようだと指摘し、今後はアメリカと各国の間の貿易摩擦がエスカレートする可能性が強まっていることなどから、世界経済は曲がり角を迎えるという見方を示す方針です。
IMFの見方が当たるかどうかはわかりませんが、今後もアメリカの景気動向、金利水準、賃金動向などがことさら注視されそうです。
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