先週の米国市場を
「米国株式の割安割高を判断する目安」
になると思われる指標などで概観してみます。
ごく簡単な米国市場の概観
<先週のS&P500>
※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
7.27は「2819」。前週比+0.6%。
6月末は「2718」なので、7月は今のところ+3.7%という大幅な上昇。
史上最高値は2018年1月の「2873」で、今は最高値から「-1.9%」の水準。
高値更新なるか?
<先週の米国10年国債利回り>
7.27は「2.96%」。週間で上昇し2.9%台中盤。
3%台にのせてくるか。
昨年末は「2.41%」。
定点観測
以下の4つで定点観測してみます。
★恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>
★ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>
★S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>
★米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>
恐怖指数
ここ半年のチャート。
2018.7.27は「13.03」。前週の「12.86」より上昇。
かなり低い水準が継続。
今年2月の急騰は遠い昔のように感じますが、まだ半年もたっていません。
長期平均(「19.4」)より大幅に低く、米国の市場心理は
安心?
と推測。
目安の「30」以下であり、割安な状況ではなさそうです。
<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
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ジャンク債スプレッド
ジャンク債スプレッドとは
①ジャンク債スプレッド
=米国のハイ・イールド債の利回り-米国債(10年物)の利回り
②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向
③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向
④★平均値(幾何平均):3.0
★中央値:3.0
<期間:1996.12月~2018.6月の月末>
推移グラフと現在の状況判断
※出所:◎St. Louis Fed◎米国 10年 債券利回りのデータより管理者作成 ※期間:1996.12月末~2018.6月末
2018.7.26時点のジャンク債スプレッドは「2.2」で、前週の「2.4」から縮小。
※2018.7.19時点のジャンク債利回り「5.20%」、米国債(10年物)の利回り「2.98%」
米国債の利回りは上昇、同時にジャンク債の利回りは下がる(ジャンク債が買われる)という明確なリスクオン傾向。
長期平均は「3.0」であり、単なる近年の経験則ですが、この指標からは株式は
「やや割高傾向?」
と推測。
<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
S&P500のPBR
※出所:S&P 500 Price to Book Value
1999年末~直近のS&P500のPBRの推移です。
2018.7.27時点の推計値は「3.41」。前週の「3.39」より上昇。
ITバブルの頃のピーク(5.06)にははるかに及びませんが、サブプライムバブルの頃のピーク(2.91)よりは大きな値です。
長期平均の「2.77」は上回っており、現在は少なくとも
割安な水準ではなさそう
です。
※出所:S&P 500 Price to Book Value
<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>
米国バフェット指標
米国バフェット指標とは
①米国バフェット指標=米国の時価総額÷米国の名目GDP
②米国株式の割安割高を判断する目安
③1995~2017年の各年末のデータから、
★平均値:1.25
★中央値:1.32
④近年の経験則の域を出ませんが
★1.05以下は株式は割安圏?
★1.40以上は株式は割高圏? と推測⑤米国の時価総額=NYSE+Nasdaq
推移グラフと現在の状況判断
6月末のデータが確認できました。
米国の時価総額は2018年6月末で約「34.2兆ドル」(5月末は「34.0兆ドル」。浮動株調整行わず)。
今年3月に減少しましたが、4~6月は連続で増加中、過去最大値を更新し続け、全世界の約40.6%を占めています。
2018年6月末の米国バフェット指標は「1.68」(5月末は「1.67」)。
現在、割高圏の目安「1.4」を上回っていると推測され、現在の米国株式は
割高圏?
と推測。
※2018年米国名目GDP:20.41兆ドル(IMF推計)。2017年は19.39兆ドル
米国バフェット指標について詳しくはコチラ↓
現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ
あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。
★恐怖指数⇒割安ではなさそう
★ジャンク債スプレッド⇒やや割高傾向?
★S&P500のPBR⇒割安ではなさそう
★米国バフェット指標 ⇒割高圏?
総合的に判断すると、わたしは米国株式は「割高圏?」と推測します。
現時点での米国株の長期投資のタイミングとしては
①リスク資産の資産配分が大きくなりすぎていれば、所定の配分に戻す
②資産配分において、株式の配分比率を減らす
③資産配分において、現金の配分比率を増やす
④長期投資を一時やめる(投資をやめる機会を探している場合)
のに適す時期だと考えています。単なる経験則ですが。
※概ね10年以上を想定した長期投資に関する一つの判断です。短期、中期的な投資には役立たない可能性が高いです
※基本的にできるだけ「割高な時期に株を売り、割安な時期に株を買う」という判断に基づいています
※単なる個人の感想です。未来は誰にも予知できません。投資は自己判断、自己責任で
ITバブル、サブプライムバブル、現在のデータ比較
※表のデータ出所 ・世界のバフェット指標:GLOBAL NOTE、World Federation of Exchanges・OECD景気先行指数:OECD Data ・シラーPER:Shiller PE Ratio ・失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg
米国に関しては満遍なくリスクオンな雰囲気。
一方世界全体の景気や世界のバフェット指標は今年に入ってじわりと後退感があり。
相対的に米国にマネーが流入、アメリカンドリーム、どこまで持続するか。
<1970年以降のS&P500>
※出所:米S&P 500 インデックス(SPX) - Investing.com
あとがき
「独」を「米」に入れ替えても違和感のない記事。
貿易がらみでどこまで本気で米中が対立するのか。
「トランプ大統領が・・・」「トランプ政権、共和党の選挙対策で・・・」という意味合いもあると思いますが、個人的にはもしかしたらもっと大きな世界的な枠組み
欧米vs中国(+ロシア、イランなど)の対立構造の一端としての貿易摩擦
の可能性も否定しきれないのかなあ、と妄想中。
今年の2月以降、中国の株価は大幅下落、人民元の下落も進行中。
<上海総合指数・USD/人民元:ここ1年>
※出所:USD CNY | アメリカドル 中国人民元 相場情報 - Investing.com、上海総合株価指数 インデックス(SSEC) - Investing.com
もし争いが本格化すれば、それなりの混乱は不可避、実体経済や市場にも影響が甚大になり得るリスク要因の一つと認識。
ただの可能性の話、わたしの杞憂かもしれませんが。
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