先週の米国市場を
「米国株式の割安割高を判断する目安」
になると思われる指標などで概観してみます。
ごく簡単な米国市場の概観
<先週のS&P500>
※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
8.3は「2840」。前週比+0.7%。
7月末は「2816」なので、8月は今のところ+0.9%。
7月月間では+3.6%の大幅上昇。
史上最高値は2018年1月の「2873」で、今は最高値から「-1.1%」の水準。
<先週の米国10年国債利回り>
8.3は「2.95%」。3%台のシーンもありましたが、週間でほぼ横ばい。
昨年末は「2.41%」。
2018年は金利上昇しています。
定点観測
以下の4つで定点観測してみます。
★恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>
★ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>
★S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>
★米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>
恐怖指数
ここ半年のチャート。
2018.8.3は「11.64」。前週の「13.03」より大幅に低下。
いよいよ低くなってきており、逆に怖い感じ。
長期平均(「19.4」)より大幅に低く、米国の市場心理は
安心?
と推測。
目安の「30」以下であり、割安な状況ではなさそうです。
<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
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ジャンク債スプレッド
ジャンク債スプレッドとは
①ジャンク債スプレッド
=米国のハイ・イールド債の利回り-米国債(10年物)の利回り
②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向
③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向
④★平均値(幾何平均):3.0
★中央値:3.0
<期間:1996.12月~2018.7月の月末>
推移グラフと現在の状況判断
※出所:◎St. Louis Fed◎米国 10年 債券利回りのデータより管理者作成 ※期間:1996.12月末~2018.6月末
2018.8.2時点のジャンク債スプレッドは「2.2」で、前週の「2.2」と変わらず。
※ジャンク債利回り「5.17%」、米国債(10年物)の利回り「2.99%」
長期平均は「3.0」であり、単なる近年の経験則ですが、この指標からは株式は
「やや割高傾向?」
と推測。
<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
S&P500のPBR
※出所:S&P 500 Price to Book Value
1999年末~直近のS&P500のPBRの推移です。
2018.8.2時点の推計値は「3.42」。前週の「3.41」より上昇。
ITバブルの頃のピーク(5.06)にははるかに及びませんが、サブプライムバブルの頃のピーク(2.91)よりは大きな値です。
長期平均の「2.77」は上回っており、現在は少なくとも
割安な水準ではなさそう
です。
※出所:S&P 500 Price to Book Value
<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>
米国バフェット指標
米国バフェット指標とは
①米国バフェット指標=米国の時価総額÷米国の名目GDP
②米国株式の割安割高を判断する目安
③1995~2017年の各年末のデータから、
★平均値:1.25
★中央値:1.32
④近年の経験則の域を出ませんが
★1.05以下は株式は割安圏?
★1.40以上は株式は割高圏? と推測⑤米国の時価総額=NYSE+Nasdaq
推移グラフと現在の状況判断
米国の時価総額は2018年6月末で約「34.2兆ドル」(5月末は「34.0兆ドル」。浮動株調整行わず)。
2018年6月末の米国バフェット指標は「1.68」(5月末は「1.67」)。
現在、割高圏の目安「1.4」を上回っていると推測され、現在の米国株式は
割高圏?
と推測。
※2018年米国名目GDP:20.41兆ドル(IMF推計)。2017年は19.39兆ドル
米国バフェット指標について詳しくはコチラ↓
現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ
あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。
★恐怖指数⇒割安ではなさそう
★ジャンク債スプレッド⇒やや割高傾向?
★S&P500のPBR⇒割安ではなさそう
★米国バフェット指標 ⇒割高圏?
総合的に判断すると、わたしは米国株式は「割高圏?」と推測します。
現時点での米国株の長期投資のタイミングとしては
①リスク資産の資産配分が大きくなりすぎていれば、所定の配分に戻す
②資産配分において、株式の配分比率を減らす
③資産配分において、現金の配分比率を増やす
④長期投資を一時やめる(投資をやめる機会を探している場合)
のに適す時期だと考えています。単なる経験則ですが。
※概ね10年以上を想定した長期投資に関する一つの判断です。短期、中期的な投資には役立たない可能性が高いです
※基本的にできるだけ「割高な時期に株を売り、割安な時期に株を買う」という判断に基づいています
※単なる個人の感想です。未来は誰にも予知できません。投資は自己判断、自己責任で
ITバブル、サブプライムバブル、現在のデータ比較
※表のデータ出所 ・世界のバフェット指標:GLOBAL NOTE、World Federation of Exchanges・OECD景気先行指数:OECD Data ・シラーPER:Shiller PE Ratio ・失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg
割高っぽい米国市場。
あとがき
恐怖指数が「11.64」と低くなりS&P500は最高値付近。
クレジットスプレッドも小さく、S&P500のPBRもCAPEも高水準。
経済成長率は高く、失業率は低水準、長短金利差(10y-2y)はまだ逆転せず。
米国の市場や経済は総じて好調。
一方で世界の時価総額は2018年1月がピーク、世界景気もCLIや製造業PMIでみると2017年末頃にピークアウトした感があり、新興国の株式市場はすでに崩れている状況。
欧州や日本の株式市場もパッとせず。
またFRBの利上げや量的引き締めが徐々に影響を与えている可能性もあり、ECBの量的緩和も2018年いっぱいで終了の見込み。
米国頼みの世界景気はいつまで持つか?
7月の「アメリカ・ISM製造業景気指数」や「グローバル製造業PMI」「中国の製造業PMI」などの数値がパッとしなかったので、ふとそんなことを思ったり。
個人的には”安全第一”に控えめな試し売りを検討する時期。
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