即時性の高い米国景気指標として
ECRI景気先行指数
という指数があります。
長期投資のタイミングを探る材料になり得ると思われ調べてみました。
ECRI景気先行指数とは
米国の民間の調査機関ECRIが毎週発表している指数。
ECRIの創設者はグリーンスパン元FRB議長に経済学を教えた教授らしいです。
1967年以降の週次のデータが公表されています。
※Economic Cycle Research Institute | Public Home | ECRIで入手可
「マネーサプライ」「JOC-ECRI工業市場価格指数」「住宅ローン申請」「債券実質金利」「株価」「債券利回り」「失業給付申請」の7つの要素で指数化される指数。
★指数が大きい⇒景気がいい
★指数が小さい⇒景気が悪い
と判断。
※以上、下記サイトを参照にしました
●美國ECRI當週領先指標:148.456 | Stock-ai,自由的全球總經百科
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ECRI景気先行指数の推移
※出所:Economic Cycle Research Institute | Public Home | ECRIのデータより管理者作成
1990年以降のECRI景気先行指数の推移です。
大きな経済イベントを記入すると以下のようになります。
※出所:Economic Cycle Research Institute | Public Home | ECRIのデータより管理者作成
そもそも指数の要素に株価も入っているため、S&P500や全世界の時価総額ととても似通った推移となっています。
S&P500とECRI景気先行指数を比較してみます。
※出所:Economic Cycle Research Institute | Public Home | ECRI、^GSPC : Summary for S&P 500 - Yahoo Financeのデータより管理者作成
上記期間(1990.1.5頃~2018.9.21頃。データ個数:1499)のS&P500(S&P500÷10)とECRI景気先行指数の相関係数は「0.88」であり、両者には強い相関があります。
※週次データで期間はほぼ一致していますが、誤差あり
両者とも、循環的な波のように
「大きな盛り上がり⇔落ち込み」
を繰り返しつつ、右肩上がりの軌跡を描いています。
大きな経済イベントを追記すると以下のようになります。
※出所:Economic Cycle Research Institute | Public Home | ECRI、^GSPC : Summary for S&P 500 - Yahoo Financeのデータより管理者作成
景気と株価の連動性が観察されます。
ECRI景気先行指数のピークとボトム時のS&P500
次に
「ECRI景気先行指数のピークとボトム時」
に着目し、そのタイミングでのS&P500のデータを確認してみます。※出所:Economic Cycle Research Institute | Public Home | ECRI、^GSPC : Summary for S&P 500 - Yahoo Financeのデータより管理者作成
※出所:Economic Cycle Research Institute | Public Home | ECRI、^GSPC : Summary for S&P 500 - Yahoo Financeのデータより管理者作成
ECRI景気先行指数のピーク時とボトム時のS&P500の数値を記入したグラフです。
あくまで、この時期の経験的な判断ですが、
●ECRI景気先行指数が小さいときにS&P500も小さい
●ECRI景気先行指数が大きいときにS&P500も大きい
傾向がある。
★ECRI景気先行指数≒米国景気
と捉えた場合、
●米国景気が悪いときにS&P500は小さい
●米国景気がいいときにS&P500は大きい
という傾向はありそうな雰囲気。
長期投資のタイミングを読むことは絶対に無駄
というスタンスで長期投資に臨むのも一つの戦略です。
景気動向を観察し、
株はできれば景気の悪い時期に買った方が有利
と考えて長期投資を行うのも一つの戦略。
未来のことは分からないので、どちらが正しいわけでもなく投資家の判断次第で自由です。
わたしはできるだけ景気動向を投資判断に含め、どちらかというと
できれば景気の悪い時期に株式を多く買いたい
と考える派。
ECRI景気先行指数の今
※出所:Economic Cycle Research Institute | Public Home | ECRIのデータより管理者作成
2018.9.21のECRI景気先行指数は「148.5」(前週比+0.3)。
直近ピーク2018.2.2の「152.4」より少しだけ低い水準です。
世界の時価総額と同様、2018年1月末頃にピークアウトしているものの、8ヶ月近く経っても数値的にはピークに近く、
●ここから「152.4」を超えてさらなるピークを目指すのか
●じりじりと結局は落ちていくのか
判断が難しい状態と思われます。
※出所:Economic Cycle Research Institute | Public Home | ECRI、^GSPC : Summary for S&P 500 - Yahoo Financeのデータより管理者作成
この表をみていると
●「1990年⇒2000年」の景気拡大:9年1ヶ月ほど
●「2001年⇒2007年」の景気拡大:5年8ヶ月ほど
●「2009年⇒2018年」の景気拡大:8年11ヶ月ほど(2月2日がピークだった場合)
となり、何となく
そろそろ潮時?(景気が後退し始める?)
と考えるのも経験的には不自然ではないですが、やはりまだ数値自体はピーク付近にあり、下手な決め打ちは大けがの元、わたしはもう少し様子見。
株価と同様、ECRI景気先行指数のピークとボトムのタイミングも不明なので、他の指標も勘案して探っていくしかありません。
ECRI景気先行指数は株価より先にピークアウトする?
過去2回のバブル期においては、ECRI景気先行指数は株価より先にピークアウトしているようです。
※出所:Economic Cycle Research Institute | Public Home | ECRI、^GSPC : Summary for S&P 500 - Yahoo Financeのデータより管理者作成
2000年は2ヶ月、2007年は4ヶ月ほど早い。
その意味で
「ECRI景気先行指数のピーク期を確認すること」
は株価のピークアウトの時期を探るうえで有用、かもしれません。
※あくまで過去2回の経験則です。未来に有用かは不明です
おわりに
何でも
そういうふうに見ようとして見れば、そういうふうに見えてくる
側面があります。
一つの指標に入れ込み過ぎるのは危険であり、景気に関しても決定版はないと思われ、自分なり判断で複数の指標を丁寧に見ていくしかないと思われます。
ECRI景気先行指数は個人的には面白い、即時性の高い有用な米国景気指標の一つと推測。
今後2週間か1ヶ月に1度確認記事にしていく予定です。
興味のある方はお付き合いください。
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