最新の世界景気をCLIとPMIの観点から観察してみます。
①CLI(OECD全体)
※出所:- Composite leading indicator (CLI) - OECD Dataより管理者作成
景気指標の一つ、Composite leading indicator (CLI。OECD景気先行指数)の2017年1月~2018年8月の推移です。
上記はOECD全体のCLIであり、世界の名目GDPの6割以上を占める国を網羅した景気指数です。
「100」が「ふつうの景気水準」、数字が大きいほど好況、小さいほど不況を示唆します。
先日更新された2018年8月のデータは「99.58」(前月比-0.10)。
2017年11月:100.31
が直近のピークとなっており、ピークから9ヵ月連続で減速トレンドが続いています。
景気水準自体も
やや悪い
といえそう。
市場にとってはネガティブ要因と推測。
<参考:過去のCLIと経済イベント>
※出所:- Composite leading indicator (CLI) - OECD Dataより管理者作成 ※数値は概算
1995年1月~2018年5月のCLIの推移と経済イベントです。
あくまで過去の経験則ですがCLIが「99.5」を下回る時期は世界的に不景気で悲観が満ちており、株価は割安なことが多かったと推測されます。
2018年8月時点で約「99.6」のこの指標、「99.5」に達し、「99.0」に近づくようだと雰囲気としては嫌な感じ。
※CLIについて詳しくコチラ↓
●トレンドは回復~少し停滞? ~OECD全体の景気先行指数 2017年11月データ~ - ユキマツの「長期投資のタイミング」
②グローバル製造業PMI
「購買担当者指数」は「PMI」とも呼ばれる景気指標の一つです。
世界の多くの国で採用されており、毎月更新される即時性の高い便利な指標です。
50が分岐点であり、
●50より大きい⇒景気拡大
●50より小さい⇒景気後退
と判断します。
製造業PMIは「製造業購買担当者指数」のことで、製造業全般の景気を示唆します。
グローバル製造業PMIは「全世界の製造業の景気状況」を示唆する指数です。
グローバル製造業PMIの推移を見てみます。
※グローバル製造業PMIについて、詳しくはコチラ(英語サイト、PDF)
https://www.markiteconomics.com/Public/Home/PressRelease/61641e1b9699423d9a0303aff0e71822
※出所:https://www.markiteconomics.com/Public/Home/PressRelease/61641e1b9699423d9a0303aff0e71822
より管理者作成
2018年9月は「52.2」でした。
2017年12月をピークに、ゆるやかながらCLIと同じく、9ヶ月続く下落トレンド。
●2018年2月:54.1
●2018年3月:53.3
●2018年4月:53.5
●2018年5月:53.1
●2018年6月:53.0
●2018年7月:52.7
●2018年8月:52.6
●2018年9月:52.2
こちらはCLIと違って、節目の50は超えており、景気水準自体は
悪くはなく
引き続き、減速トレンドが続くかどうか、要経過観察というところ。
※PMIについて詳しくコチラ↓
●中日独の景気動向 2017年11月データ - ユキマツの「長期投資のタイミング」
③主要国製造業PMI
最後に主要4ヶ国(米中日独)の国別の製造業PMIを確認します。
期間は2016年1月~2018年9月です。
※出所:「https://jp.investing.com/search?q=製造業購買担当者指数 PMI」のデータより管理者作成
直近のピークは
●中国:2017.9月
●ドイツ:2017.12月
●日本:2018.1月
●米国:2018.4月
です。
9月の数値変動は
●米国:上昇
●日本:横這い
●中国、ドイツ:下落
ざっくりした印象ですが
●ここでも米国景気は好調。
●踏みとどまっている日本。
●下落が鮮明なドイツ。
●じわじわ下げている中国。貿易摩擦の影響も少しずつでてきている?
おわりに
CLI(OECD全体)とPMI(グローバル製造業)は2018年に入って、明確な下落トレンド。
2018年のCLIの下落トレンドは、
「今回も何らかのイベントとして記憶される事態を引き起こす」
のか
「一時的な新興国からのマネー流出劇に過ぎず、米国景気に引きづられ世界景気は加速モードを取り戻す」
のか、個人的にはガードを固め、ロングショートのポジションを小さめにして興味深く観察中。
経験的な一般論として、
世界景気が減速している時期には
世界的に株価は上がりくいor下がりやすい?
という仮説はそれなりに説得力があると個人的には思います。
もちろん今年の米国株のように「世界全体がさえない状況でも一人勝ち」の市場もありますが、世界全体の時価総額は1月のピークを今も下回っているのが不吉なところ。
米国以外の主要な株式市場は8月末時点で1月末より概ね市場規模が縮小しており、また後日記事にしてみます。
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