ユキマツの「長期投資のタイミング」

「景気(企業利益動向)」「中銀の金融政策(金利動向)」「投資家のリスク許容度」などから長期投資のタイミングを探る投資ブログ

”凶悪”な下落相場 <その1>

f:id:yukimatu-tousi:20181029151157p:plain

景気減速を伴う下げ相場をふりかえるシリーズ。

近年の4回の下げ相場を概観します。

今回はシリーズの最後、凶悪ともいえる厳しい下げ相場、ITバブル崩壊期を取り上げます。

※その他の記事はコチラ

近年の景気後退期・景気回復期 カテゴリーの記事一覧 

※参照:ITバブル崩壊とは|金融経済用語集


スポンサーリンク


 
★ブログランキング参加中! にほんブログ村 株ブログ 米国株へ 

4回の景気減速期と株価について

●世界景気の指標

CLI(OECD全体)

※CLIについてはコチラ↓

OECD全体の景気先行指数

●主要株価

・全世界の時価総額(ドル建て)

・S&P500(米国)

・ナスダック総合(米国)

・TOPIX(日本)

・DAX30(ドイツ)

・上海総合(中国)

・Nifty 50 (インド)

とし、2000年以降の4回にわたる世界景気減速期の株価を確認してみます。

世界景気の減速期④:2000年3月~2003年3月

f:id:yukimatu-tousi:20181029153326p:plain

※出所:Leading indicators - Composite leading indicator (CLI) - OECD Dataより管理者作成

近年のCLIの推移です。

ITバブル崩壊期を含む④の期間、CLI(≒世界景気)の数値は

101.4(2000.3)⇒98.5(2003.3)

に低下。

2000.3~2003.3の36ヶ月間(3年)、世界景気は減速を続けていたことを示唆するデータ。

他の時期と比較するとこの指標からは

近年で最長の景気停滞期

といえそう。

CLIの数値としては「1991.1~2000.3」が世界景気の拡大期でした。

9年以上に及ぶ景気拡大の後、3年間もさえない景気が続いた、その時期がITバブル崩壊期。

チャイナショック、欧州債務危機、サブプライムバブル崩壊期よりも、

しんどい時期の長さ

という意味では追随を許さず、なおかつ「だましの景気回復」を伴う景気停滞期。

投資家からすると

「凶悪」

と表現してもいい時期だったかもしれません。

ITバブル崩壊期の株価のピーク・ボトム時期と減少幅

この期間の株価のピーク・ボトム時期と減少幅を確認してみます。

f:id:yukimatu-tousi:20181029160714p:plain

●各国株価のピーク時期:2000.2~2000.3頃に集中

●各国株価のボトム時期:2002.9~2003.3頃に集中

●先進国の下落率:ざっと5~7割

●新興国の下落率:ざっと4~5割

世界全体の時価総額は2年半かけて4割強減少しました。

その他の先進国でも2000年3月~2003年3月の3年間は落ち着かない時期でした。

当時時価総額が小さかった中国、インドの市場は世界との連動性がまだ低い感じがしますが、それでもピークから4~5割下げる時期がありました。

下落率のグラフです。

f:id:yukimatu-tousi:20181029160528p:plain

ナスダックは8割近い大暴落。

意外だったのですが、ドイツも7割超の暴落でした。

※表とグラフの出所:https://www.world-exchanges.org/TOPIX- Yahoo!ファイナンスhttps://jp.investing.com/indices/major-indicesのデータより作成

所感①:3年は長すぎる

f:id:yukimatu-tousi:20181029224845p:plain

※出所:https://www.world-exchanges.org/より作成

ITバブルのピーク(2000.3)からの3年を世界の時価総額で観察してみます。

世界の時価総額の推移。

2000.3:35.3兆ドル

2002.9:20.1兆ドル(ピークから-43.1%・2年半後。ボトム)

2003.3:21.2兆ドル(ボトムから+6.0%・ピークから3年後。2番底)

実に長いです。

2000.3から2年半後に一応底打ちするのですが、その後半年底辺をさまよい、3年たってようやく解放されたという感じ。

わたしは当時は投資と無関係でしたが、推移をみているだけでうんざりしますね。

2003.3を過ぎればまさにうなぎ登り。f:id:yukimatu-tousi:20181029225049p:plain

2003.3:21.2兆ドル(2番底)

2007.10:63.0兆ドル(2番底から約3.0倍・4年7ヶ月後)

4年7ヶ月後には時価総額は3倍に膨れ上がっています。

3年間、我慢してこそのサブプライムバブル。

だから長期投資は保有し続けることが大事。

長いトンネルもたかだか3年・・・

そんな言い方もできなくはないですが、生半可なスタンスでは耐えきれないと思われます。

あくまで仮定の話ですが、もしも2018.1が時価総額のピークだったとした場合、今はまだ9ヶ月しかたっていません。

あと27ヶ月、2020年の東京五輪期間も含めて、2021年1月まで、ずっと横這い、あるいは一瞬増えても結局減り続ける資産評価額とにらめっこして、長期投資していけるのか?

途中で嫌にならないか?

わたしはインデックス投資も積み立て投資も、運が悪い時期に重なるとかなり難易度の高い投資スタイルになり得るとは思います。

※インデックス投資や積み立て投資を否定するものではありません

もちろんこんな厳しい時期はそうそう来るものでもないし、ずっと来ないかもしれません。

株価が上がっている時期の方が多いこともはっきりしています。

それでも「絶対来ない」と主張する根拠もなく、ITバブル崩壊期は

「下げ相場の長さ」

という点で「最悪の時期」を想定する貴重な実例と思われます。

長期投資に向いている人

むかし「24時間戦えますか?」

という栄養ドリンクのキャッチコピーがありました。

ITバブル崩壊期にかこつけると

「3年間耐えられますか?」

というところ。

逆にいえば、3年くらい、投資がうまくいかなくても気に病まず、気長に構えられる人は、長期投資に向いているのかもしれませんね。

以下、ITバブル崩壊期の「世界景気と世界時価総額」「世界景気とS&P500」

<CLI(OECD全体)と世界の時価総額の推移>

f:id:yukimatu-tousi:20181030002907p:plain※出所:https://www.world-exchanges.org/Leading indicators - Composite leading indicator (CLI) - OECD Dataより作成

時価総額でなく「S&P500とCLI」のバージョン。

<CLI(OECD全体)とS&P500の推移>

f:id:yukimatu-tousi:20181030002723p:plain

※出所:https://jp.investing.com/indices/us-spx-500-historical-dataLeading indicators - Composite leading indicator (CLI) - OECD Dataより作成

長くなってきたので以下

”凶悪”な下落相場 <その2>

に続きます。

関連記事

www.yukimatu-value.com

www.yukimatu-value.com

www.yukimatu-value.com

www.yukimatu-value.com

関連コンテンツ




【更新の励みになります。よければ応援クリックを!】

follow us in feedly