ユキマツの「長期投資のタイミング」

「景気(企業利益動向)」「中銀の金融政策(金利動向)」「投資家のリスク許容度」などから長期投資のタイミングを探る投資ブログ

CAPEレシオ:2007年の水準に近づく ~米国市場の概況~

f:id:yukimatu-tousi:20181215144140p:plain先週の米国市場を

「米国株式の割安割高を判断する目安」

になると思われる指標などで概観してみます。

ごく簡単な米国市場の概観

<先週のS&P500>

f:id:yukimatu-tousi:20181215144247p:plain※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com

12.14は「2600」。前週比−1.3の下落。

11月末は「2760」だったので、12月は現時点で−5.8%と大幅な下落。

今年の月間での最大下落率は10月の−6.9%

最高値は2018年9月の「2941」で今は高値から「-11.6%」の水準。

米国株もそこそこ落ちてきています。

<先週の米国10年国債利回り>

f:id:yukimatu-tousi:20181215144322p:plain※出所:米国 10年 | 米国 10年 債券利回り

12.14は「2.90%」。

先々週末は「2.86%」だったので、週間で利回りはやや上昇。

先週は「株安+利回り上昇」でした。

もし株安の中利回りが上がる(下がらない)状態が続けば、株価的にはネガティブ材料。

昨年末は「2.41%」で今年は約「0.5%」高い水準。

定点観測

以下の4つで定点観測してみます。

恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>

ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>

S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>

米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>

恐怖指数

<ここ半年>

f:id:yukimatu-tousi:20181215144819p:plain
<先週>

f:id:yukimatu-tousi:20181215144847p:plain※出所:S&P 500 VIXインデックス

12.14は「21.63」。前週の「23.23」よりやや低下。

2018年10月以降、2017年以来みられた超低水準を脱し、あまり下がらない状況が続いています。

水準としては長期平均(「19.3」)よりやや高く、米国の市場心理は

やや不安?

と推測。

目安の「30」以下であり、株価が割安な状況ではなさそうです。

<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>

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ジャンク債スプレッド

ジャンク債スプレッドとは

①ジャンク債スプレッド

米国のハイ・イールド債の利回り-米国債(10年物)の利回り

②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向

③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向

④★平均値(幾何平均):3.0

 ★中央値:3.0

<期間:1996.12月~2018.11月の月末>

推移グラフと現在の状況判断

f:id:yukimatu-tousi:20180714163754p:plain

※出所:◎St. Louis Fed米国 10年 債券利回りのデータより管理者作成 ※期間:1996.12月末~2018.6月末

12.13時点のジャンク債スプレッドは「2.8」で、前週の「2.9」よりやや縮小。

スプレッドの拡大は一休み。

※ジャンク債利回り「5.67%」、米国債(10年物)の利回り「2.91%」

長期平均「3.0」に接近しており、水準としては

ふつう~やや安心?

と推測。

<最近の推移>

f:id:yukimatu-tousi:20181215145527p:plain※出所:◎St. Louis Fed米国 10年 債券利回りのデータより管理者作成 ※期間:2016.1月~2018.12月(12月は13日のデータ)

<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>

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S&P500のPBR

f:id:yukimatu-tousi:20181215145612p:plain※出所:S&P 500 Price to Book Value

1999年末~直近のS&P500のPBRの推移です。

12.14時点の推計値は「3.11」。前週の「3.15」から引き続き低下。

水準としてはITバブルの頃のピーク(5.06)に及ばず、サブプライムバブルの頃のピーク(2.91)は上回る水準。

長期平均の「2.79」は大幅に上回っており、現在は少なくとも

割安な水準ではなさそう

です。

f:id:yukimatu-tousi:20181215145632p:plain

※出所:S&P 500 Price to Book Value

<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>

www.yukimatu-value.com

米国バフェット指標

米国バフェット指標とは

①米国バフェット指標=米国の時価総額÷米国の名目GDP

②米国株式の割安割高を判断する目安

③1995~2017年の各年末のデータから、

★平均値:1.25

★中央値:1.32

④近年の経験則の域を出ませんが

★1.05以下は株式は割安圏?

★1.40以上は株式は割高圏? と推測
⑤米国の時価総額=NYSE+Nasdaqで計算

推移グラフと現在の状況判断

f:id:yukimatu-tousi:20180117123619p:plain※出所:グローバルノートWFEのデータより管理者作成 ※期間:1995年末~2017年末 

米国の時価総額は2018年10月末で約「33.4兆ドル」(前月末は「36.1兆ドル」)。

2018年10月末の米国バフェット指標は「1.64」(前月末は「1.77」)。

2017年末のバフェット指標は「1.66」だったので、今年は10ヶ月経過時点でわずかに数値が低下。

現在、割高圏の目安「1.4」を上回っていると推測され、現在の米国株式は

割高圏?

と推測。 

9~10月は久々に2カ月連続で時価総額が減少。

f:id:yukimatu-tousi:20181128203730p:plain

※データ出所:https://www.world-exchanges.org/世界経済のネタ帳のデータより作成

※2018年米国名目GDP:20.41兆ドル(IMF推計)。2017年は19.39兆ドル

米国バフェット指標について詳しくはコチラ↓

www.yukimatu-value.com

現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ

あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。

恐怖指数⇒割安ではなさそう

ジャンク債スプレッド⇒ふつう~やや安心?

S&P500のPBR⇒割安ではなさそう

 ★米国バフェット指標 ⇒割高圏?

総合的に判断すると、わたしは米国株式は「割高圏?」と推測します。

現時点での米国株の長期投資のタイミングとしては

①リスク資産の資産配分が大きくなりすぎていれば、所定の配分に戻す

②資産配分において、株式の配分比率を減らす

③資産配分において、現金の配分比率を増やす

④長期投資を一時やめる(投資をやめる機会を探している場合)

のに適す時期だと考えています。単なる経験則ですが。

※概ね10年以上を想定した長期投資に関する一つの判断です。短期、中期的な投資には役立たない可能性が高いです

※基本的にできるだけ「割高な時期に株を売り、割安な時期に株を買う」という判断に基づいています

※単なる個人の感想です。未来は誰にも予知できません。投資は自己判断、自己責任で  

ITバブル、サブプライムバブル、現在のデータ比較

※表のデータ出所 ・世界のバフェット指標:GLOBAL NOTEhttps://www.world-exchanges.org/ ・OECD景気先行指数:OECD Data ・シラーPER:Shiller PE Ratio ・失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg

f:id:yukimatu-tousi:20181215201149p:plain・S&P500のCAPEレシオ:「30」を下回り2007年の水準に近づく

世界のバフェット指標やOECD景気先行指数からは

世界的な過熱相場のピークは過ぎた?

という印象を受けますが、現段階でも米国株の割高感はまだまだ意識される水準?と推測。

あとがき

jp.reuters.com

上記記事より。

今後の成長加速を期待できる要因は多くない

欧州の景気はさえないもよう。

<ユーロ圏製造業PMI:2008年~>

f:id:yukimatu-tousi:20181215203031p:plain※出所:ユーロ圏 製造業購買担当者指数より作成

今年の1~2月頃が直近ピークでその後はダダ下がりの状態です。

最新の速報値は「51.4」で、まだ節目の「50」(50を下回ると景気減速を示唆)までは少し距離がありますが、50を下回るようなら欧州債務危機以来のことになります。

他はダメでも米国だけは大丈夫、今現在の米国企業の決算や経済指標はいいから大丈夫。

そんな解釈もあるようで、実際、米国だけは踏んばるという可能性もあると思われますが(過去に何度もありました)。

ただ、今の米国景気の好調さはある種人為的な政策(景気が悪くない状況でのトランプ減税≒株価対策、財政出動≒景気対策。中間選挙対策的な意味合いも強かったか?)によってもたらされている部分もあると考えられ、その反動が今後どうでるか?

今後も順調に行くのか、後でツケが回ってくるのか。

先のことは分かりません。

予断を持ちすぎず、落ち着いて景気動向を見てリスクテイクの度合いを調整するようなスタンスが、大きなダメージを避けることにつながりそうな状況と思われます。

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