年末から新年の米国市場を
「米国株式の割安割高を判断する目安」
になると思われる指標などで概観してみます。
※先週は12/28で2018年の米国市場の取引が終わったような記述をしていましたが、米国市場は12/31もひらいていました。勘違いによる誤りで、失礼しました
ごく簡単な米国市場の概観
<先週のS&P500>
※出所:米S&P 500インデックス(SPX - Investing.com
1.4は「2532」。前週比+1.9%の上昇。
最近日々の変動率が大きくなり、上がっているのか下がっているのかわからなくなりますが、2週間前、2018.12/21の終値からみると今は
「+4.8%」
の大幅上昇となっています。
12月末は「2507」だったので、1月としては+1.0%。
最高値は2018年9月の「2941」で今は高値から「-13.9%」の水準。
<先週の米国10年国債利回り>
1.4は「2.67%」。
前週末は「2.72%」だったので、週間で利回りはやや低下。
新年に入って「2.55%」まで下がるシーンもありましたが、その後は急上昇。
株価と同様、ボラが大きい。
昨年末は「2.69%」で今年はやや低下。
2018年で最も高かった時期は約「3.2%」。
定点観測
以下の4つで定点観測してみます。
★恐怖指数<米国市場。S&P500の変動性>
★ジャンク債スプレッド<米国市場。クレジットスプレッドの一つ>
★S&P500のPBR<米国の代表的な株価指数のPBR>
★米国バフェット指標 <米国の時価総額÷米国の名目GDP>
恐怖指数
<ここ1年>
<先週>※出所:S&P 500 VIXインデックス
1.4は「21.38」。前週の「28.34」より大幅に低下。
2018年のピークの概算値。
・2月:「50」
・10月:「29」
・12月:「36」
水準としては長期平均(「19.3」)よりやや高く、米国の市場心理は
ふつう~やや不安?
と推測。
目安の「30」以下であり、株価は割安ではなさそう。
<恐怖指数について詳しくはコチラ↓>
www.yukimatu-value.com
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ジャンク債スプレッド
ジャンク債スプレッドとは
①ジャンク債スプレッド
=米国のハイ・イールド債の利回り-米国債(10年物)の利回り
②ジャンク債スプレッドが大きい⇒株式は割安傾向
③ジャンク債スプレッドが小さい⇒株式は割高傾向
④★平均値(幾何平均):3.0
★中央値:3.0
<期間:1996.12月~2018.12月の月末>
推移グラフと現在の状況判断
※出所:◎St. Louis Fed◎米国 10年 債券利回りのデータより管理者作成 ※期間:1996.12月末~2018.12月末
1.3時点のジャンク債スプレッドは「3.6」で、前週の「3.5」よりやや拡大。
「リスクの大きいジャンク債からマネーが逃避。リスクの低い米国債に流入?」
という事態が続いているのかもしれません。
※ジャンク債利回り「6.15%」、米国債(10年物)の利回り「2.55%」
スプレッドは長期平均「3.0」より大きく、投資家心理はやや不安?か。
株価水準としては
ふつう~やや割安?
と推測。
現在のスプレッドは3.6%ですが、かつてのリスクオフ時の概算は
★チャイナショック:4.5%
★欧州債務危機・ITバブル崩壊期:5.5~6.0%
★リーマンショック後:13%
でした。
<最近の推移>
※出所:◎St. Louis Fed◎米国 10年 債券利回りのデータより管理者作成 ※期間:2016.1月~2018.1月(1月は3日のデータ)
<ジャンク債スプレッドについて詳しくはコチラ↓>
S&P500のPBR
※出所:S&P 500 Price to Book Value
1999年末~直近のS&P500のPBRの推移です。
1.4時点の推計値は「3.03」。前週の「2.97」から上昇。
水準としては
★ITバブルの頃のピーク(5.06)
より小さく
★サブプライムバブルの頃のピーク(2.91)
は上回る水準。
長期平均の「2.79」は上回っており、現在は
割安な水準ではなさそう
です。
※出所:S&P 500 Price to Book Value
<S&P500のPBRについて詳しくはコチラ↓>
米国バフェット指標
米国バフェット指標とは
①米国バフェット指標=米国の時価総額÷米国の名目GDP
②米国株式の割安割高を判断する目安
③1995~2017年の各年末のデータから、
★平均値:1.25
★中央値:1.32
④近年の経験則の域を出ませんが
★1.05以下は株式は割安圏?
★1.40以上は株式は割高圏? と推測⑤米国の時価総額=NYSE+Nasdaqで計算
推移グラフと現在の状況判断
米国の時価総額は2018年11月末で約「33.8兆ドル」(前月末は「33.4兆ドル」)。
前月より微増。
2018年11月末の米国バフェット指標は「1.65」(前月末は「1.64」)。
現在、割高圏の目安「1.4」を上回っていると推測され、11月末時点の米国株式は
割高圏?
と推測。
直近米国時価総額のピークは2018年8~9月頃となるか。
※データ出所:https://www.world-exchanges.org/、世界経済のネタ帳のデータより作成
※2018年米国名目GDP:20.41兆ドル(IMF推計)。2017年は19.39兆ドル
米国バフェット指標について詳しくはコチラ↓
現時点での米国市場の割高割安、4つの指標からの推測、まとめ
あくまで経験的な判断ですが、現時点で各指標が示唆する株式の割安、割高の判断をまとめます。
★恐怖指数⇒割安ではなさそう
★ジャンク債スプレッド⇒ふつう~やや割安?
★S&P500のPBR⇒割安ではなさそう
★米国バフェット指標 ⇒割高圏?
総合的に判断すると、わたしは米国株式は
やや割高傾向?
と推測。
現時点での米国株の長期投資のタイミングとしては
①リスク資産の資産配分が大きくなりすぎていれば、所定の配分に戻す
②資産配分において、株式の配分比率を減らす
③資産配分において、現金の配分比率を増やす
④長期投資を一時やめる(投資をやめる機会を探している場合)
のに適す時期だと考えています。単なる経験則ですが。
※概ね10年以上を想定した長期投資に関する一つの判断です。短期、中期的な投資には役立たない可能性が高いです
※基本的にできるだけ「割高な時期に株を売り、割安な時期に株を買う」という判断に基づいています
※単なる個人の感想です。未来は誰にも予知できません。投資は自己判断、自己責任で
ITバブル、サブプライムバブル、現在のデータ比較
※表のデータ出所 ・世界のバフェット指標:GLOBAL NOTE、https://www.world-exchanges.org/ ・OECD景気先行指数:OECD Data ・シラーPER:Shiller PE Ratio ・失業率:US Unemployment Rate ・実質経済成長率:BEA National Economic Accounts ・長短金利差:米国債・金利 - Bloomberg
引き続き「S&P500のPBR」「S&P500のCAPEレシオ」は2007年の水準と同じくらい。
あとがき
今年と昨年の年初の数値を比較。
「恐怖指数、ジャンク債のスプレッド、PBR、CAPEレシオ」
⇒2018年の方が株価は割高?
「米国のバフェット指標」
⇒変わらず
米国の実体経済は失業率や経済成長率でみると、2019年の方が好調。
世界全体の「株価水準」や「景気動向」でみると
2018年の方が株価は割高、景気もよかった?
という感じ。
ざっくりした部分的な観察のまとめですが、ここ1年でみると
・米国景気:好調を維持
・世界景気:減速傾向
・米国や世界の株価水準:割安方向にシフトするも「割安水準」には遠い?
というところ。
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